- 買ったドーナツの袋とレシートをBBAに奪われた。私『返して!』BBA「これは私の」別のBBA2人組「さっさと謝れ」 → 店員「あなた(私)が購入した覚えはない」私『え』
- 新居に荷物を運んで様子を見に行くと、コウトとコトメが友人を多数連れ込んで行為三昧 → 私『通報する』夫「やりすぎ」 → 加害者全員に賠償を請求すると・・・
- 娘が結婚する事になった。娘『式挙げるけどお父さんは縁起悪いから招待できない、ごめんね』俺「うん。そりゃそうだ。そうだよな」 → しかし・・・・・
- 帰宅すると部屋がもぬけの殻になっていた。嫁『娘は義父と養子縁組するので養育費はいらない』俺「離婚したくない(号泣」両親「離婚して他の女を探せ」 → 俺「おk」数年後・・・
- 朝起きたら義実家全員がすごい形相で睨んで俺を待ってた。義家族「ウワキしやがって」俺『え?』「証拠ある」 → 興信所「警察ではダメ。今すぐ弁護士に」俺『!?』結果・・・
- 娘「ケーキもパパも要らない」誕生日ケーキとプレゼントがごみ箱に捨てられてた → 数ヶ月後、俺『妻と娘は最初からいなかった事にする』妻&娘「!?」 → 緑の紙は既に提出済み
- 嫁『間男が数百万やるって言うから離婚して。ちなみに娘は托卵だよ』夫「了解」間男(意外とあっさりだな・・)離婚後、近所「け、警察ー!!」元嫁の所に警察が → なんと・・・
- 顔面ボコボコで血だらけのトメ「嫁子に暴行された」夫『警察呼ぶ、裁判もするからな』私「え?」 → 近所「自分で転んだみたいだよ」夫「!?」私「離婚ね」 → 結果・・・・
- 嫁が不在の間、風呂に入ってた16歳の娘に思わず手を出してしまった。娘(大暴れ)俺(未遂かぁ・・) → 娘「警察には言わないで」嫁『離婚』 → 俺「離婚?いやだ!」
- 暴力部長『ラオウ』がいる支店に生贄として出張することになった。ラオウ「邪魔だ!帰れ!」俺はラオウに殴られた → 俺の同行者「…待っていて下さいね」俺「!?」なんと。
- 上司「取引先からクレームが来た。お前は出入り禁止になったから担当を変える」俺「理由はなんですか!?」上司「飯の食べ方らしい。ちょっと見せてみなさい」 → そして上司たちとファミレスに行った結果。
- 嫁が間男の子供を妊娠して離婚。そして俺は間男の元嫁と再婚した。しかし5年後、なんと元嫁から連絡がくる → 元嫁「実は。。」俺「!?」今嫁「助けてあげて」俺「!?」
- 彼女「ごめん…もう嘘はついていられない」俺「…なにを?」彼女「実は…」彼女が告白した想定外すぎる嘘。俺には受け止めることができない。
- お兄ちゃんと買い物してたら友達と会った → 友「彼氏さん?」私 「ちがう、お兄ちゃん」友「!?」兄と腕組んで歩いてただけなのにスゴい引かれた。神経わからんよね。
他人の人生を三つ壊した話をしようと思う
初めてのスレ立てだから読みにくいかも知れんが。俺の10年の話を聞いて欲しい。
誰もみていなくても淡々といく
書き溜めなんてしていない。ただ俺の懺悔だ。果てしなく身勝手な俺の話。
当時の時事ネタや細かい土地なんかは身バレ防止のためにフェイクいれさせてもらう。辻褄合わないことがあったらごめん。
俺は11年間、不倫してきた。たった一人の女と。
反省はしてる。後悔もしてる。もっと早くなんで気付けなかったんだろうって心から思ってる。
11年前の夏。俺は当時勤めてた会社の支店長になったんだ。
ちっさな支店でさ、従業員も5人しかいなくて売り上げもまぁ悪いったらありゃしなかったんだ。全支店の中で最下位。いくら地方だといってもこの売り上げはないだろうと全店長がさらに僻地へと飛ばされて行ったんだ。
その異動を受けてそのY子が私もそこに異動にしてくれなきゃ辞めるって言い出したんだわ。会社も困ったんだよ、本当小さな会社でさ一人二人辞めるだけでもその店舗が回らなくなっちまうようなブラック企業でよ。
連鎖に連鎖が続いて俺のいた支店は結局、万年窓際社員のおっさんと俺だけになっちまったんだ。
緊急の会議を本社で開くことになって各支店から支店長、マネージャーが集められたんだけどそこに呼ばれたのは何故か俺。おいおっさん。
前代未聞の危機的状況、でも俺にとっては大チャンスでもあった。
嫁とちょうど結婚二年目。新婚ほやほやってわけじゃないけれど、結婚っていう非日常が少しずつ日常になっていて心地よさと退屈さを両方感じ始めていたときだったんだ。
降って湧いたような出世話に興奮が冷めやらぬまま帰宅してただいまも言う前に嫁にその話をしたんだ
途中送信してしまった
誰もみていないからよし。
嫁はすげー喜んでいきなり抱きついてきた。なんか付き合い始めた頃のこととか結婚した頃のこととか色々蘇ってきちゃってその日の晩は本当に久しぶりに愛し合った。
まぁでもピンチはチャンスでもあり、チャンスはピンチでもあった。
いくら小さい店舗だといっても今まで5人で回してきた店を2人で、ましてや使えないおっさんと2人でなんてそりゃぁもう無理だってことでとりあえず人手を借りなきゃ話にならない。
全支店に掛け合って一人女の子なら回せるよとの回答が一件だけ。他に目星しい人間も見当たらず俺は渋々了承した。
正直今の危機的状況を回避するのに女なんて役に立たないって素で思っててさ。とにかく即戦力、今日を乗り切る力が欲しかったんだ。
週が明けて月曜日、あぁ忘れもしないちゃんと月曜日だったんだよ。
金曜日が前任の異動前最終日で、土曜日の昼間にY子が飛んだんだよ。無断欠勤。やっと連絡がとれたと思ったら一言T井さんのいない店じゃやっていけません。それだけ言い残して音信不通。常識を疑うしかなかったね。
月曜日の朝、例の女の子が出勤してくることになってたんだ。聞けばなんとただのアルバイトらしくてまぁでも勤務歴でいえば2年目。アルバイト、社員問わず1ヶ月もせずに辞めていくのが当たり前のこの業界(バレそうwww)でまぁよく続いてんなって思ったくらい。
二つ隣の町の支店長と一緒に入ってくる長い黒髪のポニーテールと俺と精々5、6cmしか変わらなさそうな長身がとにかく印象的だった。というかそれしか印象がなかった。
「今日から◯◯支店でお世話になります、××支店のM野と申します。」
ハキハキと喋りその姿からは好印象を受けた。大体22.3歳だろうか?顔立ちよりもその大人びた仕草や言動に落ち着きを感じる。
××支店の店長は「まぁ良く働くからよろしくね」とだけ短く伝えて消えた。
まだこんときなんて、何の予感もなかった。でもあいつはいつも言う。あの時から感じてたんだよって私。って。
本当俺ってなさけねーよ。
そっからまぁ平和に日々が過ぎていって、奥の事務所から奇声が聞こえた。
おっさん「キェエエエエエエ」
M野「ふふっwww」
俺はそんとき接客中だったもんでお客が帰ったあとに割と本気で怒鳴って
俺「なんすか、おっさん先輩!来客中に大声ださないで下さいよ!」
おっさん「だ、だってお前!こいつの年齢知ってたのか!?」
俺「はぁ…22.3歳ってとこでしょ。いくらM野さんが落ち着いてるからってそんな年増にもみえないでしょ。」
おっさん「ちげぇよバカ!こいつ俺の娘と同い年だよ!」
おっさんの娘を思い出す。確か去年の忘年会で奥さんと娘さんがきてたはず…
俺「はぁ!?高校生!?」
M野「俺さん!あんまり大きい声ださないでくださいよ!」
色々と信じられなかった。まずこの目の前にいる女がまさか俺と10も離れた小娘だということ。
それに会社がいくらアルバイトといえ高校生を雇用していること。
俺「もしかして年誤魔化して入ったのか!?」
M野「いや違いますよ、ちゃんと一般公募が応募しました。GMに最初ものすごく反対されたそうなんですけど前の××支店長がフォローしてくれて拾って下さったんです。」
あの××の支店長が…。彼が直接人事で取ってきた人間は必ず自分の下に置いて育てるというポリシーを持った人だった。それ故か××支店出身者は必ずといっていいほど出世していた。
かくいう俺も××支店出身で今回の支店長就任にもあの人が口添えしてくれたという噂まである。
そんな人に見初められて、17歳ながらに直接育てられてきた人間。なんだか急にM野に対する思いや見方が変わった気がした。
俺「おい、M野。俺は女子供だからって甘やかしたりもしねぇし絶対に泣き言なんてきかねぇからな。覚悟しとけよ。」
我ながらなんでこんな言葉を口走ったかわからない。実際はもっとひどい言葉でまくし立てたような気もする。
下を、向いて一瞬顔曇らせる。あぁ所詮女か、ここで泣いて辞めてしまえば、その程度なんだと鼻で笑おうとした。
M野「ありがとうございます、俺さん。よろしくお願いします。」
人をおちょくっているのかと思うほどに不適な笑みで微笑む女に、なんだかよくわからない感情が生まれた。
家路について今日のことを思い出す。
M野薫。パッと見て男だか女だかかもわからん名前の女。まだたった一週間だが仕事は本当に良く出来る。
あの年で俺の持っていないような資格もいくつも持っていた。
学校には通わないのかと聞くと身体が、悪いんです。あ、頭もかと、はぐらかされた。実際真意なんてないのかもしれない。ただあの子はこの仕事が好きだと言っていた。なんだか、屈託のない無邪気な笑顔をみて心が痛かった。
家に帰ると嫁にM野のことを話した。なんてことない世間話だ。ただ凄い奴が来たんだっていう意味のない世間話で、嫁はふーんと興味なさげな相槌をうつとそんなことよりと俺に何かのパンフレットを手渡す。
何気無く目を通したそれは住宅ローン相談会の案内だった。
「出世もして給料も、あがって~あとは家と子供でしょ!」
俺より4歳年上の嫁。でも本当に彼女は可愛い。夜のお店で働いていた彼女のところに通いつめて、3年がかりでゲットした彼女。そしてそれからもう3年かけて結婚。結婚2年目といっても付き合いできえば8年目だった。
それでも俺たちはいつまでもラブラブだねと頬を未だにつつき合っていた。風呂だって週末は一緒にはいる。子供に家に…。
なんだか自分の頃に思い描いた夢の全てを、だんだんと叶えていっているようだった。
「おはようございます亮太さん!」
急に呼ばれて振り向くとMのがいた。なんで急に下の名前で?疑問には思ったがあえて、つっこまなかった。それすらもあいつの優しさだったんだけど。
「おーおはようカオル。」
親しい部下にするように俺も下の名前で呼んでみる。カオルは何故か若干不機嫌そうな顔をする
「カオルじゃないんですけどね…」
なにかボソッといったような気がしたけれど気にしなかった。
こんな駄文読んでくれるとおもってなかったんだ
懺悔のつもりでかいてく
ID変わったけど1だ
それからの三ヶ月は実に平和だった。本社からとあるプロジェクトを任されて、そのパートナーには当然カオルを選んだ。
順調そのものだった。一緒に仕事をしていくうちにカオルのことを色々知った。
カオル、じゃなくてカオリだってこと。よく間違えられるんですっていいながら、でもなんだかニックネームみたいで嬉しいですなんて言うもんだからそれからもずっとカオルと読んでいた。
父親がいないこと。病弱の母親のかわりに中学卒業してからすぐ働き始めたこと。学歴がない故に諦めていた仕事にダメ元で挑んでみようとこの会社に面接しにきたこと。弟が三人いてその長女であること。
聞けば聞くほどにこいつが何故こんなにも大人なのかに気づいていく。口数は多くないがポツリポツリと話す過去に俺は引き込まれていく。
家庭の方も、順調だった。この時には家を買うことも決定していて相談会のようなものにも休日を割いて通っていた。
嫁の父親から譲り受けた土地に家を建てることになった。いくら土地代がないとはいってもこの時27歳の俺に1000万以上のローンを背負うことになるのは不安が大きかった。
でも嫁の夢だっていう庭付き一戸建てのためなら全然苦じゃなかったな。この家で可愛い嫁と、まだ見ぬ子供と暮らしていくんだなと思うととにかく形容のしようがない幸福感が包んだ。
あぁこういうのが幸せなんだなって心から思ってたよ。
でもなんだろうな、家を建てるんだっていう話をしたときのカオルの表情が今もなんか胸に突き刺さってる。
プロジェクトもひと段落し、大成功とは言えないが大した失敗もなく過ぎていった。
プロジェクトの終わった月の会議の日、まただるい会議だななんて思いながら席についた。
小さな会社だけに毎月の会議には社長も顔をだす。
2時間少々の会議を終えて本社を出ようとすると社長に肩を叩かれた。
社長「俺くん、ちょっと話があるんだ。」
順調だった日々に何かの壊れる音がする。
こんな風に話をする場面なんてロクなことなんて起こりやしない。
社長「俺くん、家を買ったらしいね。若いのに偉いよ。今時このご時世で持家を持とうなんて考えは中々持てる子がいないからね。」
拍子抜けするような世間話から入る。
社長「まだ正式には決まっていないんだけど、◯◯支店は閉めることになったんだ。ごめんよ、支店長にしたばかりだってのに。」
脳裏に浮かんだのはまた平社員の戻ることとか、嫁のこととか、家のこととかより先に何故だかカオルのことが真っ先に浮かんだ。本当に情けない男だけど。
社長「でもね、肩を落とさないで。かわりに今度だす新店は君に任せてみようと思う。これからも君には期待しているよ。」
社長の話によると、元々売り上げの乏しい◯◯支店は以前から閉鎖の噂が立っていた。前任の異動にかこつけて閉鎖に持ち込もうというものだった。
たった四ヶ月とはいえ、支店長として責任を持って売り上げをだそうと奮闘していた自分にはひどく不服だったが。
自分の店に戻るとおかえりなさいと笑うカオルのところに真っ先に話をしにいった。
この支店がなくなるという話をするとカオルはそうなんですか、と俺と目線を逸らして短く返事をした。
そんな予感はしてましたよ!って何の意味かもわからない笑顔で答える。
カオル「俺さんと一緒に仕事できるのも、あと三ヶ月ですか?」
カオルの震えた声の意味を知ってはいけない、反面その気持ちにひどく期待を抱いたことも事実だった。
俺「なぁ、カオル。」
カオル「なんですか?」
俺「今日さ、終わったら飲みに行かない?」
おっさんにも、今日の事を話すとそうと興味なさげに答えた。おっさんはそもそもどこの支店だろうとどんな仕事だろうと、興味なんてないようだった。
おっさんともなんだかこの四ヶ月で打ち解けてたように思ってたからなんか悲しかった。
カオルは一日中落ち着かない様子で俺の方を見るたび目が会うと照れ臭そうに笑ってた。
営業時間が終わると早々に帰り支度を始めた。
嫁にメールを打つ。
「カオルと飲みに行くから帰り、少し遅くなる。」
やましいことなんてない。仕事仲間と飲みにいく。可愛い部下と飲みに行く。だから嫁に隠すこともない素直に名前をだしてメールをうった。
嫁からは
「了解、気をつけて帰ってきてね(*^^*)」とだけお決まりの顔文字で返事がきただけだった。
店をでると向かいのチェーンの適当な居酒屋にはいる。ここ気になってたんですよね。と笑うカオルが可愛かった。
居酒屋につくとビールを頼む。今ほど未成年飲酒に厳しい時代でなかったのでカオルも同じようにビールを飲む。
最初は仕事の話。俺もこの夢を描いたときは小学生だった。
やさぐれてた中学時代とか面白おかしく語るとカオルは失神しそうなくらい大笑いしてた。いつものすましたような笑い方とは違ってこの子はこんな風にも笑えるんだなってなんだか新鮮だったわ。
酔いも周り始めるとカオルの過去や自分の話を互いに語り合った。
カオルの父親はチンピラまがいのひどいやつだった。いわゆる自分自身が愛人の子ってやつで世間の目がとても冷たいこと、それ故に母親はその時代まだ認知度が低かった精神病を患っていること。
そして自分は…そこで言葉を詰まらせるカオル。
俺「なんだよ。お互い全部話してんだから、そんなこと隠すなよ。」
カオル「だって、話したらきっと私のこと俺さん嫌いになるよ。」
俺「大丈夫だって。話してみろ。」
カオル「あのね。….私病気なの。」
カオルは足が悪かった。確かに日々の中で足を引きずっているようにも見える歩き方をしてる時があった。
どうかしたのか聞いてもカオルは捻挫したとか、足をひねったとかよく言ってたんだ。よくケガするやつだなとしか思わなかったし、みっともないからやめろとか痛い痛いってアピールすんな気持ち悪いとか結構ひどい言葉をかけてきた。
カオル「でも嬉しかったんですよ。私今まで誰にも怒られたことなんてなかった。だから俺さんに色んなことで怒られて、悲しかったし悔しかったけどそれ以上に嬉しかったんです。
親にも、先生にも、友達にも、誰にも怒られたことなんてなかった。それなのに俺さんったらとってもどうでもいいようなことで怒鳴りつけるんだもの。
嬉しいんですよ、とても。怒ることってとても労力のいることだから、怒ってくれるあなたは私のことを思ってくれているから。」
なんだか目頭があつかった。酔っ払ってるのもあったんだろうけど、可愛い部下がそんな風に思ってくれてたことがまず嬉しかった。
カオル「だから病気のこと話したら今までのように怒ってくれなくなるんじゃないかって。それで気を遣われたり優しくされたら私が悲しいもの。だからこの会社の人には誰にも病気のこと話していない。俺さんだけ。」
健気だよなぁ。だって俺の職業柄足が悪いなんて、とんでもないデメリットでさ。むしろその理由で辞めていくやつなんていくらでもいたんだよ。
でもせっかくつかんだ夢だからって誰にも言わずに痛いことも言葉にも出さずに俺に罵られてもすいませんでしたで隠し通して。なんか俺が恥ずかしくなるくらいだったわ。
俺「あのさ、カオル。俺こんどの新店も俺が頭で入る予定なんだ。許されるかどうかもわからないけど、俺絶対お前のこと連れて行くから。一緒にまたやってくれるよな?」
カオルは一瞬驚いた顔をしてから泣き出した。
俺「俺さ、将来独立するんだ。これは昔からの夢でもあって俺の中の決定事項で。その時まで、ずっとパートナーでいてほしい。独立する時もパートナーとしてそばにいてほしい。」
カオルは顔をぐちゃぐちゃにして、はいっと笑った。
本心だった。仕事してて息が合うことも、カオルの身体のことも全部考えての本心だった。
でもこの言葉がカオルの人生を縛り付けて変えていくことなんてこんときなんも考えてなくて、ただその時の本心だったんだよ。
泣き出したカオルを見る周りの視線も痛かったし、俺はトイレにいくフリをして会計を済ました。
俺「そろそろでようか。」
カオル「あ、お会計は?」
財布を取り出すカオルを制止する。
俺「もう済ました。こういう場面で財布なんて出すもんじゃねーよバカ。」
カオルはふふっとすまして笑うと、俺さんはすごいなぁとつぶやいて俺に並んで歩きだした。
俺「カオル。」
店をでて数歩、ん?と顔をあげるカオルを俺は抱きしめた。
俺「幸せにしてやるよ、絶対。」
俺の胸の中で泣き出す。鼻水きたねーとかいいながら顔をあげさせる。
カオルがずっとあの時が一番幸せだったっていう瞬間だったんだわね。キスしちまったんだよ。
酔っぱらってやっちゃったといえばそうでもあるし、覚悟があったといえばそうでもあるし。
美化する気もなんもない。ただ本当に最低最悪なキスだったとおもう。
カオルはつたなく舌を絡めて息が出来ないようで俺の胸を叩く。
我に帰った俺はカオルから舌を離すと、通りがかったタクシーをとめてカオルを押し込んだ。
俺「気をつけて帰れよ。」
カオルはこくんとうなづくと後部座席からずっと俺に向かって手を振り続けてた。
頑張んなきゃ、なんか言いようのないやる気に満ち溢れながら家路についた。
おかえりーっとテレビを見ながら言う嫁を抱きしめる。
酒臭い、酔ってる?という嫁にもキスした。愛しているよという俺に嫁はもうといいながらキス仕返してくれた。
嫁と久しぶりに一夜を共にした。ガンガンする頭を冷ますために無理やり冷たいシャワーを浴びた。
ああやっちまったなー、カオルに今日あったらなんていおう。覚えてるかな、カオル。酔っ払ってたからな覚えてないかもな。なんて思いながら家をでた。
珍しく俺の方が早い出勤。カオルこなかったらどうしよう。ドン引きされてんじゃねーの。こんなんで辞めさせてたら俺の立場ねーじゃん。
自分勝手な思考ばっかり巡る。本当クソ野郎だった。
おっさんがおはようと出勤してくる。カオルはまだ来ない。おっさんが水野さん今日おっそいね、と能天気に言う。俺は気が気じゃねぇ。
カオル「遅れてごめんなさい!」
何時もより15分ほど遅れてカオルがくる。
カオル「昨日のお礼です。」
俺がいつも飲んでるUCCの缶コーヒーに、マイルドセブンのライト。こいつ、本当に俺のことよく見てんなと思って顔を見るとフッと顔を背けられる。あれ?覚えてないのかな。
その日もその日からも俺たちはあの日のことを口に出すこともなく仕事をしていった。
俺がミスって落ち込んでる日には黙って缶コーヒーを差し出してくる。
俺「ありがとな。」
カオル「パートナーですからね。」
素っ気なくいうカオルのその一言にとてつもない意味が秘められている。あの日のことを覚えてるよ。それを思わせるたった一言だった。
ある日の休憩開けにカオルから煙草の匂いがすることに気付いた。カオルがこそこそと鞄をいじる横を見るフリをして手元をみると俺と同じマイルドセブン。
俺「煙草くせーぞ。口ゆすいどけ。黙っててやるから。」
カオルはハッとして振り向く。黙ってうなづくと洗面所に消える。今までしてこなかったことを急にするようになる。俺のせいかななんて胸が痛くなる。痛いだけ。
あのカーテンは?ベッドはどうする?子供の部屋の間取りは?
いずれ日常になってしまうことも、こうやって計画をねって考えているのって本当に楽しいよな。なんか遠足前日までのお菓子を選ぶこととか友達とどこにいくかなんて計画ねってるときとか。
嫁にプロポーズするときもそうだった。友達に作戦会議と称してどんな場所でするか相談したり、初めていく宝石店で一人悪戦苦闘したり。嫁のアクセサリー箱から指輪をひとつくすねてきて同じサイズのもので嫁の好きそうなデザインを選んでみたり。
結婚が決まると今度は結婚式であーでもないこーでもないって、結構もめて口論にもなったけど
でも過ぎてみると案外いい思い出でしかないんだよな。今じゃあんなに夢見た結婚生活だって当たり前だし、家だって建って住んでしまえばもうそれも日常だし。
でもこんな夢のような特別な時間が1000万で買えるんだったら、嫁の夢を1000万で買えるんだったら安いもんだな、なんて。
カオルとはちょいちょい飲みにいってた。あいつと飲むと何故か俺めっちゃ心地よくていっつも飲み過ぎるんだよ。
いつも帰りぎわにキスして抱きしめてた。カオルは充電出来ました。また明日も頑張れますっていつも言う。
可愛いもんだよな。俺のキスとハグで明日も頑張れるなんて。でも俺一回もあいつのこと抱かなかった。
俺も若かったからギンギンにボッ起してるときもあったんだけどカオルに俺さん、したくならないんですかって聞かれても平気、としか言えなかった。
今思えばよくわかんないだけどね。
カオルへの気持ちも正直よくわかんなかったし、カオル自身が俺をどう思ってるのか確信もなかったし。
嫁を裏切れないなんてキスまでしといてなんのこだわりなんだかもわかんないんだけど、そこだけはなんて女々しいこと考えてた。
社長に本社に呼ばれていくと、今後についての話し合いだった。よく頑張ったご褒美にと閉鎖後の一週間、会社の経費で東京への研修を言い渡された。嫁も連れていっていいって言われて一週間も東京旅行できるようなもんだから俺は舞い上がったね。
ちょうどその週嫁の誕生日でさ、降って湧いた誕生日プレゼントに嫁は大喜びした。
仕事休まなきゃねって困ったようなフリしながらその場ですぐ有給申請してる姿をみて素直じゃねーなーなんて。
カオルには飲みに行った夜に研修の話をした。カオルは一週間も会えないの?とさみしそうに言った。
さみしいのか?ときくとこくんとうなづく。珍しく素直な反応に驚いた。
カオル「東京、いったことないからお土産かってきて欲しいです。」
俺「なにが欲しい?カオルにだけとっておきの買ってきてやるよ。」
カオルはすごく喜んで考えこむような仕草をする。
カオル「んーーーー。と、東京バナナ?」
俺「お前東京に東京バナナしかないと思ってるだろ。」
カオル「正直おっしゃるとおりです。」
椅子から転げ落ちそうになるほど笑うカオルをみてまたなんだか愛しくなる。
こいつに東京みしてやりてーなー。ていうかこいつ知らないこと多すぎて、本当に色々みしてやりたくなるんだわ。
俺「いつかお前と行きたいな、東京。色々面白いものあるんだぜ。」
カオル「行きたいなぁ、俺さんと。」
さみしそうに言うからなんかバツが悪くなって今日は早めに切り上げようといって店をでた。
その日はあんまり酔っ払ってなかったからかな。カオルにキスしなかった。
カオル「充電、してくれないんですか?」
初めてカオルから求められたキスに驚きつつも、抱きしめる。
カオル「東京、いいなー。」
俺「行きたい?」
カオル「うん。」
カオル「初めての東京は、俺さんがいいな。」
俺「何もかも、初めては俺が教えてやるよ。お前が知らないようなことも俺はなんだって知ってるからな!」
くっさいセリフをはなつとカオルが笑う。
我ながらクサイから恥ずかしくなってタクシーにカオルを押し込む。
俺「じゃあな!」
カオルと東京かぁ。いいなそれなんて思ってた。
実現するなんて思ってもないし、期待もしてなかった。
東京研修にいく話をお得意さんに何気ない世間話でする。
「カオルちゃんもいくの?」
俺「いやカオルは…」
すっかりパートナーで定着した俺たちはすっかりセットだと思われている。嬉しいかぎりではあるんだが。
お得意さんはんーというとカオルに
「あのさ俺その週、東京に出張の予定があるんだけどさ新幹線のチケットあげようか?」
「俺くんとカオルちゃんと三人で飲みにいこうよ。あっちの美味しいお店知ってるし。」
突然の発言に戸惑いが、かくせない。
カオル「えっ、いいんですか!?」
俺「カオル、せっかくの機会だしお言葉に甘えさせて頂いたら?」
お得意さんは全然いいよーといいながら俺たちにプライベート用の電話番号を教えてくれた。
チケット取れ次第持ってくるからと言い残してさっていく。
俺「まさかの展開だな、カオルちゃん」
カオル「ええ、まさかですね。」
カオル「でも神様からの、プレゼントかもしれません。」
カオルが珍しく無邪気に17歳相応の笑顔を見せた。
カオルの夢がこんな形にせよ叶ったことが俺は嬉しかった。
俺さんと一緒に仕事してて唯一嬉しかったことですーなんて悪口叩きながら嬉しそうにしてるカオルみてるとなんかこっちも楽しかった。
だんだんと支店の中の荷物がなくなってく。もうこの店でカオルやおっさんと仕事するのも最後かと思うと感慨深い。
カオルがその頃はまだガラケーのカメラで店内をパシャパシャと撮っていた。
カオル「俺さん、オッさんさん!最後だし一緒に写真取りましょう!」
オッさんが俺はいいと拒むと俺とカオルの2ショットになってしまった。
俺「これじゃあただの2ショットだな。」
カオル「しかもオッさんさん撮ってくれる気なさそうだから。これいわゆる自撮りってやつですよ。」
俺「やめてくれよ。」
カオル「ふふっ。いいじゃないですか。記念に、2ショット。」
半年以上一緒にいて初めて2人で写真を撮った。
カオルは照れ臭そうにありがとうございますといった。
オッさん「イチャついてないで早くこっちのダンボールだしてくれよ。いつまでたってもおわんねーよ。」
いつにもましてテキパキと働くオッさんにせっかくの感傷を邪魔される。オッさんめ。仕事しろ。
カオル「うるさいハゲ」
小さくつぶやくカオルに俺は思わず吹き出してしまった。
俺「ハwwゲwwwwwwww」
カオル「声大きいですよ!」
俺「オッさんってサザエさんのさあ…」
カオル「あ、アナゴさん?」
俺「wwwwwwwwwwwww」
無駄に大きめな声でサザエさんの替え歌を歌いながら作業してるとカオルが時々遠くで吹き出す。
張本人のハゲたアナゴさんは黙々と仕事してた。サザエさんの替え歌うたってる支店長なんて許されるんだろうかなんて思いながら俺は歌うのをやめなかった。辞める気もなかったぜ!
嫁は有給が3日しか取れなかったと文句を垂れていた。でも誕生日当日はどうやら無理矢理休んだようだ。
久々の東京。社会人になってからは初めてだった。嫁と色んな観光名所をまわった。会社には領収書切っていいよと言われてたからちょっといいレストランで食事して、夜は会社でとってくれたホテルに宿泊してた。
昼間は研修に東京の支店で、研修といってもお茶をすすってるだけだったんだけど。
夜は嫁と遊びまわった。早いもので嫁の有給の三日間はあっという間に過ぎて行った。
嫁を送りに東京駅へ。嫁を送り届けると、東京にいる同級生に連絡をとる。
初めての歌舞伎町で同級生とぼったくられる経験をしたのは本文には関係ないのでよそうとおもう…
お得意さんのI田さんとカオルがくるのは東京最後の夜になる日だった。
俺はなんだかワクワクして寝れなかった。心にあることを決めてたから。
夜中に待ちきれなくなってカオルにメールする。
すぐに返信がくる。カオルも寝れないんだろう。
遅刻したらコロスとだけかいて送った。俺も素直じゃないなぁなんて。
コンビニであるものを購入して眠りについた。
次の日の朝、寝坊した。カオルとI田さんから鬼のような着信履歴とメール。
慌ててI田さんに掛け直すと3コールほどで出る。
俺「すいません寝坊しました!」
I田さん「やっぱりな。」
後ろでカオルがほら寝坊だわ!と叫ぶ声が聞こえる。
俺「今どちらに?」
I田さん「六本木むかってるから、君も支度出来次第で六本木きて。」
いそいで六本木に向かう。ホテルから数分のところを指定され、すぐに2人と合流できた。
俺「寝坊したわ」
カオル「だと思った」
俺「お前よく起きれたな」
カオル「殺されたくないからね!」
逆に殺されるの俺やんと青くなる。カオルはあっかんべーとしてI田さんのところへかけていく。
初めての東京に興奮気味のカオル。インスタントカメラで写真を撮りまくる。
写真好きなんだなーなんてぼーっと見てたら俺の写真をとられる。
カオル「トーキョーと俺さん」
俺「それ作品名?」
カオル「そう。よく撮れたとおもうよ。」
俺「そりゃそうだろモデルがいいからな。」
カオル「そのビール腹と二重あご直してからいってください。」
2人でケラケラ笑いながら歩く。
遠くに見えるトーキョータワーにカオルが指をさす。
カオル「あれトーキョータワー!?!?」
俺「みりゃわかるだろ。」
カオル「すごーい!テレビみたい!」
テレビや漫画の世界が目の前にあるということが不思議なようでずっと遠くのトーキョータワーを見つめ続ける。
俺「嬉しい?」
カオル「はい、とっても」
I田さんが微笑ましそうに、見つめる。親心のようなものなんだろうか。年端もいかない少女の無邪気がとても愛らしい。
その日は一日三人で行動した。何件もはしごしながら東京の街で、飲み歩いた。カオルが若干フラフラしながら俺にしがみつく。
カオル「ごめんなさい、俺さん。」
頭をなでてやると嬉しそうに猫のようにニシャっと笑う。長い黒髪に笑うと三日月になる目がとても好きだった。白い肌に黒髪がよく映える、涼し気な目元が彼女のクールな雰囲気を引き立てるんだろう。
こうやって街を歩くと本当に彼女が人の目を引くことが良くわかる。道行く男が彼女を二度見する。
俺「今日はなんだかおめかしだな。」
カオル「わかりますか?」
俺「うん。髪の毛くるくるしてて、可愛い。」
嬉しそうに目を細める。
カオル「田舎者だと思われたくないからですね!」
と強がりながらふふんと言う。
普段地味なひっつめた髪の毛の印象よりかだいぶ魅力的にみえた。
I田さん「カオルちゃんホテルはどうするの?」
カオル「んー、適当にどうにかします!」
I田さん「俺がホテルとってやろうか?」
俺「ホテルとってあるよ。」
出まかせをいう。
俺「会社に頼んで俺と同じホテル一室とったんだ。」
カオル「本当に!?」
I田さん「なら俺くんもカオルちゃんもタクシー乗って。これタクシー代。」
俺はもう一件いくから~と夜の街に消えていく。アクティブな人だなーとカオルと2人で背中を見つめる。
カオル「嘘でしょ。」
ばれてた。
カオル「ただのアルバイトにホテルなんてとるわけないじゃない。」
カオルが笑う。
俺「一緒の部屋じゃ嫌なの?」
カオル「やじゃないよ。」
タクシーに乗る。行き先を告げると静かにタクシーが走り出す。
カオル「あぁ、すごい。地名がドラマと一緒。麻布に六本木に渋谷に」
俺「当たり前だろ。」
カオルを引き寄せて手を握る。照れ臭そうにカオルが握り返してくる。
俺「初めての東京はどうですか。」
カオル「とても幸せです。」
ギュッと俺の手を強く握り返す。そのあとはずっと無言だった。右肩に感じるカオルの体温が心地よかった。11月の冷える夜にとってもあったかい体温だった。
「着きましたよ。」
ある決意をこめてカオルの手をひいてホテルの部屋に向かう。カオルもきっと同じだったとおもう。手汗がやばい。興奮とか緊張とか罪悪感とか色んな感情が湧き上がる。
部屋に入るととりあえずテレビをつける。お行儀よく靴を並べるカオルの背中を見つめる。
なんかよくわかんないフリスビー対決がやってた。テレビのチャンネルをまわす余裕もなんかなかった。
俺「どっちから風呂はいる?」
カオル「こういうのって普通どっちが入るんですか。」
俺「先入れよ。」
カオル「覗かないでね。」
俺「覗いてほしいの?」
カオルが浴室からあっかんべーしてくる。お湯の出し方がわからないとか浴室でギャーギャー騒ぐカオル。
うるさいので開けてみにいくときゃっと短い悲鳴をあげる。
俺「どうせ見るからいいだろ。」
カオル「明るいからやだ。」
カオルに追い出されて煙草に火をつける。なんだろなこの女が風呂入ってるときの手持ち無沙汰な感じって。
昨日の晩に買ってきたゴムの箱をあける。一つとりだして枕元においておく。
しばらく待っているとカオルが濡れた髪ででてくる。
カオル「おでこ広いからみないで。」
俺「おっさんのことハゲとかいいつつ変わらんやんけ。」
無言でカオルに足を踏まれる。
カオル「お風呂はいってきてくださいよ!」
浴室につめこまれると俺は一息ついてシャワーを浴びる。
初めてキスしてから、半年以上経って初めての夜だった。
続きかく。ごめんね薫。
初めて身体を重ねた。今までの時間を埋めるかのように朝まで愛し合った。
結果からいうとカオルは処.女ではなかった。そうだとは思っていたし別にショックでもない。それに俺には嫁だっている。それをわかった上でカオルは身体を許した。
事後、煙草に日をつける。
カオル「ちょーだい。」
カオルが俺の吸いかけの煙草をふかす。
カオル「ふふっ、俺さんとおそろいの匂いだ。シャンプーも、服も、煙草も全部おそろいだ。」
カオルが俺の胸に顔をうずめる。
カオル「あのね、俺さん…」
俺「なんだよ。」
カオル「なんでもなーい!」
茶化して誤魔化す。
俺「帰ったらさ。」
カオル「?」
俺「帰ったらフリスビーしよ。」
カオル「ばーか!」
カオルがふてくされて布団にこもる。後ろからカオルを抱きしめる。カオルが俺の方をむく。髪の毛がすごくいい匂いだった記憶がある。
カオルに貸した腕が冷たい。
俺「カオル?泣いてんの?」
カオル「泣いてにゃいし!」
涙でふにゃふにゃの顔で言う。
カオル「幸せだなっておもっただけ。」
カオル「今日だけだよ。」
地元に戻ると××支店の支店長と顔を合わせた。
××「二人で東京いったの?」
探るような言葉をかけられる。
俺「いいえ。でも最終日の日にお得意さんとカオルと三人で飲みましたよ。東京方面に用があったようで。」
ふーんといぶかしげな目で俺を一瞥すると、がんばってね、新店と言い残して本社のほうに去っていった。
その週からは新店としての業務を開始しなければならなかった。新店のメンバーはおっさん、俺、そしてカオル。に加えておばさんと、今年の新入社員のY太。
カオルと歳の近いY太がカオルに気があることには薄々気づいていた。カオルは能天気なもんで、そうなの?としか答えない。
カオル「私は俺さん一筋だもん」
冗談めかしていうが目は笑ってなかった。
新店舗は問題もなく順調だ。
新居ももう残すところあと一ヶ月といったところだった。
俺「なぁY太。俺ん家の引越し手伝ってくれよー。」
Y太「いいですよ。」
俺「カオルも手伝えよ。」
カオル「絶対に嫌です。」
冗談のノリでいったがカオルをひどく傷つけていることも自覚していた。
俺と嫁の、新居なんてきっと見たくもないだろう。
俺はとにかくカオルを翻弄したかった。俺のことで病んでやつれて変わってくカオルが愛しくてしょうがなかった。
新居への引越しも無事に済ませて、一ヶ月。
嫁が実家に三日間法事で戻ると言う。
本当に仕事があった俺は行っといで嫁を見送った。
あー三日間フリーじゃん。とケータイに手を伸ばす。カオルと遊びにいこうかな。
「カオル、今日から三日間さ、あけれる?」
「どうして?また変な仕事じゃないですよね。」
「失礼な^ ^遊びにいこうかとおもって。電話できる?」
カオルから直ぐに着信がはいる。
俺「もしもし、カオル?」
カオル「お疲れ様です。遊びにいこうってどういうことですか?」
俺「いやさ、嫁が三日間いないからさ。どこかいきたいところない?」
カオル「んー。俺さんのいきたいところ。」
俺「じゃあ明日の日曜日、お前ん家の近くのヨーカドーの前で待ち合わせね。」
カオル「なんで私の家の近くにヨーカドーがあること知ってるんですか。」
俺「うるせー、田舎者。」
カオル「!?!?明日遅刻したら怒りますからね。」
俺「うるせー、明日10時な。おやすみ。」
一方的に電話を切る。
少しして、メールの着信音がなる。
「明日はとびきり幸せな日にしてほしい。」
そう一文だけ残してあった。
あー、そうだなぁ。あいつ海嫌いとかいってた気がする。あいつの言う嫌いはやったことない、いったことないのが多いんだよなぁ。
海いくかー。11月だけど。
カオルが喜ぶ顔を想像して顔が緩む。俺の、カオルちゃん。
新居の洗いたてのシーツに飛び込む。あぁ、嫁やさしいな。帰る前にシーツ洗ってくれたんだなぁ。
俺は特技の三秒で就寝を発動した。
案の定目覚ましをセットするのを忘れた俺は寝坊していた。
車に乗ってエンジンをかける。ボロボロの中古の軽自動車。女子高生はべらかして浮気してる男の車じゃねーなーなんて考えながら道を急ぐ。
途中カオルから着信がはいる。
「もしもし俺さん!?また遅刻ですよ、もう。」
「ごめんってもうつくよ。」
「青いワンピースです。」
遠目にカオルを見つける。東京の時よりさらにおめかしだ。
俺「おまたせいたしました。お嬢様。」
カオル「俺さんが遅いからもう待ちくたびれたわ。あげる。」
コンビニの袋をあけると缶コーヒーと煙草。
俺「火つけて。」
俺たちの煙草をつけるときのルール。お互いの吸いかけを渡すんだ。カオルは新品の煙草の封を切って口に咥える。未成年喫煙だ。というと誰のせいでと睨む。顔を背けながらライターを、手に取りボッと火をつける。
カオル「はい。」
俺「ありがとう。」
カオル「どこいくんですか?」
俺「んー?どこいこうね。」
あえて決まってないフリをする。海に向けて車を走り出す。嫁と何度もいった岬だった。
俺「海いくんだ。」
カオル「うみ?」
俺「うん、海。」
カオルは黙ってナビを起動してくれる。
特に渋滞もなく車を走らせる。
カオル「俺さんが運転してる。」
俺「おう。助手席がお前なのは不服だけどな。」
カオル「こんな美少女乗せといてよく言うわね。エンコーおじさん!」
カオルが俺の脇をくすぐる、危ないからやめろってと笑いあう。
俺「よくさ、まだ嫁と結婚する前にきたんだ。金がなくてもただドライブして、海を見つめてるだけでよかったんだ。」
俺「灯台があってさ。その灯台で願い事すると叶うって言われてて、それ目当てでいったんだけど。探しても探してもないのよ。んではぁどこなのってもたれかかった小さい白い建物が灯台だったっていうオチなのよ。」
爆笑してくれるだろうなってふっと隣を見ると悲しそうな顔で前を見つめていた。あぁ、きっとまずいこといったんだなって他人事みたいに考えてた。
カオル「俺さん。」
俺「ん?」
カオル「俺さんの願いは叶いましたか?」
ひどく冷たく言い放つカオルに背筋が寒い。
叶ったよと短く言うと、カオルは聞こえなかったのか返事をしなかった。
俺「カオル、前見てごらん。」
ちょうど見えてきた海を見せようと声をかける。
カオル「うわぁ…!」
キラキラと目を輝かせてすごいすごいと騒ぐ。
カオル「海初めてみた!」
だろうなぁと思いながら車を走らせる。
俺「まぁそんな乗り出さなくてももうすぐつくからジッとしてな。」
はーいと楽しげな声で返事をして、きゃっきゃっとはしゃぐ。
11月の海は静かだった。海水浴の客もまるでいなくて、時間も早いだけあって俺たち二人だけの貸し切り状態だった。
カオル「海だー!すごーい!青い!綺麗!」
カオルが裸足になって砂浜を駆ける。後ろからみていてすごく絵になる姿だった。
俺もなんだか感傷的になって海を見つめる。
色んなことがこの場所から生まれた。彼女と、彼女から嫁になったあの子と、そして彼女であり、永遠に彼女でしかないこの子と。
後ろからパシャりとシャッター音がする。
カオル「いい男だからいい画になったよ。」
カオルがはにかむ。海にむかって何枚もシャッターを切っていた。
俺「もう少し向こうの方まで歩こうか。」
歩きだす俺のうしろをてこてこと裸足でついてくる。
無言で手を繋ぐ。カオルが嬉しそうに握り返す。
滅多に手を繋いでなんて歩けない。この二人しかいない世界がひどく幸せに思えた。
俺「カオル。幸せか?」
カオル「多分いま、世界一幸せ。いや宇宙一かもしれません。」
海を見つめながら答える。まだ崩れない敬語に寂しさを覚える。
カオル「あっ、あれ!あれ灯台?」
俺「そうそうあれ。灯台にみえんだろ。」
カオル「あれはちょっと残念な感じwww」
カオルが灯台に登りたいというので灯台に登る。相変わらず貸し切りだ。
カオル「願い事するんです。」
俺「何をお願いするの?」
カオル「内緒。」
多すぎるカオルの秘密。きっと俺に叶えることの出来ない、秘密。
灯台を降りると灯台の下にまばらに人が集まっていた。ひとしきり見て疲れた俺はそこにあったベンチにかける。
俺「なんかあんのかな?」
カオル「みて!綺麗!」
視線をあげた先には真っ赤な夕日が登っていた。
おれに
途中送信した
俺の後ろにたってカオルが目隠しをする。椅子に座ってる俺の目はカオルの両手に簡単に視界を奪われる。
カオル「見たい?」
俺「見せろ。」
カオル「じゃあチューして。」
初めてカオルからおねだりされた。びっくりして顔をあげるとカオルがにしゃぁっと目を細めた。
カオル「なんてね。」
カオル「お腹すいたからご飯食べましょうよ。」
照れ隠しのように前を歩くカオルを追いかける。
夕食にはそこの名産品だっていうエビフライを食べた。カオルが美味しい美味しいって食べてるのを見れてそれだけで嬉しかった。
シャコが嫌いだっていうカオルに無理やりシャコをむいて食べさせる。半泣きで食べ始めて美味しいって言わせたのは気持ちよかったな。それからしばらくシャコシャコいってたのはうるさかったけど。
カオル「シャコ♪シャコ♪」
俺「シャコシャコうるせーぞ」
カオル「シャコって食べ物だったんですね。」
カオルがあんまりにも真剣な顔をして言うもんだから吹き出してしまった。
帰り道の車内には海から反射した赤い日差しがたくさん入ってきた。カオルはいつまでも海を見つめ続けてた。
俺「願い事、叶うといいな。」
カオル「叶わないですよ。」
俺「どうして?」
カオル「叶っちゃいけないから。」
悲しそうにつぶやくとまたシャコの歌を歌い始めた。
カオル「シャコ♪シャコ♪どーしておまえはシャコなの~♪」
俺「…。」
カオル「生まれ変わったらシャコになりたい。」
俺「それでいいのかおまえの人生。」
カオル「本心ではない。」
カオルが先に吹き出して二人でずっと笑ってた。
カオルって俺の何なんだろう。カオルは俺のこと好きなのかな。俺はカオルのこと、好きなのかな。
俺「カオル。今日は帰るの?」
カオル「?」
カオル「帰りたくないよ?」
カオルを連れて、ゲームセンターにいった。
猫が好きだっていうからキティちゃんの人形とろうとしたら全然とれなかった。カオルは笑い転げながらキティちゃん好きじゃないしwwwってずっと笑ってた。
二人でメダルゲームして、もう8時もまわってたからゲームセンターをでた。
俺「ご飯食べる?」
カオル「んーシャコ食べたからそんなにお腹すいてないかも。」
俺「じゃあコンビニで適当にかってホテルいくか。」
ホテルっていうと急にカオルが顔を赤くした。ホテルにいったことがないらしい。そりゃそうか。
適当なコンビニで飯と酒を買う。
カオル「俺さん!」
俺「なんか欲しいのあった?」
カオル「ポップコーンかって!!」
カオルが俺にポップコーンを押し付けてくる。
俺「えー、俺ポップコーンきらい。ポテトチップスにしよ。」
カオル「えー。」
急に場面がデジャヴする。嫁もポップコーンが好きだ。時々嫁とカオルが重なる。容姿は全然似ていない。嫁はロリっぽい、身長も低くて目もクリクリしてる。
以前俺が低身長が好みだというとカオルが泣きそうな顔をしていたことを思い出す。嫁に一度会ったときにも低身長が好きなんだと声を震わせていた。
俺「嫁とお前。本当に似てるわ。」
カオル「どこが?」
俺「ポップコーンが好きなところ。」
カオルが吹き出す。
カオル「俺さん!」
俺「今度はなんだ。」
カオル「グミかって!!」
俺「嫁もグミ好きなんだよ…なんでおまえことごとくそんな…」
カオル「そして、ちなみに?」
俺「俺はグミが嫌い。」
カオル「だと思いました。」
カオルが勝手にグミをカゴにいれる。それからというものカオルは必ず俺にグミをねだる。でもカオルはグミしか俺に買ってほしいとねだらなかった。
ホテルにつくとまたカオルがはしゃぎ出す。
カオル「わー!ひろーい!わー!おふろすごい!わー!」
いつになくハイテンションなカオルをみて俺まで楽しくなってくる。
出来たばかりの綺麗なホテル。奮発してよかったななんて遠くで思う。
買ってきた酒をあけながらカオルと語り合う。10も歳が離れているというのにこいつの言うことはいつも的確で俺の意図や本心を見抜いてくる。
話す内容はいつも仕事のことばかり。嫁もこいつもそうだ。俺のことになると本当に必死で自分のことのように頭を抱えて悩んでしまいには自分の方が悩みすぎてしまう。
そんなところまで似ている。全く逆のようで本質が似ているから俺は惹かれてしまうのかもしれない。
カオルにも嫁にも失礼かもしれないけれど。
ウイスキーを二人で一本あけて、だいぶ酔いもまわったところでカオルがテレビのチャンネルをいじり出す。
お決まりのようにA.Vが流れ出しカオルが顔を真っ赤にする。
カオル「身ちゃいけないものをみました。」
俺「当たり前だろ。ホテルなんだから。」
そういうと急にカオルが身構え出す。逃げ出そうとするカオルを捕まえて耳元で囁く。
俺「そういうこと、する場所だからね。」
カオルはぎゃーっといって風呂場に逃げる。ついでにはいってこいよと促す。
カオルと二回目の夜を共にした。
その日カオルは生理が始まってしまったと悲しそうにいった。
俺「生理んときは妊娠しないんだよ。」
カオル「そうなの?」
何も知らないカオルにいたずら心が芽生える。避ニンをしなかった。それからずっと一回も避ニンしなかった。
事後にカオルを抱きしめるとカオルが泣き出す。
やっちまったかととおもってカオルにどうしたのと聞く。
カオル「あのね、俺さん。言ったら嫌われるかもしれない。言っちゃいけない言葉かもしれない。」
俺「どんな言葉でもいいよ。いってごらん。」
カオルの頭を優しく撫でる。
カオル「俺さん。私、俺さんのこと好きになっちゃった。」
そんなことかよと思わず声に出る。
カオル「え?」
俺「言わなくたってわかるだろ。俺だっておまえのこと好きだよ。愛してる。でなきゃこんなふうにおまえのことしない。海になんて連れてかない。」
カオルは、ずっと泣き続けた。カオルは泣き疲れて眠ってしまった。
その日は一回だけでカオルのことを寝かしてあげた。
カオルから聞いてしまったその言葉と気持ちに、自分の口走った言葉と気持ちに戸惑っていた、
気づいていなかったわけじゃない。いやむしろ自分が見て見ぬフリをしようした気持ちに面と向かってしまうとどうしようもない気持ちにしかならなかった。
次の日、カオルを家まで送っていった。
カオルはまた泣きそうな顔をしていた。
カオル「じゃあね、俺さん。」
俺「泣くなよ。最後じゃねぇんだから。」
俺「また後でな。」
カオルが助手席から立とうとする。捕まえて耳に囁く。
カオルは顔を真っ赤にして、わたしもといってアパートに消えていった。
好きだよ。か。
自分の言葉に疑問をもつ。好きだ。確かにでもどんなふうに?
離婚してまであいつを選ぶのか?あいつは俺とどうなりたいんだ?
また疑問がたくさん生まれる。俺はそんな疑問や気持ちを無理やり押さえつける。考えないようにする。
世の不倫男だってきっとみんなそうなんじゃないのか。好きなんだよ、どっちも。
でもどっちに対しても違う好きなんだよ。
ハンバーグとカレーどっちが好きってきかれて、どっちも好きなんだよ。選べないだけで。
でも毎日食べるならカレーのほうがマシとか。たまのご馳走ならハンバーグとかそんな程度の差でしかなくて。でも現実問題はそんな軽いもんじゃなくて。
何も考えてないわけじゃない。考えたくないだけ。
俺は家に帰らずそのまま仕事に向かった。カオルはきっと一度風呂に入ってから来るんだろう。
俺は、なんなんだろう。
それからの俺はカオルに対して冷たくなっていった。
意識していたわけじゃないけれど、どう接していったらいいかわからなくなってしまった。
Y太と楽しそうに話すカオルをみて嫉妬してしまった。カオルにそんなに楽しいならY太と付き合えば?というとそんなんじゃないと反抗される。
俺「俺だけ嫁がいるって不公平じゃん。お前も彼氏作れよ。そしたらフェアじゃん。」
今思えばとにかく最低だったと思う。それからカオルはY太と一緒に帰るようになった。
嫁になんか最近機嫌悪いと聞かれる。正直にカオルとY太が仲良くしていることが気に食わないと話してしまう。
嫁もカオルに似た悲しそうな笑顔でそうなんだと笑った。そのとき嫁のことがとても愛おしくなった。
しばらくレス気味だったが、その日久しぶりに嫁を抱いた。
カオルとはそれから数ヶ月冷戦状態だった。これみよがしにY太も俺の方をチラチラと見てくる。きっと俺とカオルの関係にも薄々勘付いていたのだろう。勝ったと言わんばかりの笑みで俺を見つめる。
Y太「最近カオリちゃんと喧嘩してるんですか?」
ニヤニヤと俺を見つめる。カオリちゃんとわざとらしく呼ぶことにも腹がたった。
俺「そんなんじゃないよ。それより、おまえカオルと付き合うにしろ上手くやれよ。うちの会社、一応社内恋愛禁止なんだから。」
Y太「そうっすね、まぁ上手くやりますよ。」
小憎い言葉を吐き捨ててY太がカオルの元へいく。カオルが困ったように俺を見つめる。
そんなにY太がいいなら好きにしろよ。
俺は自分が数ヶ月前に吐いた言葉すら覚えちゃいなかった。
カオル「俺さん。Y太さんから告白された。」
そんなことをのうのうと報告しにくるカオルにも心底腹が立った。
俺「で?仲良くしてんじゃん?好きにしろよ。」
カオルが泣き出す。なんでないてんだよ。
カオル「俺さんがフェアにしよっていうから、そうしようとしただけなのに」
カオルはただ俺にフェアじゃないから嫌われた、そうおもっていたようでいやいやY太と仲良くしていたらしい。
俺は何故かホッとする安心感と、男としてY太に勝ったそんな充足感とで満たされた。
俺「俺はカオルのこと彼女だとおもってるよ。フェアとかなんだとかひどいこといってごめん。お前は俺の彼女だ。お前に好きな奴ができたらその時は去っていっていい。でも、そうじゃないなら俺のそばにいて。」
どうしようもなく、身勝手で最低な男だろ。カオルを縛り始めたんだ。俺は。
俺の中では縛っているつもりなんかなかった。でもカオルは縛られてた。
カオル「好きな人なんてもう2度とできるわけないよ。」
カオルは俺の胸の中でいつまでも泣いてた。その夜俺は久しぶりにカオルを抱いた。
カオルが何回も何回でも俺の手で果てる姿をみてものすごい征服感だった。
身も心も全部他の男じゃ満足できないくらいに躾けてやろうとおもったんだ。例えどんな男に抱かれてもこいつは感じることも出来ないくらいに、堕としてやろうとおもったんだ。
カオルはY太を振った。あれからカオルは俺にべったりでY太とは一切会話をしない。
Y太は苦虫を噛み潰したような表情で俺を見つめる。
俺「どうしたY太。ふられたのか?」
嫌味たらしく言う。
Y太「俺さん、いつか後悔しますよ。」
もてない男の僻みでしかないとおもった。カオルは俺のパートナーであり彼女でありペットだった。
お前の入る余地なんて少しもないんだよって心ん中で冷ややかに笑ってた。
調教まがいのこともカオルにしてた。なんでも一通りした。後ろの処.女もぜんぶ
セイ液は飲むのが当たり前なんだよって嘘を教えるとそれからカオルはずっと飲み続けた。これからの男にもきっとそれを常識だと思ってやるんだと思ったら笑えたね。
こいつの中で男っていうのが俺っていう認識になるのが耐え難いくらい滑稽だった。
何回でも中に出した。カオルは拒まなかった。
赤ちゃんできたらどうするつもりって俺が聞くと、俺さんの子供だったら欲しいって答えるんだ。
可愛いよ、本当。可愛いペットだったんだ。俺にとって。
でもね愛してた。どんだけひどいことしても俺カオルのこと愛してた。
そんな時に嫁の妊娠がわかった。レスからしばらくぶりの営みの子だってすぐわかった。
正直嬉しかった。不妊治療も頭に入れてた矢先の出来事だったから余計に。
嫁と抱き合ってやったな、よかったねって久しぶりに泣いた。嫁の夢を叶えてやれたって。
嫁は嬉しい嬉しいってずっと泣いてた。男の子かな女の子かななんて、その日帰ってすぐオカンに電話した。オカンはおー、おめでとーと興味なさげにいったかとおもうとそのあと嫁に代われとまくしたててきた。
嫁は電話を、とると電話越しに泣きはじめた。
あとで聞くと、自分はお母さんに嫌われてるんじゃないかって思ってたからおめでとうって言われて泣けてきたんだって。俺の子供うめてよかったって。
家建ててよかった!って本当心の底から思った。
カオルのことなんて、一瞬も考えなかった。とにかく嬉しかった。
これから先の明るい未来とか想像しちゃっていつまでも幸せの余韻に浸ってたかった。
次の日、カオルにだけ妊娠の報告をした。
カオルは拍子抜けするほどに明るくおー、おめでとうございます!と笑った。
子供ができにくいって話もしてて、あぁ純粋に祝ってくれてるんだだなんて素で思ってたよ。
カオルがどんな思いだったかなんて全然考えてなくて、本当にバカだけどさ。
ある日いつものようにカオルを抱こうとするとカオルが俺を初めて拒んだ。
カオル「ダメだよ。俺さん。」
俺「どうして。」
カオル「子供を悲しませちゃいけない。」
カオルが泣きながら言う。
カオル「私はカエルにはなりたくないよ。」
カオルの親は不倫だった。不倫の末に出来た子供がカオルだった。
不倫がどれだけたくさんの人を傷つけるか、カオル自身が一番よく知っていた。
カオルも、カオルの母も、そして妻である人もその子もみんな傷ついて誰一人幸せになんてなれなかった。
そして誰が一番悪者で誰が一番恨まれるもカオルが一番よく知っていた。
カオル「あなたを悪者にしたくない。恨まれるような人になってほしくない。」
泣きじゃくりながら俺に言う。
俺は本当に、この子をどうしてここまでさせてしまったのかわからなかった。どうしてこの子のことをここまで傷付けてここまでのことを17歳の子に決断させてしまったんだろう。
俺「カオル。」
俺「カオルのこと、好きだよ。そうやって俺を思って泣いてくれるカオルのことが、大好きだよ。」
俺「俺は悪者になっても構わない。カオルが俺といることが不幸だっていうならここで、やめてくれても構わない」
俺「でも俺といることが、俺を好きでいることが幸せならやめないで。俺はそばにいたい。カオルは?」
カオルはずっと泣いてた。私は弱いっていってずっと泣いてた。
愛してるなら別れなきゃいけないのにって。泣いてるカオルを無理やり抱いた。
カオルを何故こんなにも繋ぎ止めるのか自分でもはっきりしなかった。
俺は幸せなはずのに。嫁のことも愛しているのに。
なのにカオルのことも、愛してた。ちゃんと好きだった。
三ヶ月が過ぎて、カオルとの関係はそのままだった。
カオルは今までに増してずっと俺にべったりだった。
俺はなるべく嫁や子供のことを話題に出すのは避けていた。カオルは触れなければずっと忘れているかのようにニコニコ楽しそうに笑ってた。
カオルがある日から吐き気がするとずっと言っていた。熱っぽい吐きそう、一週間も言い続けると流石に不安になって検査薬を買わせる。
フライング検査にも関わらず結果は黒で、カオルは妊娠していた。当たり前だ、東京の夜以来一度たりとも避ニンしてこなかったのだから。
カオルは泣きもせず笑いしなかった。
カオル「おめでとうっていってくれないの?」
声が震えているのにも気づいてた。
ごめん。以外にかける言葉も見つからなかった。なんで祝ってあげれないんだっけ。あぁそうだ俺、結婚してるからだ。
遠くにボーっとそんな思考がある。カオルはおろすねと言うとその日は早々に帰っていった。
おろすといっても俺にそんな金はなかった。そんな大金を引き出せば嫁に怪しまれる。すべてパーだ。
カオルは自分の貯金からだすとあっけらかんといった、それが当たり前かのように。
また俺はごめんとしか言えなくなって俯いた。
えへへー、妊娠かーとカオルは無理やり笑った。
俺は誰を傷付けているんだろう。誰を幸せに出来ているんだろう。
カオルは一ヶ月間おろさなかった。カオルは一度だけ産んでもいい?と聞いた。俺は否定も肯定もできなかった。
俺「カエルの子、産んでいいの?」
カオル「うんじゃダメだね。カエルの子はカエルになったけれど、カエルの子のカエルの子なんてそんな不幸、ないよね。」
カオルは自分をいつもカエルに例える。阿婆擦れカエルなんて、笑って言うけれど全然笑えなかった。
嫁との子は順調に、育っていっていた。
カオル「ねぇ。私の子供と。奥さんの子供の違いってなんだろうね。」
カオル「私の方が早く妊娠してたら産めたのかな。この子は死ななくて済んだのかな。」
カオルは完全に精神を病んでいたと思う。当たり前だけど。
死ぬとか死なないとかそんな話を良く、持ち出すようになった。俺のせいだった。ただの無邪気で無垢な子供だったはずの子をこんな風にしたのは俺だった。
カオルが手術の日の前夜、俺はカオルと口論になっていた。仕事中のカオルの態度が気に入らないそんな理由だった。
俺「お前なんなんだよその態度。なめてんだろ人のこと。」
カオル「…」
俺「人のこと舐めんのたいがいにしろよ。」
カオルはその日体調が悪いといって早退した。
同意書にまだサインしてなかった俺にカオルは、サインだけしてくださいという短いメールを送りつけてきた。
カオルの態度に腹が立っていた俺はメールを無視した。多分電話してくるだろうとほかっておいた。
深夜の2時をすぎてもカオルから連絡がない。ふざけんなよと思いつつ電話をかける、カオルは出なかった。
メールをうつ。
「お前なんのつもり?こっちはこの時間まで待ってんだけど。早く同意書もってこいよ。」
カオルから15分ほどして返信がくる。
「もう友達に代筆してもらったから。」
その返信にも腹が立ってカオルに電話をかけまくった。出るまでかけるつもりだった。10回ほどの着信を残してカオルがでた。
俺「お前なんのつもりなの?サインはどうしたの?」
カオル「もう連絡しないつもりだった。友達にかいてもらった。」
俺「代筆なんて許されんの?」
カオル「だって私の子供が誰かなんてだれにもわからないじゃない。」
俺は言葉につまる。
カオル「それにサインする気ないんだなとおもって。そりゃそうでしょ。手術の前夜にメール無視して、わたしにはあなたのほうがわからない。」
カオル「どういうつもりって私が聞きたいよ。態度がっていうけれどつわりで、気持ち悪いっていうことはまるで理解しようとしてくれないんだね。」
カオル「お金とか妊娠した責任とかどーでもいいよ。私も悪いから。というかわかっててやってた自分が一番悪い。私だけが悪い。」
カオル「あなたは少しも悪くない。でも心のない言葉にもうあなたはわたしのこと好きじゃないと思ったから、離れようと思っただけ。」
カオルの言葉に言い返す言葉なんてあるわけなかった。
俺「ごめん。」
俺「カオルちゃん好きだよ。」
カオルが電話越しに泣いてるのがわかる。
カオル「明日私は人を殺す。」
カオル「そんな私でもあなたは好きでいてくれる。」
カオルが泣きじゃくる。
俺「嫌いになんてなれるわけない。」
カオルがごめんといって電話を切る。
俺は急いでメールをうった。俺が送信するより先にカオルからメールがきた。
「明日きてくれる?」
「手術には立ち会えないけれど、終わったら迎えにいく。」
早く家を出れば嫁に怪しまれる。早朝の手術には立ち会えない。
「嬉しい。ありがとう。」
どうして俺は。
http://hayabusa3.open2ch.net/test/read.cgi/news4viptasu/1444418804/
- 友人「お前のダンナさんが俺の嫁のフリン相手だった…」私「許さない!離婚だ!」旦那「してない!信じてくれ!」 なかなか認めない旦那を毎日攻め立て無事に離婚 → しかし3年後、友人夫婦が訪ねてきて
- 嫁「父にはもうわだかまりは無いから、せめて結婚報告はしたい」そして嫁はかつてフリンして離婚した嫁父と20年ぶりに再会 → 当時のまさかの真相が発覚し….
- ブライダルチェックで発覚してしまった俺の過去が原因で彼女との結婚が破綻しそうなんだが….
- 寝室。ウワキの現場。響く艶やかな嫁の声。 そしてありえなすぎるウワキ相手。怒りを持続できない俺がいる
- 美男美女のエリート夫婦。その嫁「離婚する。もう旦那が…信じられない…」私「どうしたの!?」嫁「見ちゃったの…」私「!?」 → 嫁はトンデモナイ光景を目撃した
- 彼女「私たち別れたほうがいいと思う」俺「!?」同棲していた大企業勤務の彼女にそう言われ、まだ好きだったけど別れた → その後、俺の開いた店に彼女が偶然来店。彼女は俺を見るなり大泣きし..
- 妻「好きな人ができた。離婚したい」夫「それは許す。だから戻ってきてよ」妻「…離婚して」夫「…わかった。幸せになってね」 しかし3年後 → 妻「やりなおしたい…」 なんと夫は..
- 嫁に冗談で「ブタ、トド、ハゲ」と言っていたら、嫁が司法試験に受かってしまった。 嫁「あなたを訴えます」どうにかして離婚回避できないか…?
- 嫁とはほぼレス。しかし飲み過ぎた夜に嫁が誘ってきて一発でヒット。 まあ誰でも疑うよな。今思えばイカれてるけど子供は健康に産ませてやろうと思った。嫁は廃人になったけどね
- 俺「うわ…母ちゃんウワキしているやん。よっしゃ!証拠を父ちゃんに見せたろ!」 → 想定外な事態になってもうた…
- 妻「子供ができない原因はあなたにある。だから別れて」俺「何でわかるんだよ!」妻「検査で私には問題がなかった」俺「!?」そして結局離婚 → 数年後、元妻とばったり再会するが..
- 娘の名前を『水子』にしようとしたら兄貴に殴られた。殴る権利が兄貴にあるのか!?
- 明るくて人気者で美人な同僚「遊びのつもりだったけどねw元旦那には不満とかなかったしバレないと思ってた。でもやっぱり悪いことはしちゃダメねw」 → しかし後日、なんと彼女の元旦那が私を…
- 【動画】 タバコ吸ってた佐川の配達員さん、晒しあげて炎上
- 北朝鮮兵5人、ロシアの女子大生に性的暴行
- 【サッカー悲報】 中国父さん、ピッチの横幅を狭めるという奇策に出るも結果的にCKが蹴りやすくなって結局日本に負けてしまうwwwww
- 【事件発生】 ボク「特上海鮮丼(2010円)をひとつ頼むで」→ 店長と言い合いになる結果に…なぜなら…
- 【速報】 小室眞子さん、帰国で宮内庁困り果てるwwwwwwwww
- キタ――(●∀●)――!! 米司法省、日本の国会議員5人に贈賄の疑いの中国籍を訴状 ← 5人の中に岩屋外務大臣
- 【復讐】 完璧なコトメに『差し出した子ども』が…その理由がヤバすぎるwww
- 【修羅場】 私実家に遊びに来ていたはとこに、出会い頭ビンタ張られた。
- 15年前、マザコン父がはっちゃけ発症して「ママと一緒に住む!」と無断で会社辞めて実家に帰ってしまった。そしてコロナ禍の今・・・
- 兄に「お前の酒癖は病気だ。医者にかかれ」と言われショック。酔うと嫁を泣かすのが楽しくなってしまい…
- 自分にとってダイエットに必要なものってアドレナリンなんじゃないかと思い始めた
- 【悲報】逆シャアの時のシャアってなんでシャアを名乗ってんの・・・・・・・・・・・他
- ワイ、声優オタクと結婚した結果→…無事精神が死亡 離婚寸前他
- 【衝撃】女が風呂に入らない理由、これ他
- レイプ被害者女児「1人でトイレ行くのが怖い」 教師「加害者がトイレまで来るわけないだろ」他
- 【ウマ娘】寮に手抜き工事が発覚しトレセン内で野宿する事になったウマ娘達他
- 「大学院卒です!大手自動車メーカーで自動運転の開発をしています!」←こいつの年収ってどんくらい?他
- 三大よくある意外なオチ「化け物は元人間」「この世界は人工物」あと一つは何?他
- 正直東京と大阪って都会度変わらんよな他
- 彼女が妊娠。その父親は間男。そして彼女と間男は結婚し、順風満帆のようだった → しかし10年後、成長した子の顔は2人に似ていなくて、、他
- 「稼ぐの難しい」「収入減った」中国で相次ぐ無差別殺傷は“社会への報復”? 事件で注目「三低三少」とは他
終わったか
ではシね
タイトルの回収は?
嫁、不倫相手、不倫相手の子供ってこと?