義両親は「うちは男ばかりで華やかさがないからうれしい」と大喜びで迎えてくれて、緊張しながら訪ねた私はほっとした。
訪問した日、料理上手なトメ(※姑)が腕によりをかけてくれた夕食は美味しくて、進められるまま四人でお酒を飲んでいたらいつの間にかウトが潰れていました。
片付けも終わって部屋に引き上げようとした時、三男さんからこっそり通話中のスマホを渡され、「?」と思いながら通話にでると相手は長兄さん。
「どうしても話しておきたいことがある。近くまで来ているから家の連中に内緒で出てきてくれ」と言われ、ますます私は混乱しました。
元旦那から「兄は両親と折り合いが悪くて昔から家によりつかない」と聞いていたため、その連絡に最初は不信感を持ちました。
そんな私に三男さんがある録音を聞かせてくれました。
ゾッとするような内容でした。
ざっくり説明すると、私を酔わせてウトが襲う。その段取りの一部始終の録音でした。
話していたのはウトとトメと元旦那。
血の気が引いた私に、三男さんが「上の兄の奥さんが被害に遭ってるんだ。あいつ(元旦那)は昔から親の言いなりだから危ないと思ってた」と。
三男さんは私たち夫婦の帰省が決まってからずっと不安に感じていたそうで、私たちが到着してすぐ三人で案の定な相談をはじめたため長兄さんにSOSをかけたそう。
義両親がやけにお酒を進めてきたのは、つまりそういうわけだったみたいです。
ただ、私は自分で言うのもなんですがザルなので、この時は逆にウトが潰れて未遂に終わりましたけど。
「長兄夫婦が匿ってくれるから、このまま出て行ったほうがいいよ」とも三男さんは言ってくれました。
酔いもさめてアタマまっしろでした。
とりあえず、旦那には忘れ物したからちょっと買ってくると言い残し、長兄さんが待っている義実家から徒歩五分の距離にあるファースト・フード店に。
長兄さんと奥さんがいっしょでした。
奥さんは泣きながらずっと私の身の心配をしてくれました。
奥さんも結婚してすぐのころ、帰省した時に義実家で酔いつぶされてウトに抑え込まれたそうで、インされる寸前で長兄さんがウトを半殺しにして救い出したそう。
その後絶縁を選び、私たちの結婚式だけは嫁(私)さんに悪いからと出席してくれましたが、徹底して距離を置いていたそう。
当時まだ小学生だった三男さんはそれを覚えていて、私と奥さんが似たタイプの女だったことから両親を警戒していたら、両親と元旦那がいっしょになって計画を立てていたことから長兄さんに連絡。
長兄ご夫婦は私を奥さんの二の舞にさせまいと、慌てて高速を走って駆け付けてくれました。
もし私にウトが乗り上げるようなら、三男さんはウトと元旦那をバットで殴るつもりで待機していたと聞き、何も知らずにのこのこと義実家にいき、熱烈な歓迎に浮かれていた自分が恥ずかしくなりました。
同時に、ものすごい怒りがこみあげてきて、あの三人を後悔させてやると腹を決めました。
ご自身がそんな怖い目に遭ったのに、ご夫婦で駆け付けてくれた奥さんには感謝しかありませんでしたし、絶対仇を討とうと。
このままいっしょに戻ろうと言ってくれた長兄さんご夫婦にお礼を言って、何食わぬ顔で義実家に戻ってどうしてやろうかと思っていたら、翌日に三人が仕掛けてきました。
朝一で、元旦那が地元の友人と約束があると言って出て行ったときに、「あ、これは来るな」と思ったのでスマホをいつでも録音できるようにして、トメと二人でしばらく料理を作っていました。
そのうちトメがわざとらしく「〇〇がないみたい。ちょっと買ってくるから火を見ててね」みたいなことを言って出ていきました。
二人きりになってすぐウトが豹変。
がばっと後ろから抱き着いてきて、上記の暴挙。
私にぱおーん状態のゾウさん握られてウト、断末魔の悲鳴。
派手に漏らして泡吹いて白目を剥きました。
同時に駆け込んできたバットを手にした三男さんとトメ、ぽかーんw
三男さんは私を心配してウトを見張ってくれるつもりでいたようですが、実害が及んだらまずいと思って部屋にいてもらっていました。
(でももし私の悲鳴とかが聞こえたら駆け付けるつもりで、バット持って待機していたみたいです)
買い物に行ったはずのトメが、なぜか手ぶらで目を剥いていたので、にっこり笑って言いました。
「警察、呼びますね? 息子の嫁を乱暴しようとして返り討ちにあった主犯と共犯者さん」
(この時の私は、相当恐ろしい顔をしていたと思います。トメだけでなく三男さんまで腰を抜かしたのでorz)
どもりながら何をしたのか聞いてきたので、「軽く握ってひねっておきました。一応救急車呼びますね」と答えて、その場で救急車を呼びました。
どうしたのか聞かれたので、正直に「ウトに強〇されかけたのでとっさに股間を強く握ってしまった。白目を剥いて泡を吹いてる」と伝え、駆け付けた救急車で搬送されました。
不幸なことに、不能にはなっていなかったみたいです。
さすがに砕いたらまずいと思って手加減をしたんですけど、手加減しすぎたみたいです。
長年、握力が鍛えられるスポーツをしていたので、私の右手の握力は50近くあります。
男の人と変わらないので、本気でやっていたら再起不能かと。
(検証したことはないので定かではありませんが;;;)
そのまま警察に事情聴取されることになったので、ウトに襲われたことをマヤり(※演技し)ながら説明。
文章で書くとすごく冷静に立ち回ったように見えるかもしれませんが、実際は抑え込まれた恐怖がその時になってこみあげてきて、歯がガチガチ鳴るほど震えていました。
(その時の私はブラウスのボタンは全部飛んでる、ブラは引きちぎられている、腕や肩には抑え込まれたアトがくっきりという状態でした。)
ウトは60代とはいえ体格のいい男です。
油断して人の体を撫でまわしはじめるまで、上から馬乗りで押さえつけられていたので油断してくれなければアウトでした。
正直、来るだろうと予想はしていましたけど、怖くなかったといえば嘘になります。
再度同じことをやれと言われたら絶対無理です。
あの時の私は、前日の怒りと絶対長兄さんの奥さんの仇を討つという感情が前に出ていたのでパニックを起こさずにすんだのだと思います。
さっくり被害届を出し、三男さんの録音が証拠となって共謀のトメと元旦那もまとめて警察に引き取ってもらいました。
(私の録音はちゃんととれていなかったので証拠にならず。)
その後は両親が激怒して弁護士を探してくれて、離婚の手続きをはじめました。
何が何でもブタバコにぶち込むと気炎を吐いた両親を説得し、示談に応じました。
三男さんが長兄さんにSOSを出し、義両親のようすを注意してみていてくれなければ、何も知らなかった私はきっと無事ではすみませんでした。
離婚すれば他人の私と違い、未成年の三男さんは両親と次兄が性犯罪者だと公になれば多大な泥をかぶることになります。
それだけは避けたかったので、慰謝料と二度と接触をしない、離婚届に判を押すことを条件に手を打ちました。
世間体を気にする義両親は、自分たちが性犯罪者だと公になるのを恐れて、こちらが吹っ掛けたかなり法外な額を言い値で払ってきました。
家も土地も何もかもを処分して支払った義両親は無一文になったようです。
ただ三男さんは長兄さんご夫婦が独り立ちするまで引き取ると言っていたので、受け取った慰謝料から学費に相当する分を送金するつもりでいたのですが、長兄さんご夫婦から辞退されました。
長兄さんから「自分たちは、妻が父親に強〇されかけたとはだれにも言えず、黙って絶縁するしかなかった。あの時の自分たちの悔しさが晴れた気がする」と言われて、仇は打てたんだなと少しだけ気が楽になりました。
元旦那がどこでどうしているのかは知りません。
離婚を決めてすぐ私がスマホを変えたことや、元々私と元旦那は会社の同僚だったことから一連を私の口から報告して離婚のためしばらく身辺がごたつくと上司に相談していたため、ほとんど懲戒解雇に近い形で会社を追われていきましたので。
元旦那が私を父親に差し出した理由は「パパンに言われて逆らえなかった」で、「一度ヤれば満足するって言ってたし、一度くらいいいじゃないか」だそうです。
離婚の話し合いで、弁護士同席の場でそう自爆してくれたおかげでスピード離婚となりました。
どこかで野垂れタヒんでいてくれと願うばかりです。
さすがにネタ臭が強すぎる