ある日体育の授業で突き指をしてしまった俺が、保健室に向かっていたら。
その女の子が向こうからウロウロしながら歩いてきたので、おはようと声をかけたことがあった。
「女子は今日、グランドじゃなくて体育館に変更になったらしいよ」とつたえると
彼女はそのことは知っていたようで、ロッカーに入れていた体育館用の靴がなくなっていたのでかりにいくところだと言った。
そのころクラスでも小柄だった俺の靴のサイズなら、彼女でもいけるんじゃないかと思った。
たださすがに男のは履きたくないだろうと迷いつつ、提案。
サイズが同じだったのもあり、彼女が途端にホッとした表情になったので貸した。
ホームルーム時に教室でとあるクラスメイトが彼女に「ごめん、~さん、来てなかったから大丈夫かなと思ってシューズ勝手にかりちゃった」と言っているのを見た。
勝手に借りた女は周りからヤジを飛ばされていたが、当の彼女は「ううん、いいよ」とニコリとしていた。
そのときに何故だか、特に仲良くもないのに彼女が気になってしまった。
お礼が書かれた小さなメモきれももらったが、突き指おだいじにと書かれていてやさしい子なんだなとも思ったのもある。
それから彼女とは自習室を利用した帰りに下駄箱でばったり会ったり、校門まで一緒に歩いたことはあったがそれから話した記憶はほとんどない。
ただその際に、登校時間が遅いのは血圧の病気で起立性調節に問題があるからだと聞いた。
しかし特にその後何かあるわけでもなく、その子とは何もないまま終わった。
唯一話しかけるきっかけは午前中の授業のノートを貸すことだったが俺の字が汚くてはずかしかったのもあり、そう何回も声をかけることはできなかった。
それに押し付けがましくなるのだけは嫌だった。
という中学の女の子の話を飲み会でしたあと。
帰りに同僚女1人に「ねえ、俺君ってどこ中学だったの」と聞かれた。
「○中だよ」と答えると、「さっき言ってた女の子ってもしかして転校したんじゃないの」と言われたのでそうだと答えた。
中学のとき気になったその女の子とはクラスは一年間だけ同じだった。
進級後、転校していったと周りからの話で知った。
覚えていた苗字を言うと、「○○ちゃん?」と下の名前を言ってきたのでおどろいた。
「○○ちゃん知ってるよ、2年のとき私のところの中学にきて同じクラスだった」
仲が良かったのかと聞くと、今でもたまに遊ぶよ、と。
その後、一緒に撮ったやつあるから今度見せると言われ、それはいいやと言ったが持ってきて見せられた。
こんな感じの子だったっけと反応に困った。
しばらくして同僚女に「フェイスブック申請するから」と言われて友になったのがきっかけでつながりが出来、
中学の例の女の子に申請してみたら反応があったので、たまにやりとりするように。
それから仕事が落ち着いたあと、帰りに会える距離だったので久し振りに再会。
俺と同じぐらいの目線になっていて、メガネが顔からなくなってたが笑ったときの顔には面影があった。
昔話しているうちに、改めて(中学の頃の)お礼が俺君にちゃんと言いたかったのだと言われた。
礼を言われるほどのことじゃないとは思ってたが覚えていてくれたことが嬉しかった。
本当かどうかはわからないが、彼女が言うにはあのころ「おはよう」と声をかけてくれた人はほとんどいなかったらしい。
いても「やっほー」だとか「○○ちゃん」と言われるぐらい。
「あの時間帯からきてたら、そうなるよね」と笑いながら話していたが。
ろくに話したこともない俺が〇〇さんおはようと言ってきたときは本当はかなりびっくりしていたんだそうな。
昔話もそこそこに、会えば話し込むようになって頻繁に仕事帰りに会ってたらそれから話すのが日課になり。
俺の転勤が決まり後、遠恋開始。
たびたび泊まりに来るうちに新幹線代の話になり、話し合ってるうちに市役所に紙出しに行くことが決まった。
どうやら中学卒業したあと向こうも20cm以上伸びたようだけど今でも物によっては靴も交換できる。
今でも当時の元同僚女からの伝えのせいか、嫁は「俺君の初恋の相手はわたし」だと認識しているらしい。
本当は俺の初恋は小学生のころで、相手は嫁ではないのだが何であのとき咄嗟に浮かんだのが中学の話だったんだろうなと不思議になるときがある。
あのとき小学生の頃の話をしていたら、嫁とは今一緒にいないかもしれん。
内容はリアルであっても全然おかしくないんだが、
2014年の書き込みにしては淡々としてて、文章が上手くてわかりやすい
だから逆に創作臭があるw
上手い文章は年代関係なく読ませる力があるってことさ