今思えばそうだったのかって感じなんだけど、お見合いから結婚まで何もなかった。
何度かキスしようとしたけど、なんかはぐらかされて一度もなく、ゆえにその先もなかった。
式が近づくにつれてそれが気になったけど、本当に真面目そうな子だったから、見合いだから籍を入れるまでオアズケなのかな?と思ってた。
まぁ俺も女性経験なんてこの年で過去にひとりしかいなかったし、それも大学時代のことだし、そんなもんなのかな?って思った。
で、新婚初夜。
普通に受け入れてくれたが、終わってから気付いたらキスはしてなかった。
なんかこっちも必死だったから忘れてて、キスしようとしたら又かわされて寝てしまった。
それからはキスは拒否されてると確信するようになった。
結婚してから一ヶ月ぐらい経って、元々夜の生活はあまり好きじゃないみたいで、新婚なのに週1ぐらいしか受け入れてもらえなくて、でも見合いってこんなもんなのかなって思いながらもキスのことだけがすごく引っかかってた。
それから妻のことをこっそりじっくり観察していたら、茶碗を洗う時、自分の分を先に洗ったあと俺が使った茶碗を洗ってた。
俺の当番の時、どれもこれも一緒くたにして洗ってたが、俺が風呂に入ってる間に自分の分だけ洗いなおしてるっぽかった。
言っとくけど俺の洗い方が雑だってことではない。
もしかして俺、汚物扱いされてる?って思い始めて、ある日わざと妻の目の前で妻のタオルで(いつも2枚、色違いでかけてあった)顔を拭いた。
そしたら「なんのために2枚かけてると思ってるの!自分の分で拭いてよ!!」って、ものすごい勢いで怒鳴られた。
長くてすみません。続きます。
その日の夜、一度きちんと聞いておきたいことがあるからって真面目に話し合いを求めた。
で、これまで感じていた違和感を妻にぶつけた。
そしたら口に入るものを共有することが絶対できないって言われた。
キスなんてもっての外。
料理もタオルも嫌って。
それは俺だからか?誰が相手でもか?って聞いたら黙ってた。
夜の生活できてもキスはできないってのはどういうこと?って聞いたら
「子供は欲しい、だから夜の生活は我慢できる、でもキスは無理」って。
「そもそも見合い結婚なんだから、愛して結婚したわけじゃない、それはあなたも一緒でしょう?」って。
それ聞いて無理だって思った。
俺、見合いだったけど俺なりに好きになって結婚決めたんだよなぁ。
俺、馬鹿じゃん。
「だったらそういう結婚生活は俺には無理だから、今のうちに別れよう」って言ったら、嫌だ嫌だって泣き喚いて、「我慢するからそれだけは!」って言われた。
さっきから我慢する我慢するってなんだよって、もう笑ってしまったわ。
それから何度か離婚の話合いをしたが、離婚理由は性格の不一致ってことにしてほしいって
その条件をのむなら判を押すって言われて拒否。
俺は自分には一切非は無いと思ってたから。
で、逆に判を押してくれないなら、このまま仲人さんの所に行って事実をそのまま話すって言ったら、また泣き喚いて話しにならない。
結局“性格の不一致”にする代わりに俺には非がないことを証明するためにも、結婚式や新婚生活スタートにかかった費用を“慰謝料”として支払ってもらうことで決着した。
子供が出来ていなかったのも幸いした。
たった一年の出来事だが、俺の人生の中であまりにも無駄な一年だった。
しかも×がついたし。
しばらくは興味本位で色々聞かれて鬱陶しかったが、捨てる神あれば拾う神ありか、こんな俺でもいいって言ってくれる女がいて再婚し、子供もできた。
妻には本当の離婚理由を話してある。
意外にも「キスは無理だけど夜の生活は大丈夫ってちょっとわかる気がする」って言われた。
キスは本当に相手を好きじゃないと無理かも~って笑ってた。
好きになって結婚決めたって言われてもつきあい二ヶ月だとそれで相手を知ったつもりになるのは危険なんだね
好きになる努力をするのは人間として素敵な姿勢だと思うけどね
相手の人は一般的ではないかもしれないけどキチってほどでもないし
世の中色んな人がいるって分かってよかったね
いや、じゅうぶんキチでしょ。