280: 悪意2/3 08/21(金) 23:50:31 ID:edz+SqwT0
Aが神棚に手をかけ様とした途端、ひたすら「悪霊退散」を叫んでいた奥さんの顔が青ざめ「地獄へ落ちる地獄へ落ちる。」と騒ぎ始めた。
主人も打って変わって怒り出し、「やめろやめろ、呪われるぞ、死にたいのか」と叫び出す。
俺達は、この慌てようを見てビンゴだと興奮した。
Aが神棚を探ると、中から小さな箱が見つかった。
証拠があったと色めき立つ中、怒鳴る奥さんと主人を余所目に箱を開けた。
「うおっ。」とAが叫んだ。
何と、中には女の髪の毛と爪、それから動物の干からびた目玉らしき物が大量に入っていたのだ。
調査員達も余りの事にしーんとする。
奥さんが目をおそろしく釣り上げた、憤怒の形相で呟いた。
奥さん「だから言ったのだ。お前達、もう命はないかもしれないぞ。」
Aはぶるぶる震へながら箱を閉めて、上棚へ戻した。
上司に調査が失敗だった事を電話で連絡すると、上司から怒鳴り声が返ってきた。
上司「馬鹿野郎、だからお前は詰めが甘いんだよ。まってろ、今から俺が行く。」
しばらくして上司が来きた。
上司は神棚にどすどすと直行して箱を平然と開け、箱に手を突っ込み探りだす。
うえっ、よく手が突っ込めるなあ、と驚いていたら、上司がにやりと笑った。
上司「見ろ、箱は二重底だ。」
二重底の箱からは、脱税の証拠である裏帳簿が見つかった。
主人と奥さんの顔が見る見る真っ青になる。
上司は調査後に言った「真に怖いのは霊や呪いじゃない。人間の欲望と悪意だよ。人間は金のためなら嘘も付くし演技だって平然とする。今回の調査を見ろ。神棚に隠す狡さ、 “呪い”に対する人間の恐怖を利用した巧妙な手口、真に怖いのは人間の欲望と悪意だ。」
それから、一年以内に、箱を触ったAが自サツし、上司が交通事故でシ亡した。
二人が死んだのは偶然か?
本当に、真に怖いのは、人間の欲望と悪意だけなのだろうか…………
うむ。なんかいい感じ。
こういう話しすき。
書いてくれてありがとう。
最近のコメント