気が付いた時には病院のベッドで寝ていた。
俺は物も言わずに昏倒して、半日意識が戻らなかった。
昏倒した俺を前にお局は「あら?俺さん食べながら寝ちゃった」とかのんきにほざいたらしい。
俺は万一にも小麦粉を口に入れたらどうなるか、周囲に念入りに説明していたのであわてて同僚が救急車を呼んでくれたそうだ。
俺が意識不明の間、原因が弁当にあるとして医師が嫁に確認をとったらしいが、家には小麦粉のストックはない。
嫁は混入など絶対に起こらないと主張。
救急車で俺を運んでくれた同僚が弁当を食っている最中に昏倒したと証言したことから、弁当を調べることになったが肝心の弁当が姿を消していた。
嫁が会社に出向いて弁当を回収しに行ったらしいが、弁当を入れている包みも弁当箱も箸も一式なくなっていた。
どこに行ったのか、嫁が同僚に探してもらったら給湯室の流し台に洗って伏せてあったらしい。
お局が給湯室で弁当箱を洗っているのを別の同僚が目撃していた。
問い詰めたら「親切に洗っておいてあげたのよ」と答えたと意識が戻ってから聞かされた。
夫婦でメニューのすり合わせをして、てんぷらを嫁が入れていないことが判明。
嫁が作って詰めてくれた弁当に、なぜ嫁が入れていないてんぷらが入ったのか。
どう考えてもお局が混入したとしか思えなかった。
俺はいつも男女共用のロッカーに弁当を入れているんだが、ロッカーの鍵を管理しているのはお局だし、仕事中に部署内にいるのはお局しかいない。
サツ人未遂で警察に届けたんだが、物証がないと動かず。
警察が動かないからと言って、コロされかけて黙っていられなかったから入院先の病院からお局の家に電話をかけた。
亭主に俺のアレルギーを説明したあと、俺が弁当を食って倒れるなり証拠の弁当箱や箸をお局はわざわざ洗ってくれていた。
うちの嫁はてんぷらを作っていないと言っているし、そもそもうちには小麦粉の買い置きがない。
第三者が混入したとしか思えないし、それ以前にも俺のアレルギーを承知で小麦粉が入っている食品をわからないように偽装して食わせようとしてきたことが度々あった。
お宅の嫁はこの日てんぷらを作らなかったか?と丁寧な言葉で聞いたら亭主は作ったと証言した。
亭主はその日のうちにお局を引きずって謝罪にきてくれた。
顔に殴られた痕があったから連れてくる前に殴ったんだろう。
「でも食べていれば治るから」とか「よかれと思って」としか言わないから亭主に俺の前で殴られていた。
どうもお局には余罪があるらしい。
詳しい事情は聞いていないが、「〇子さんにそばを出して」ウンヌンと言った内容だったから、息子の嫁にアレルギーがあって、故意に食わせて危うく嫁さんがタヒぬところだったみたいだ。
そんなお局の主張をまとめると、身内にアレルギーを持っている人がいて、その人物は子供の頃は蕁麻疹を出して大変だったらしいが、よく加熱すれば食べられることがわかった。
だから嫁子さんや俺さんも大丈夫!という理屈だった。
その主張は前に何度も聞いた。
アレルギーの出方は人それぞれ違うもので、成長してでなくなる人もいれば成人した後に発症する人もいる。
俺に小麦粉をふるまいはじめた頃にそう説明したし、息子の嫁さんらしき人物も俺と同じような説明をしたそうだが、お局は何度説明しても理解しようとしなかった。
そのくせ、物も言わずに昏倒した俺を見て怖くなって証拠を隠滅した。
それについてお局は「嫁子さんは蕁麻疹だったのに、症状が違ったから……」とか呆れて物を言う気力が萎えた。
亭主がお局を俺の分まで殴ってくれた。
俺の治療費を含む慰謝料を亭主が払ってくれたから、一応穏便には済ませたがお局が自主退社したのも、返品されたのも俺のせいじゃない。
会社ではしばらく腫れ物扱いされたが、出向期間が短縮されて来年の異動時期を待たずに元の会社に戻ることになった。
おかげで引っ越しの問題とかで家族にまた迷惑をかける羽目になった。
嫁と子に「オーストラリア旅行!」と「くまもんのでっかいぬいぐるみ!」と確約させられた。
当分嫁と子には頭が上がらない。
そういった頑なに主張を変えない人って自分がなったら簡単に変えそうだね
乙でした
殺人未遂じゃん。しかも証拠隠滅。自主退社と返品で済んで良かったと思ってもらいたいね。
気になってググったら米粉で作ったラーメンがあった。
こうやって殺された人、沢山いるんだろうな
昔は「好き嫌いは良くない」
今は「少しずつ慣らせばいい」
後者は医者が綿密に調べながらやるもんだろうに
こういう特殊なケースを利用したら合法的な殺人ができそうだな
と思いました
アレルギーって厄介だ
良かれと思って嘘の話を拡散するのも同罪だぞ
直接関わってる訳ではないが、天ぷらだって直接食わせた訳でもあるまい
そういうことじゃないとわからないのは知能が低いからか?
前科をつけてくれないと、そいつが生きている間に迷惑を受ける人間の数が増えるじゃねーか