嫁はクリーニング屋の看板娘だった。
とはいっても、他はおばちゃんばかりの店だったが・・・。
ともかく、眼鏡にポニーテールのせいで20そこそこに見え、
大人しくてストライク娘だったので、見つけてから毎週通った。
30もいくつか超えていた俺は、天気の話からはじめて、できる
だけ自然な感じで趣味を聞き出し、まずは野球観戦のチケット
で一本釣り。投資金額は毎週数百円だし、滑り出しは上々だと
思っていた。
ところが二回目の海へのドライブで、嫁が急に黙り込み、急に
一言。
「私、○○さんが思っているような女じゃないんです」
ほえ? と思ったが、そのあと相手がまくし立てたので、
聞いてみてなるほどと思った。
嫁いわく、自分は30才だし、見た目のせいで自分の理想を押し
付ける類の男が多かったから云々。
実際、俺もかなり年下だと思って話をしていたのが悪かった。
俺の見た目は薄くした劇団ひとりなので、その手のDTオタと
思われていたのだ。
「ああ、俺もそのほうが助かる」
次の一言で、今度は向こうがほえ? となった。
俺は、年を見間違っていたことを謝り、自分が同棲を何度かし
たことがあること、年相応の女性なら、むしろ引け目を感じな
くて助かることなど、正直にしゃべった。
まあ、あとはスンナリ。その夜はお持ち帰りし、程なく同棲。
結婚前後に少し悲しいこともあったが、気付けば嫁は二児の母。
37になった今も、20代後半までにしか見えない。人によっては
20そこそこだと思っている。
ああ良かった。あそこで調子に乗って、前の同棲相手は子持ち
だが日米ハーフのナイスバディで超絶美人。しかもベンチャー
のやり手女社長で、別れる時には大修羅場で親友の家に匿って
貰って云々なんてべらべら話してたら、妄想認定されるかあき
れて逃げられていた。
もう、女関係であまり悪さはできません・・・。
嘘もここまでくると悲しいな…