そしたら、遠藤嬢が「ちょっと相談があるんですけど」と、自宅にまでやってきた。
内容は「全然その気がないのに、△さんや×さんに告白されて困ってるんです」。
そりゃあ大変だなあ、と、手料理をふるまって…が回を重ねて、ほぼ毎週遊びに来る遠藤嬢。
そのうち、俺と遠藤嬢の仲が社内で噂になり、人事部の同期が忠告してきた。
「独身同士だから処罰はないが、直属の部下と変な関係になるのは困るぞ」と。
で、この時点で、俺は遠藤嬢に一切手を出していない。
マジで本当に。
以前に部長と女性事務員の不倫で、部長夫人が刃傷沙汰を起こしたので不倫には厳しい。
独身同士でも、上司と部下だと「パワハラの疑義あり」とされ、どちらかが異動される。
とりあえず、周囲の誤解を解くためにも話し合いをと、終業後に喫茶店へ遠藤嬢を呼び出す。
「誤解されないように、俺の自宅に遊びに来るのは控えよう。君のためだよ」と。
そしたら、泣かれた。俺、おろおろ。
「私、今まで下心のある男性ばかり寄ってきて、下心なしで大切にされたことないんです」
「課長もそのうち、私のこと好きになったとか言い出すんだろうなと思ってたけど、 全然そういうことなくて、いつまでも下心なしに親切にしてくれる男性もいるんだなって」
「そしたら、課長のことが気になってきて、なのにラーメン屋巡りは人が増えちゃうし、休みの日の蕎麦めぐりも、クラブ活動になると1か月に一度になっちゃうし」
「課長の家に行っても、紳士的だし、お料理上手だし、本当に好きなんだってわかったんです」
「私みたいな子供はダメですか? 付き合っていれば、私も大人になっていきます」
いやいやいや、君は15歳下だよ?
当たり前だけど俺は15歳上だよ?
俺はバツイチだよ?
君はまだこの先、もっといい男と巡り合えるチャンスあるよ?
親御さんだって15歳も年上のバツイチオッサンなんか嫌がるよ?
祝福されないよ?
うちはハゲの家系だよ?
あとデブの家系だよ?
俺そろそろ危ないよ?
まあ、こんな感じのことを必死で言ったのだが、シクシクシク…と静かに泣くばかり。
最終的には、俺が折れた。
ってか、健気さに打たれた。
その後は急転直下。
まずは遠藤嬢の実家へ挨拶。
義父さんが渋ったが、義母さんが「うちだってあんたが14歳年上じゃないの」と撃破。
(後で聞くと、遠藤嬢は先に義母さんに相談していたらしい)
で、その日は遠藤嬢の手料理。
これが美味い!
関西出身の義母さんから教わった煮物(炊いたん)が絶品。
そして、鯛のあんかけで、完全に俺の胃袋は掴まれた。
うちの実家へ連れて行くと、俺の再婚は諦めていた両親は若い嫁に唖然。
そして、狂喜乱舞。
2週間でお互いの両親顔合わせ。
結納っぽい感じに。
次の春には結婚。
その冬には長女誕生。
次の年には長男誕生。
出逢いからたった2年で、俺の人生が急転直下ならぬ急転上昇。
ちなみに、ラーメン蕎麦クラブは、独身限定の会となって、今も存続していますw
(二次会で遠藤嬢狙いの後輩たちから男声合唱によるヤケクソの「ウェディングベル」がw)
>>297
めでたいな。
今晩ちゃんともげてこいな!
ウェディングベルって披露宴だとアウトな歌だけど、男が歌うとギャグになるな
「くたばっちまえ!アーメン!」
熱唱されたんだろうなぁ。
そこはラーメン!