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【長編】クズの俺が父親になった話
続きが楽しみ!
続き楽しみにしてます
すまん。
スレ立ててくれた人ありがとう。
体調崩して来れなかった。
色々指摘あるが、10年近く前の話なんだ。スルーしてもらえると助かる。
シリアスな話しになるのは申し訳ない。
いい思い出もたくさんあるんだ。ただ書きたいことだけ書いていく。
今日夜書けたら書きます。
すまん遅くなった。
やることやったらすぐ書いていきます。
楽しみにしてる
続き
ハルは6歳になった。
随分お兄ちゃんになったんだ。
一年前まではまだまだお子ちゃまだったのにな。
こだわりが強いせいか、計画通りにいかないといつも泣き叫んで怒ってた。
うまくいかないことがあっても、
それに合わせながら毎日のスケジュールをたて、少しずつだけど改善してきた。
今は一人でも随分自分のことが出来るようになった。
靴を履くのも、歯を磨くのも人まかせだったのに。
ハル自身、自分で何でも挑戦する楽しみを覚えた。
これも保育園の協力のおかげだ。
精神科の先生もハルの成長をすごく褒めてくれてた。
俺自身もすごく驚いてたな。
ハル「パパ?
アンパンマンはバイキンマン、パンチするのよくないね?」
悲しそうな顔で、昨日借りたアンパンマンのDVDを見ていた。
俺「うん、そうだなw」
ハル「あーーーん。(泣)
バイキンマンイタいよー
かわいそーなのー」
クライマックスでは必ず本気で泣くハル。
俺が常々痛いことしちゃ駄目だって言ってる。
ハルはアニメでも十分に痛いことが伝わっているようだ。
人と接しても、相手の気持ちや感情の理解などができないハル。
やっぱりこだわりは強かったけど、それでもハルなりに思いやりがあって優しい子に育ってくれてる。
それが何よりも嬉しかった。
就学相談を終え。
来年はいよいよ小学校だ。
ハルにとっての分岐点。
俺もこの時ばかりは慎重になった。
職員「ハルちゃんは十分通常の小学校での教育を受ける適性はあります。
お父さんはどうお考えですか?」
判定前の希望を聞かれた俺は、すぐに答えることが出来なかった。
ハルを通常の小学校に通わせるべきなのか。
特別支援学校に通わせるべきなのか。
一度地域にある特別支援学校と、小学校に見学に行った。
ハルは通常の小学校に行くのをすごく楽しみにしていたんだよ。
何しろ仲良しのマイちゃんがいるんだ。
見学の時にも、マイちゃんやマイちゃんの友達と運動場で走り回ってた。
ハルちゃん可愛いって言われて嬉しかったんだろうな。
家に帰っても、
ハル「○○おねーちゃんがカワイイって言ってたのw
カワイイ?」
俺「可愛いよw」
ハルは可愛いって言う単語が好きなんだ。興奮して嬉しそうにするハル。
その姿がとても愛らしい。
俺は将来ハルにとって一番良い選択をしてやりたいと望んでる。
確かにハルの成長は思った以上に早かった。
同年代の健常児の子達とも、差ほど変わらない感じだと思う。
少し前までは考えられなかったことなんだよな。
でも、不安で仕方なかったんだ。
佐々木先生「判定で通常の小学校でも大丈夫だったそうですね?
本当に良かった」
俺「ありがとうございます。」
佐々木先生「なんか浮かない顔。
どうしたんですか?」
本当は喜ぶべき事なんだよ。
でも俺はそう簡単に、手放しで喜ぶことが出来なかった。
観察での全体行動に関しては問題ないと言われた。
ただしコミュ力に関しては少し不安が残る。
この1年本当にハルは頑張った。
支援サークル活動での一泊二日のキャンプ。
地域の子供会での旅行。
不安だったけど、ハルにとってもプラスだと言われ俺は着いていかなかった。
少しずつ慣れない環境に触れさせ、沢山の人達の支援の中成長していった。
このまま普通の小学校に入学して、学力はついていくことは可能かもしれない。
でも、まわりと少し違うハルは友達と溶け込むこともできず、孤立していじめにあったりするんじゃないか。
どうしてもそうマイナス思考になってしまう。
ハルの意思を尊重するのであれば、せっかく適性のある通常の小学校に入学させるべきなんだが。
何より俺が一番不安だったのは、ハルの安全面だった。
日課の散歩での出来事。
車道に一匹のカエル。
恐らくそばの池から移動してきたんだろう。
急に俺の手を振り解き、道路に飛び出すハル。
あっ、危ない!
急ブレーキの音で一瞬血の気がひいた。
ハルから僅か2メートル先で車は急停車。
本当に危なかった。
ハルは車が来たことなんて気にせず、そのカエルを手でもちフラフラと池まで歩いていった。
運転手さんに謝ってハルの元へ。
俺「ハル危ないだろ?
車にひかれるとこだったぞ。」
ハル「カエルさん大丈夫だよw」
笑顔で俺を見るハル。
俺「ハルは大丈夫じゃなかったかもしれなかったんだよ。
道路に飛び出したら危険なんだからな。痛いじゃ済まないだろ?」
ハルはキョトンとした顔で俺を見る。
ハル「カエルさんは痛くてもいいの?」
俺「よくないよ。
でも、ハルが死んじゃったらパパ悲しいだろ?」
ハル「カエルさんが死んじゃってもいいの?」
俺「パパはハルもカエルさんも死んでほしくないんだよ。」
ハル「カエルさん死ぬのいやー」
泣き出すハル。
どうやらハルは、昆虫や小動物。
小さな命は守らないといけない。
そう思っているんだ。
間違いではないんだけどな。
ハルはその受け取り方が少し違ってた。
その件以来、トラウマになってしまった。
小学校は保育園とは違う。
四六時中先生がそばにいるわけじゃない。
危険な場所もたくさんあるんだ。
もしハルが通常の小学校に通うことを考えると、気が気でなくなる。
俺の中では、特別支援学校にするべきだ。と答えが出ていた。
必ず一人担当の先生もいる。
送り迎えだってバスできちんとしてくれるんだ。
そばにいれない間は、やはり安心できる場所にハルを預けたい。
そう考えていた。
佐々木先生には自分の気持ちを正直に伝えた。
佐々木先生「ハルちゃんはこれから成長していくにあたって、たくさん壁にぶつかると思うんです。
それを支えるのがお父さんであって、私たちまわりにいる大人なんだと思います。」
俺「はい」
佐々木先生「環境が変われば、誰だって不安になるもんですよ。
それでも自立するために、みんな挑戦していくんですよねw」
ニッコリ笑う佐々木先生。
佐々木先生「ハルちゃんにとって、今成長の過程で一番大事な時期なのかもしれませんね!
ハルちゃんのやる気を見守ってあげるのも親の役目ですよ。」
俺「でも、俺の知らない所でハルが傷ついたりするかもって思うと…」
佐々木先生「ハルちゃんなら頑張れる。
そう信じてみませんか?
生意気言ってすいませんw」
少し気が楽になった。
俺自身がハルは他の子達と違うって区別していた部分が大きかった。
それは親として一番駄目なことなんだと気づいたような気がする。
もっとハルを信じて、成長を応援していかなければいけないな。
馬鹿みたいに悩んで本当に情けないよ。
育児サークルや発達障害の支援セミナーの人達からも、ハルにとって通常の小学校に通わすのはプラスだと後押しされ。
小学校の校長からも、様子を見ながら支援級での学習も取り入れると言われ進学を決めることにした。
親とは不思議なものだ。
自分の事以上に子供の将来を考えてしまう。
頑張れ!
そしてハルは、通常の小学校へと進学することになった。
俺もこの時、新しい挑戦をすることにしたんだ。
会社の社長から何度も正社員にならないかと言われてた。
それでも保育園の迎えなどの時間や、少しでもハルとの時間を作りたかったこともあり、
ずっと断ってきたんだ。
会社に迷惑かかるからな。
社長「そうか?
残念だな。一番期待してた若手だったのに。」
俺「すんません。
俺なりに色々考えまして、
そろそろ自分の将来もしっかり見つけようと思います。
本当にお世話になりました。
社長には助けてもらってばっかりで。
この御恩一生忘れません」
俺はお世話になった会社を辞めることにした。
それは自分のため、ハルのため。
ハルは新しいことに挑戦する。それは勇気がいることだ。
俺がいつまでもアルバイトしてるんじゃ駄目だ。
そう思った。
社長「そうか。そうか。
頑張れよ。
いつでも戻ってこい。
お前は息子同然なんだからな。」
社長は泣いて見送ってくれた。
本当にいい人だよ。
本当に助けてもらった。
家も無く路頭に迷ってる俺を拾ってくれたんだ。
本当に子供のように可愛がってくれた。
いろんなことを教えてくれた。
感謝してもしきれない。
俺とハルは新しい1DKのマンションに引っ越した。
新規一転新しい生活が始まる。
俺はすぐ仕事が決まった。
成長したよ。
昔は何十回も面接を受けて、何一つ採用されなかったのにな。
前からずっとやってみたいと思ってた仕事だ。
堅物だけど男気のある親方のいる工務店。
見習いから修行することになったけど、将来大工になりたいと思った。
昔から工作が好きだったんだ。
いつか一人前になってハルのために家を建ててやりたい。
庭にはブランコ。
ハルの部屋には俺の作った玩具や子供用の家具。
夢が膨らむ。
俺は幸せな理想の親子を想像した。
それだけで頑張れるんだ。
入学式。
大きなランドセルに制服。
ピカピカの一年生。
ハル「一年生の、松井ハルでしゅ」
家の中で何度も自己紹介の練習をするハル。
なんだか大人になったみたいで、少し誇らしい気持ちになった。
卒園式では佐々木先生とお別れってことで、先生のそばから1時間も離れず困らせてたのにな。
随分泣いて大変だった。
夏が過ぎ秋が過ぎた。
色々大変だけどハルは毎日が楽しいみたいで、小学校に通わせて良かったのかもと少し安心していた。
ハルが2年生になったある日、仕事中に学校から電話がかかってきた。
先生「お仕事中すいません。
支援級の山下です。
今日クラスのお友達が…」
俺は仕事を早上がりし、急いで学校にむかった。
職員室に着くなり、支援級の先生が俺に話しかけてきた。
山下先生「お忙しい中すいません。
今ハルちゃん、別室で担任の先生とお話中なんです。」
俺が呼び出された理由。
体育の授業があると言うことで、休み時間にみんなで移動していたそうだ。
その途中、階段から同じクラスの生徒を、ハルが突き飛ばしたと言うんだ。
被害を受けた生徒の男の子は頭を打ったそうだが、大きな怪我はしていない。
大事をとって病院に行ったらしいのだが。
まさかと思った。
ハルが誰かに危害を加えるなんて。。。
今までそんな事なかった。
ハルはそんな攻撃的な性格じゃないんだ。
俺はハルのいる別室に入った。
担任「ハル君、黙ってても先生分からないの。
何で突き飛ばしたりなんかしたの?
先生に教えてちょうだい。」
きつい口調でハルに問いかける担任。
ハルはボーっと担任の口元だけ見ている。
無表情で。
俺「先生すんません。」
それを見てすぐにハルの元に詰め寄った。
担任「ハル君。
パニックになって興奮してたんですが、
ようやく落ち着きました。
クラスの友達の大(ダイ)くんを階段の上から押したそうなんですが、どうしてそんなことしたのか聞いても答えてくれなくて。」
俺「押したそうなんですがって?
先生はそばにおられなかったんですか?」
担任「えー。体育の移動は生徒のみでしますので。」
俺「じゃあ何でハルがやったって言うんです?
見たわけでもないのに。」
俺はムッとした感じで話す。
担任「他の生徒が、ハル君が押したと言ってます。
押された本人もハル君に急に押されたと言ってました。」
ただの決めつけだ。
ベテラン教師だか知らないがふざけんな。
俺「ハル?
どうした?友達が階段から落ちたんだって?
それ見てたか?」
ハルに優しく問い掛けた。
ハルは黙って首を振る。
目には大粒の涙を浮かべていた。
大分泣いたんだろう、頬に涙の後が残っていた。
恐かっただろう。
ずっと質問攻めされてたのかもしれない。
一人でよく頑張った。
俺はハルの頭を撫でた。
「父親が息子を信じないでどうする」
あの日の親父の言葉が蘇る。
俺「ハルは階段から友達を突き飛ばしたりなんかしてません。
ハルがそんなことするわけありません。」
俺は歯を食いしばって言った。
担任「でも子供達が見てたんですよ。
それに何故ハル君は否定しないんですか?
私に何も答えてくれないんですよ」
担任が俺を見る目。
それが全てを物語っている。
俺「あんたそれでも教師か?
あんたみたいな先生だから何も答えないんだよ。」
大声で怒鳴った。
今にも掴み掛かりそうだったが、
ハルがビックリした顔をしたので、自分を落ち着かせた。
俺「それでどうしたいんすか?」
冷静を装う。
担任「あの…ちゃんと大ちゃんにも御両親にも謝って頂ければ…」
その言葉で怒りが頂点に。
俺「ハルには謝る理由ないでしょ。
もっとちゃんと調べて下さい。
万が一ハルがやったなら、俺が土下座して謝りますんで。」
再び怒り出す俺。
担任「万が一と言われましても…」
その声に心配してか、山下先生と教頭が部屋に入ってきた。
半ば無理矢理話を遮られ、とりあえず後日話し合いの場を設けると言われた。
悔しくて仕方なかった。
ハルはきちんと答えられない。
パニックになってしまって、ただその場にいるのが不安だったんだから。
それを良いことにハルを犯人扱い。
ハルがまわりと違うからなのか?
ハルが自閉症だからなのか?
そうとでも言いたいよな表情でハルを見ていた。
俺を見ていた。
悔しかった。
本当に。
帰り道。
手を握り、ハルの歩幅に合わせてゆっくりと歩いた。
ハル「パパー帰ろうねw
今日ねカメさんにエサあげたの。
カメさん食べてくれたよw
いっぱいいっぱい」
無邪気なハル。
さっきのことは忘れたのか、俺に気を使ってるのかは分からない。
それでも悔しくて涙が出た。
ハルのその時の気持ちを考えると、胸が締めつけられた。
ただのリンチじゃないか。
ハルは悪くない。
ハルは嘘をつかない。
そんな子じゃないんだ。
悪い事とか、いけない事の区別がまだ分からないかもしれない。
それでも俺はハルを信じる。
先生にあんな事言ったけど後悔なんてしてないんだ。
あの時の親父の気持ちが今はすごく分かるような気がする。
そして3日後。
緊急で保護者会が開かれることになった。
続きはまた
待ってるよ
切ない展開になりそうで怖いorz
体調に気をつけてな
おやすみ
1だけど今年は節目の年なんだ。
嫌な気分で過ごしたくないのでもう書かないよ
後は勝手にスレ使ってくれ
釣られんぞ
俺がたてたんじゃないけど
読んでくれた人どうもありがとう
話は一向に進展しないのにスレだけは伸びていく
本当に1です。
俺の人生のあったことを書いてここまで否定されるとは思わなかった。
もう続きは書かないよ。本当に。
6月に籍入れたばかりなんだ。
その節目に書いてみたんだよ。
息子の自閉症に関しても、設定だと言うのはいいが否定される覚えはない。
あまり深く書きたくなかっただけ。
息子は4年前に亡くなったんだ。こんな気持ちになるなら書くんじゃなかったよ
少しながら応援してる人もいるってこと
忘れないでくれよ
楽しみにしてたんだがな…。叩く奴は無視して欲しいところだが>>1が我慢してまで書く必要はない。続き読めないのは残念だけどここまで書いてくれてありがとう、読めて良かった。
>>370
乙(・ω・)ノ
良い人生をな。
残念だ
とても残念だ。
ハル君のご冥福をお祈りします。
俺の息子も発達障害だ
今21(かな?)で来年就職だ
俺の場合、息子の母親とは息子が産れてすぐに離婚したが
俺の両親が助けてくれた
ハル君が亡くなったのはとても残念で悲しいよ
まだハル君がなくなって4年しかたってなくて、捨て切れない
思いがあるだろうけど、月並みな言葉しか出ないが頑張れ
お前に関わったすべての人が幸せになれるように祈ってる
>>455
ありがとう。
子供が成長して自立できた時は幸せなんだろうな。
そう言う話聞くとすごい元気をもらえます。
唯一息子と嫁と3人で暮らした2ヶ月だけは一生の宝物だと思ってる。
何もしてあげれなかったし幸せにしてあげれなかった。
今でも悔いが残ってるけど。。。
息子と過ごし日々が今も昨日のことのように思うよ。
綺麗事だけど、今この瞬間を誰かのために生きれたらなといつも思ってる
別スレ見たついでにね。
なくなるまでは覗くかな
残念だ
見てるなら>>466は偽物です、くらいなら言えるだろ
こちとら先月二人目が産まれて上の子も保育所行ってるから毎回胸が締め付けられる思いで見てたんだよ!
せめて幸せになって欲しいって思いながらな
それがハルが死んだ?ふざけんなよ
誰もそんな事聞きたいんじゃねーんだよ
なんだかんだあったけどハルは立派に成長して今ではサッカークラブに入ってますとかあるだろ?
なぁ、おい!いい加減出てこいよ!
こんな結末じゃあ誰も報われないだろうがよ!
本当にすまん
今休日の殆どはボランティアで障害の子や親なしの子の支援してる。
それで報われるとは思ってないけど、息子はもう帰ってこないからな。
>>475はいい父親なんだな。子供は一生の宝だよ。本当にそう思う。大切に育て幸せにしてくれよな。
私は3年前に交通事故で亡くしてしまった
俺の息子も事故だよ。
2年くらいは廃人だった。
自分で氏ぬ度胸もなくて、ガキに刺されてからはまあ簡単に氏ねないなって理解した。
今は2級とったばっかだし1級目指して頑張るかな。
とても胸が痛い…
私は壊れたままだよ
1さんは偉いね、強い
元奥さんはお元気ですか
>>479
誰だって終わった後にああすればよかった。こうすれば何か変わったんじゃないかって後悔するんだ。俺もそうなんだけど。
でも、今>>479が傷ついてるなら、身近な誰かはあなたを想って傷ついてるかもしれないよ。
残されたあなたにも必ず希望があるはずだから、どうか幸せになってほしい。
もう後悔しない生き方を見つけてほしい。
元嫁は鬱だった俺をずっと介抱してくれてたよ。
俺より傷ついてたと思うんだ。
それでも頑張ってる。もう後悔はしたくないって言って。
その通り
私は弱くて最低だからきっとたくさん旦那を傷付けてる
今度旦那の言う通り病院に行くつもり…
後悔しないよう旦那に感謝するよ、ありがとう
元奥さんやっぱり素敵な人だね
入籍が元奥さんとだったら嬉しいな…
カエルのくだりは伏線だったんだろう
報われるとか報われないとか
そういう事じゃないんだろう
なぁ>>1よ
だからって何もしないで生きてくわけにもいかないしな。
だから少しでも誰かの役にたつように生きていこうと思う。
気持ち分かる
でも、ハルちゃんは不幸になんてされてないよ
今の1さんのこと絶対応援してる
とりあえずなりすましじゃないとだけ
まあ気ー悪くする人ばかりだろうからここまでにしとくよ
>>499
おいおい嘘だろ?
マジかよ、ハル本当に亡くなったのか
つら過ぎるだろ?やめてくれよ
てか疑っていてすみませんでした。
個人的には釣り宣言してくれた方が嬉しいのだけれど…
この度は愁傷様でした
亡きハル君のご冥福をお祈り申し上げます
分泌物が止まらないのでもう寝ますしもう来ません。
最後に…近年子供の虐待死がニュースになることが多く、ニュースを見る度に心が辛くなります
今はまだ我が子が幼いので無理ですが、もう少し大きくなったら虐待から子供たちを守る働きをしたいと思っていました
数年後、万が一貴方に会うことがあれば是非よろしくお願いします
ずっと読んでました!お疲れ様です。
ハル君の事、1さんの事、元奥さんの事、現在支援されてる子供達の事もまだまだ聞きたいです。
続き見たかったなぁ…
ハルくん…
すごく残念
しばらくして>>1も新しいスレが立っていることに気づいて戻ってきてくれた。
途中で投げないで
そう言ってたけどなかなか戻らんね
実際凄い疲れそうだからなあ
なんとか頑張って欲しいわ
盆休みに書けたら書くけどそれでもいいなら
>>28
待ってるよ
本当なら、保守だな
よろしくお願いします。
おお久しぶりw
まってるよん
仕事も忙しいので二回に分けて書きます。
楽しみにしてます★
立てたやつGJ
休みなので書けるだけ書きます。
後前スレでもレスしたんだけど、結果を踏まえて読んでもらえると助かる。
前の続きから
生徒が帰った放課後。
ぞれぞろと保護者が集まりだした。
世間話などで賑わう中、ヒソヒソと何か言っては俺を見る父母さん達。
何が言いたいのかは十分に分かってる。
どうやら俺対他保護者って感じの構図なんだろう。
やましいことなど何一つないんだ。
後ろめたい気持ちなどない。
ハルにあの時の様子を聞いていた。
俺「大君はどうして階段から落ちた?」
ハル「知らないよ…見てないの」
ハルは何もしてない。俺は父親なんだ。
ハルを信じるのも守れるのも俺だけなんだ。
俺は凛とした態度で話し合いに臨んだ。
教頭「今回の件。
保護者の皆様には大変御心配、御迷惑をお掛けしましたこと深くお詫び申し上げます。」
教頭が謝罪し話しは始まった。
大ちゃんが階段から落ちたこと。
それを目撃した大ちゃんの友達AとB。
他数名の男子生徒も目撃。
A親「うちの息子が言ってました。
ハル君が急に暴れて大君を階段から突き落としたって。
大怪我をしたらどうするんです?」
B親「うちの子供も同じ事を言ってました。」
全員の視線が俺に向けられる。
俺「うちのハルは…そんな事してません…」
言いたいことは全部言ってやる。
そう思ってた。
でも異様な空気に怖じ気づく俺。
無縁の世界だと思ってた。生きてきてこんな場面に、まさか自分が出くわすなんて思ってなかったんだろう。
足が震える。
大父「うちの息子は頭を打ってるんだぞ
もし大怪我して後遺症でも残ったらどうするつもりなんだよ。
どう責任とるつもりだ。」
大君の父親がまくし立てた。
大母「お宅の息子さん障害があるんですよね?
してないなんて。
よくもそんなこと…
そんな恐い子と同じ学校で同じクラスだなんて、
もう恐くて学校に通わせれないわ」
まわりがざわついた。
「子供の責任は親の責任だろ。きちんと説明して謝罪しろ」
「どうしてこんなことになる前に処置してないんですか」
「なんで養護学校に通わせないんだよ」
「支援級で十分でしょ」
「そうだ」
口々に保護者が非難する。
怒りや悔しさなんて気持ちは微塵もなくなってた。
心ない言葉にただ悲しい気持ちでいっぱいになった。
教頭「まあまあ皆さん落ち着いて下さい。
とりあえずまず松井さんにきちんと謝罪して頂いて、今後について話し合いませんか?」
怒りや哀れみの視線が俺に集まる。
沈黙が続く。
何か言わないと。
何か。
弱気になり真っ白になった、俺の頭の中にハルの笑顔が浮かぶ。
ハルを守らなきゃ。
ようやく口が開く。
俺「こうやって…
忙しいのに集まってもらって本当にすいません…
大君が怪我をしたことは、本当に心を痛めてます。
ただ…」
大父「ただなんだ?
言い訳するんですか?
うちの息子はまだお宅の息子さんにも謝ってもらってないんだ。
子供が子供なら親も親だな」
言いたいことが言葉にできない。
俺「息子が3歳の頃から…
ずっと自分一人で育ててきました…
俺が駄目男だから…
妻にも出ていかれました…
今日までずっと…
息子には寂しい想い…
辛い想いをさせてきました…
こんな未完成な親の俺だけど…
息子は立派に育ってくれてます…」
自分でも何を言ってるのか分からなかった。
分からなかったけど伝えなきゃいけないことを。。。
伝えなきゃ。。。
その一心だった。
俺「息子は発達障害です…
皆さんのお子さんのように健常児ではないです…
でも…それは悪いことなのでしょうか?…
息子は…相手の気持ちを理解することが…極めて困難です…
急にパニックになったり…悪戯してるつもりはなくても…そう言う行動をとるときがあります…
でも…本人に悪気なんて…これっぽっちもないんです…
ただ…不器用なだけで…
息子は…優しい子なんです…
人を傷つけるような子じゃないんです…こんなこと…する子じゃないんです…」
教室が静まり返る。
俺「親だから…自分は親だから…あの子の唯一の理解者です…
息子を信じてはだめなんでしょうか…」
途中ハルを想うと涙が出てきた。
俺「自分は…
母親の変わりも…
出来るはずがないのはわかってます…
母親がいない分…それ以上の愛情を与えてきたつもりです…
一生懸命子育てをしてきたつもりです…
それは皆さんのような親らしい親かは分かりません…
間違った子育てをしてきたかもしれません…」
俺「それでも…息子は正直で真っ直ぐに育ってくれてます…
嘘をついたりする子じゃないんです…
だから…
信じてやりたいんです…
皆さんは障害を持つ人間に…
多少なり嫌悪感…
があるのは…分かってます…
でも…皆さんの子供と同じように…
心があるんです…
優しさや…思いやりがあるんです…」
だからなんなんだって話しだけど。
何が伝えたかったのかよく分からないけど。
それでもそれを言葉にすることが精一杯だった。
大父「な、なんなんだあんた?
お、親なら謝るのが筋ってもんだろ。
あんたの息子が悪いだからな」
俺「自分が謝ってすむなら…
いくらでも謝ります…
だから…
息子を悪者にしないで下さい…」
最後に深く頭をさげた。
涙が止まらない。
悔しいとかそんなんじゃない。
学校でハルが、まわりの生徒に同じような言葉を浴びせられてたらと思うと辛くて仕方なかった。
鼻を啜る音が聞こえる。
山下先生は目を真っ赤にし、ハンカチで涙を拭き取っていた。
「あのー、本当に松井さんの息子さんが突き落としたんでしょうか?」
全員の視線が声の方へと向いた。
みくちゃんて子のお母さんだ。
みく母「うちの娘はハル君は窓に指で絵を書いてたって…
すいません娘は大君が階段から落ちた所を見たわけじゃないんです」
それに続くように
「私の娘もハル君じゃないと思うと言ってました…」
教室内がざわつく。
教頭「あ、あの皆さん落ち着いて下さい。」
「おい、どう言うことだよ」
「ちゃんと確かめもしないで何やってんだ」
矛先が教師へと向く。
担任「私は生徒達にはちゃんと現場での話しを聞きました。数名の男子生徒はちゃんと見たって…」
頼むよ~
自信のない言葉にまわりは余計ざわついた。
教頭「皆さん静粛にお願いします。
今日はここまでにして、後日説明をさせてもらうと言うことで」
「ふざけるな」
「わざわざ来て何なんだ」
「だいたい学校の責任じゃないですか?」
口々に不満が出る状況に陥った。
俺はそれをただただ傍観しているだけだった。
結局話はまとまらず、また連絡すると言うことで終わった。
少し肩が軽くなった。
ハルが突き落としたわけじゃないんだ。
誤解が解けただけでも良かった。
週明け午前中に学校に顔を出してほしいと、山下先生から連絡があった。
校長「松井さん、先日は本当に申し訳ありませんでした。」
山下先生に校長室へと通された。
俺「いえ…」
校長「他の保護者の方にはすでに連絡済みです。
今回我々が至らなかったばかりに大事になり本当に申し訳ありません。
大君は他の生徒とじゃれあって階段から落ちたそうです。
たまたま近くにいたハル君のせいにしてしまったと、大君や大君の友達が正直に言ってくれました。」
俺「そうですか…」
校長「今回の件生徒達にも担任、教頭を含め改めて指導をしていくつもりです。
本当に申し訳ありません。
またもう一度保護者会を開いて説明…」
俺は校長の会話を遮るように、
俺「あの…
あの、俺は別にもういいです。
犯人探しをしてたわけじゃないんで。
誤解が解けたならそれで十分です…
ただ、
ハルは…
ハルはその時、まわりの生徒や先生に責められて傷ついたと思います…
それを今更どうすることも出来ないですが…
ただ障害だからと、ハルがまわりと違うからと言って、区別しないでほしいんです。」
俺はハルを普通の小学校に通わせた。
それでも俺は間違っていたとは思ってない。
ハルは本当に努力をしてる。
まわりの生徒達に遅れをとらないようにするためにも。
ハルはただ普通に友達を作ってまわりと同じように小学生活をおくりたいだけなんだ。
俺「保護者の皆さん全員が親なわけで…自分の子供が可愛くて守りたいと想う気持ちはあたりまえなんです…
だから今回のことはもういいんです。
ハルには自分から説明します。」
それだけ言って校長室を出た。
結局何もスッキリしなかった。
こんなことで何も解決しない。
保護者会での出来事。そして今日の校長との会話が全てを物語ってる。
責任のなすりつけ合いをする教師。人をののしり罵倒する大人達が本当に子供の事を考えているのか。
俺も含め、ちゃんと子供の声を聞けているのか。
疑問を抱く。
責め立てられたハルも。階段から落ちた大君も。
それを取り巻く生徒達もみんな。
誰一人として得をしないじゃないか。
犯人探しなんて必要ない。
子供達が安心できる環境を作るために、親達が話し合う方が先なんじゃないのか。
心の中でモヤッとしたものだけが残った。
俺自身本当にハルの気持ちを分かってるわけじゃないんだ。
ただ自分が親だと言うだけで、それに酔っているだけなのかもしれない。
俺がもし大君の親の立場だったら?
第三者の親の立場だったら?
それぞれの立場になってよく考えてみないといけない。
今回よく分かった。
もっともっとハルと会話しよ。
ハルが何を求めて、日頃何を考えているのか。
もっと理解する必要がある。
そう教えられたような気がするんだ。
その頃ハルがいじめに合っていることを、マイちゃんから教えられた。
ハルは女子から人気があった。
それをよく思わない子もいる。
ましてやハルは同級生との会話が得意じゃない。一方通行になってしまい、うまく付き合えない。
ある日授業中にハルがお漏らしをしたのが切っ掛けでいじめに火種がついたようだ。
この間の大君との件もあり、薄々は気づいていたとはいえ。そうあってほしくないと自分に言い聞かせてた部分があったのかもしれない。
ハルは毎朝元気に登校している。
もしかして俺に気づかせないように振る舞ってたのかもしれない。
そう思うとすごく辛い。
ハルが雨でもないのに、体操着を濡らしてきた日があった。
靴が片一方学校でなくなったり。
ハルはたまに物をなくしたりすることがあったので、深く聞かないようにしてた。
ちゃんとその信号にすぐ気づかなかった自分が本当にバカで情けない。
ハルが辛い想いをしてるんじゃないかと、夜も眠れず泣いたのを覚えてる。
本当にこんな時親って無力だよな。
学校に乗り込んで暴れたっていいんだけど、そんなことすれば余計ハルの居場所がなくなる。
いじめてる側を叱ればいいのか?
その親に抗議すればいいのか?
担任に文句をつければいいのか?
どれもハルにとってはマイナスにしかならない。
結局向き合って話せるのは自分の息子とだけなんだ。
俺「ハル学校で辛いことないか?」
ハル「うん。つらくないよ。
たのしいもん」
俺「学校でハルが辛い想いしてるの。
パパ知らなかったらすごく辛いよ。」
ハル「パパつらいの?
ごめんなさい」
俺「ハルが謝らなくていいんだよ。
ハルは学校でいじめられたりしてないか?」
ハル「パパ。
ぼくみんなすきだよ。」
俺「いじめる子も?」
ハル「うんw
みんなもぼくすきになるの。
ぼくがんばるの」
その言葉でハルが想像以上に大人になったことを痛感した。
俺が考えてた以上にハルは強くたくましく成長してるんだ。
ハルは自分の力でいろんなことが出来るようになった。
今もそうなんだろう。
こんな時、親はただ見ているだけなのかもしれないな。
唯一出来ることと言えば、子供が望んだ時にいつでも手をさしのべてあげることだけなんだ。
後は信じるだけ。
それは理想であって、難しいことかもしれないけど。
ハルは本当にいい子だな
俺「ハルなら大丈夫。
みんな好きになってくれるよ」
ハル「ぼくがんばるのw」
俺「でも、辛い時は必ずパパに相談するんだぞ。
いつでもパパはハルの味方だからな。」
ハル「うんw」
俺がガキの頃果たしてこんな気持ちになれただろうか。
そんなわけない。
ハルが自分より大人な事に少し嫉妬してしまうくらいに、
ハルには本当に教えられることが多いんだと感じた。
ハルが3年生になってすぐ、
あっちゃんて言う親友が出来たんだけど。
話せば長くなるのでまたの機会に。
とりあえず少し休憩したらまた書きます。
レスくれてる人ありがとう。
スルーは許してくれ。
初めはカスだと思って読んで無かったが
1から読もうと思う
戻ってきてくれてありがとう
ハル君は素敵な子だね
また復活してくれて感激です。
応援してます。
もう読みたくないが読みたい…
辛いな~
続き書きます
ハルが3年生になった。
本が好きで毎日本読みの練習をしてる。
ハル「パパ。きょうね。ぼくね。さか(笠)じぞうさんはじめて読んだよw
おじいさんはね。おじぞうさんゆき冷たいから、さか(笠)かけるの…∽∝∂くぁwせdrftgyふじこlp…」
俺「そっかw
かさじぞう?
ハルもおじいさんみたいに、親切で思いやりのある人間になるんだよ。」
会話中興奮すると、たまにわけのわからないことを言うけどそれもハルの個性だ。
俺「明日参観日だけどかさじぞうを授業でやるの?」
ハル「パパくる?」
俺「参観日?」
ハル「お仕事おやすみしなくていーよ」
俺「大丈夫だよw
パパ、ハルが頑張ってる姿みたいし」
ハル「いーの!!」
拗ねて嫌がるハル。
俺「わかったよw
じゃぁいかないよ」
晩ご飯中。
車のおもちゃで遊ぶハル。
俺「ハル?ご飯中は遊ばない約束だろ?」
ハル「いーの」
ご飯に集中してない。
こう言う時のハルは何か不安がある時だ。
俺「明日パパ本当に参観日行かないよ。
本当にいいのか?」
ハル「いーの」
ハルなりに俺に気を使ってるんだなと、その時は気楽に考えてた。
それでも親バカな俺は、コッソリ参観日に行く。
当日。
ハルにバレないよう、教室に入らず入り口の外でスタンバイ。
授業が始まるとハルはソワソワしていた。
まわりをキョロキョロ、俺がいないか確認してるんだろう。
担任「それではここのページ誰か読んでくれますか?」
生徒「はーい。はーい。」
親にいい所を見せるチャンス。
生徒達が張り切って手を上げる。
ハルは?
手を上げていない。
きっと恥ずかしいんだろう。
担任「それじゃみんな読めるように、段落ごとに順番に読んでいきましょう」
次々に朗読をする生徒達。
いよいよハルの番だ。
あれだけ毎日本読みの練習をしてるんだ。
大丈夫。頑張れ。
心の中で一生懸命応援をする親バカな俺。
担任「次は松井君。」
ハル「は、ハイー」 緊張して語尾が上がってる。
ハル「みみ、み、みんみん…」
教室内でクスクスと笑い声がする。
ハルならできる頑張れ。
ハル「みんなでかげおくりをもういちどやらないかい…」
担任「松井君よく出来ました。
次松村さん」
ハルは顔と耳を真っ赤にしながら、ゆっくり座るとうつむいた。
上手に出来たよ。
みんなに見られて緊張したのにな。
帰ってうんと褒めてあげたいけど、今日来てるのは内緒にしてるんだ。
なんだか悔しい。
どうやらかさじぞうではなかったけど、ハルは一生懸命に読んだ。
ちゃんと出来た。
誇らしい気持ちになった。
授業も終盤。
ハル「うえーーーん」
急にハルが大声で泣き出した。
俺と目が合ってしまった瞬間の出来事。
しまった。俺がいることに気づいてしまったようだ。
担任が近づく。
授業はまだ終わってなかったけど、
教室の後ろで待機していた山下先生がハルを連れて教室を出た。
授業が終わり支援級で待機してるハルを迎えに行った。
俺「ハルー。
帰ろう。」
ハル「…」
無言で喋らないハル。
俺「すいません。御迷惑おかけして」
山下先生「いいえ。ハル君いつもなら大丈夫なのに。
人が多くて混乱したのかもしれませんね」
俺「いや、
今日は自分が参観日に来ない約束をしてたんです。
その約束を破ってしまったから泣いたんだと思います。
本当にすいません」
山下先生「いえいえ。
ハル君!お父さん迎えに来たから帰ろうね」
ハルは黙って立ち上がり、俺をスルーして教室を出た。
俺はハルを追う。
相当怒ってる。
無理もないか。
俺「ハル。
ごめんな。パパ約束破って」
ハル「…」
沈黙が続く。
俺はハルの手を繋ぎ、
俺「今日はレストラン行こうか?
ハルの好きなハンバーグ食べよw」
ハル「はい」
少し機嫌をなおす。
俺「今日は本読みうまくできてたな。
パパ本当ハルはすごいなーって驚いたよ。びっくりしたw」
ハルが急に立ち止まる
ハル「パパのうそつき。
こないやきそく(約束)したんでしょ」
また泣きだすハル。
俺「ごめんな。本当。
パパどうしてもハルの頑張ってる姿見たかったんだ。
もう来てほしくないってハルが思うなら、もう絶対に行かない。」
ハル「もういいの…エグッ」
俺はハルの頭を撫でた。
ハル「パパ…
パパぼくひとりにしないで…エグッ
ぼくパパいなくなってほしくない…エグッ」
俺「ばか。
何言ってんだよ。
パパはハルから離れたりしないよ。」
ハルの一言でこっちまで泣きそうになる。
俺は涙をこらえた。
ハル「だって…エグッ
だって…エグッ
ちいちゃんはパパいなくなるの…エグッ
ママいなくなるの…エグッ
パパ…
ぼくおりこうにするよ…エグッ
だからね…おいていかないで…エグッ」
ようやく理解した。
知ってる人は知ってると思うけど、『ちいちゃんのかげおくり』って話しがある。
戦争時代の話なんだけど、俺もうろ覚えだから知りたい人は本を読んでほしい。
ハルはちいちゃんのかげおくりを読んで、
ちいちゃんのお父さんのように俺もいなくなってしまうんじゃないかと思ったんだ。
ちいちゃんと自分を重ね合わせたんだろう。
参観日に来て、どうしてもこの話しを俺に聞かせたくなかったんだ。
胸に深く突き刺さるものを感じた。
苦しくなる程ハルを愛おしく想った。
自然と涙が零れる。
そしてハルがこんなに不安になるのは、俺が悪いんだとすごく理解した瞬間だった。
俺はハルを抱きしめて。
俺「パパはずっとハルと一緒だよ。
だから心配しないでいいからな。」
不安になるのは無理もない。
ハルは俺のせいで母親を失ったんだから。
ハル「やきそく(約束)?…エグッ」
俺「約束。
ゆびきりげんまん…」
俺はハルとゆびきりをした。
レストランに入りご飯を食べる頃にはハルに笑顔が戻っていたけど、
俺は複雑な気持ちだった。
ハルの不安な気持ちを、どうしても和らげてやりたい。
そう思った。
きっとハルはサリナが自分を捨てたと思ってるんだ。
ずっと母親の事を聞いてこなかったのがその証拠。
幼いながら確信したものがあったのかもしれない。
まわりの友達には、ちゃんと母親がいるんだ。
気付かないわけがない。
ハルに我慢させていることが、本当に申し訳なく感じた。
俺「ハル?
ママに会いたいか?」
ハル「ママ…?」
少し間があいた。
ハル「ううん。
パパがいるからいい」
首をふるハル。
俺「ハルが会いたいって言ったら、
ママはきっと喜ぶよ。
ママもハルとずっと会いたいって思ってたから」
ハル「…」
俺「どうした?」
ハル「パパがいるからいいの」
頑固なハル。
そこは俺に似たのかな。
帰って眠りにつくハル。
ハルの寝顔は益々サリナに似てきた。
サリナと最後に会って半年が経ち、サリナから手紙がきた。
それから今日までずっと手紙でやりとりしてる。
サリナはハルをいつだって心配していた。
自分から会いたいとは言いづらいのだろう。だから言ってこなかった。
俺からハルに会いたいか?とも聞かなかったけど、それは分かっていることだ。
俺自身ハルを会わすことに抵抗があったのかもしれない。
でももう十分だろう。
言わなくても、サリナもハルもお互いに会いたいに決まってるんだ。
それにサリナがハルを嫌いで置いていったわけじゃない事を知ってほしかった。
俺はサリナにハルを会わそうと考えた。
そしてハルを連れて、サリナに会いに行くことにしたんだ。
ハルはお気に入りの電車のおもちゃ。そしとトトロのぬいぐるみを抱きかかえている。
電車に乗って満足気に水筒のお茶をグビッと飲み干した。
前日の夜にママに会いに行くと伝えた。
ハルは何も言わなかったけどとても嬉しそうだ。
ハル「とおいの?
すぐつくの?」
俺「もう後2つ駅に止まったら着くよ」
ソワソワするハル。
何しろ4年ぶりに会うんだ。不安や緊張もある。
サリナには前もって手紙を送っていた。
番号は聞いていたけど、かける事もなかったのでもう使われていなかった。
今日行く旨を伝えたけど、手紙を確認していないのかどうやらマンションにはいないようだ。
サリナの都合もあるだろうから、会えなければ帰ればいいだろうと考えていた。
ハル「ママいないの?
だったらおうちにかえろー」
俺「いてないみたいだね。
せっかくだから隣の公園で待たせてもらおうよ?な?」
ハル「はい」
ハルはジャングルジムで楽しそうに遊んでる。
きっと複雑な気持ちなんだろう。その気持ちを隠すかのように、いつもより元気に見せるハル。
日も暮れてきた。
どうやら今日は会えそうにない。
手紙じゃ仕方ない。
近くのホテルに予約したからまた明日出直そう。
そう思い公園を出たところで、公園の横に一台のワゴン車が停まった。
助手席に座っていた。
運転席の男性と親しげに会話をしている。
話し終わり、ようやく助手席から降りてくると、こちらに向かって歩いてきた。
サリナ「えっ?
俺くん?…ハル?」
驚いた顔でこちらを見ている。
俺「手紙送ってたんだけど、
もしかして見てないか?
今日行くって。」
サリナ「ごめんなさい。
ずっと忙しくて。」
俺「ごめんないきなり。
手紙で言うのもあれだとは思ったんだけど、
早く会わせたくて。
ハル連れてきた。」
サリナ「うん…」
サリナが瞳を潤ませる。
俺「ハル?
ママだぞ」
ハルは俺の後ろに隠れている。
サリナ「ハル。
久しぶりだね。
ママ!…分かる?…」
ハルは黙って頷く。
サリナがハルの目線までしゃがむと、ハルにニッコリ微笑みかけた。
サリナ「ハル!ママに抱っこさせてくれる?…」
そう言ってハルの手を引っ張り抱きかかえた。
ハルは緊張してか顔を強ばらせてる。
ハル「ママいいニオイ」
サリナ「本当?
汗臭くない?
ハル会いたかったよ…」
泣き出すサリナ。
きっとハルがママって言ってくれて嬉しかったんだ。
ずっと会いたかったに違いない。
ハルもサリナの肩に顔をうずめている。
どうやら緊張も解けたようだ。
お互いずっとこうしたかったんだ。
俺「今日は大丈夫?」
サリナ「うん大丈夫。
せまいけど良かったら泊まっていって。」
俺「俺はホテル予約してるしそこ泊まるよ。
明日夕方迎えに行くから、ハルは預けてもいいかな?」
サリナ「いいの?
本当に?」
俺「ハル。
ママと二人で大丈夫だよな?」
ハル「はい」
ハルが笑顔で答える。
俺「母子水入らず。積もり積もった話もあるだろうし」
そう言って番号だけ交換し、ハルをサリナに預けて俺はその場を立ち去った。
翌日サリナが、どうしてもハルと動物園に行きたいと言ったのでハルがいいならと承諾した。
久しぶりなんだし断る理由もない。
もう一泊してサリナがハルを俺の家まで連れて来ることになったので、俺は一足先に一人で帰宅することになった。
今日はここまでにします。
次書く時に最後まで書きます。
こんな時間まで付き合ってくれてる方、どうもありがとう。
勝手に止めてまた勝手に続き書いてるけど、その辺はスルーしてください。
乙です
楽しみに待ってます
カスって言ってごめんなさい
ありがとう
また明日?でいいのかな?
まってるよん
楽しみにしてるぞ!
すまん。
用事してました。
続き書いていきますが、長いのでもし限界が来たら申し訳ないが明日になるかもしれない
後淡々と書いていくので誤字なんかもあると思う。
まとめるの下手だから長いしわけわからないとこもあるだろうから、そこはスルーでお願いします
下手だろうが長くなろうがわたしはいっこうにかまわんっ!
書いてください!お願いします!
続き
ハル「パパーただいまーぁ」
2日前まで顔を強ばらせていたハルだったのに。
今は晴れた表情をして生き生きしてる。
俺「楽しかったか?w」
ハル「うんw
ママね。ゾウさんのぬいぐるみ買ってくれたのw」
本当に嬉しそうだ。
会わせて良かった。
2日ぶりのハルの笑顔を見てホッとする俺。
サリナ「俺くんありがとう。
ハルすごい成長したねw
本当にびっくりしたw」
ハル「パパー。
ママがおなべしてくれるの。
いいでしょー?w」
サリナ「俺くんが嫌じゃなかったらねw」
俺「いいよ。
今日仕事大丈夫だったの?」
サリナ「うん」
3人でスーパーまで買い出しにいき、
サリナが鍋の支度をした。
俺はその間ハルと話しをしていた。
2日間のことを嬉しそうに話すハル。
それが少し切なく感じた。
すぐにサリナとお別れしなきゃならないんだ。
鍋を食べ終わると、サリナがハルを寝かせてくれた。
サリナ「ハル寝たw
本当可愛いね。」
俺「うん。」
俺はサリナにお茶を入れた。
サリナ「ありがとう。
俺くん。
急に来てびっくりしたけど、本当にありがとうね」
俺「ごめんな。
いきなり訪ねたりなんかして。
車の彼は彼氏?」
一度は籍を入れ愛し合った仲なんだ。
気にならないって言うと嘘になる。
サリナ「えっ…うん。そう。
わたしより3つ上なんだけど、すごく誠実で優しい人よ。」
俺「そっか…」
何落ち込んでんだ俺は。
自分でサリナを手放したんだろ。
それに普通に美人だし、男がいてもおかしくない。
サリナ「俺くんは?
俺くんモテるし良い人見つけてるんでしょ?」
俺「そんななわけないよ。
俺は本当に女っ気ないからw
ただのおっさんだしw
それにハルがいるからハル一筋かなw」
サリナ「うんw
あっ、わたしそろそろ帰るね!」
サリナが時計を見た。
俺「あーそうだな。
あのさ、
たまにはハルに会ってやってくれないかな?」
サリナ「いいの?」
俺「ハルも喜ぶし。
それにやっぱり俺じゃ母親変わりはできないから」
サリナ「ありがとうw
俺くん本当に変わったね。
すごく頼もしくなったね。
ハルもずっとパパの自慢してたよw」
そう言ってサリナは帰っていった。
サリナに彼氏がいる。
少し複雑だけど、サリナは新しい人生を歩み、幸せを取り戻そうとしてるんだ。
祝ってあげなきゃな。
そう思った。
サリナと離婚したとは言え、お互いいがみ合ったり憎み合ってるわけじゃない。
それならサリナがハルに会いたい時。
ハルがサリナに会いたい時に会えばいいんだ。
それが今ハルにしてあげられる、最善の方法だと考えた。
それからハルは、月に1、2度サリナに会うようになった。
俺「ハル!
お前なんてことするんだ!」
公園で俺の怒鳴り声が響く。
ゆき「うえーーんっ」
ハルの友達のあつし君の妹が泣き出した。
砂場でいきなりハルがゆきちゃん(あつし妹)を突き飛ばしたんだ。
俺「ハル。何で今ゆきちゃんを突き飛ばした?
駄目だろ。
そんなことしちゃ。」
ハルとゆきちゃんのいる砂場に駆け寄った。
ハルは怒った顔で、座り込むゆきちゃんを睨みつけた。
俺「ハル?
聞いてるのか?
何でゆきちゃんを押したりしたんだ?」
ハル「ぼくわるくないの」
俺「わるくないじゃ分からないだろ。
ゆきちゃんに謝りなさい。
どんな理由があっても人に痛いことしちゃだめだって、あれほど言ってるだろ?」
ハル「ぼくわるくないの!
わるくないの!」
ハルは目に大粒の涙を浮かべた。
俺「ハルごめんなさいは?
ちゃんとゆきちゃんに謝れ!」
俺はハルを強く叱りつけた。
ハル「ギッギギギィー。
うわぁぁぁぁーん」
大声で泣き叫ぶハル。
砂場の滑り台から滑り降りてきたあつし君が、ゆきちゃんに歩み寄って立たせた。
あつし「ゆき泣くな。
痛くないだろ?」
ゆき「シクシク…
シクシク…」
俺「ゆきちゃんごめんな。
怪我しなかった?」
俺はゆきちゃんのスカートについた砂を払い、ハンカチを渡す。
ハル「うあーーー。ゆきちゃんのバカーーー」
ハルが泣きながら足をジタバタさせる。
俺「いい加減にしろ」
俺はハルの頬を平手で打った。
バシッと強い音がした。
ハル「パ、パパなんて大嫌い。
パパなんてもうしらない、、、くぁwせdrftgyふじこlp」
驚いた表情から一変。怒りの表情で目を真っ赤にし俺を見るハル。
そしてハルは走って公園から姿を消した。
あつし「おじちゃん。
ハル悪くないよ。
ゆきがハルのおもちゃ壊した。」
ゆき「ごめんなしゃい…」
ゆきちゃんの足下には、スコップで凹んだバスのおもちゃが無惨な姿で転がっていた。
俺「いいんだよ。
ゆきちゃんもあっちゃんも本当にごめんな。
ハルとまた遊んであげてな。」
そう言ってバスのおもちゃを拾って、ハルを追い掛けた。
何をやってるんだ俺は。
最低だ。
あれだけ痛いことするなって、ハルに教えてきた俺が手を挙げるなんて。
家に帰ると、ハルは勉強机に座りふさぎ込んでた。
俺「ハル。
痛かったか?
パパ叩いたりしてごめんな」
ハルの背中越しに語り掛ける俺。
ハルはシクシク背中を揺らす。
俺「ハルのおもちゃ壊されて怒ったんだよな?
でもな。
自分がされたら痛いって思うことをしちゃいけないよ。
もし間違ってしちゃったらきちんと謝らないとだめだ。」
ハル「シクシク」
俺「ハル。
パパもハルのこと叩いたのごめんな。
パパも痛いことしちゃったのすごく反省してる。」
ハルのは俺の顔を見ようとしない。
俺「おもちゃはまた買ってあげるよ。
だから…」
ハル「あれじゃなきゃだめなの!」
俺の言葉を掻き消すようにハルが叫んだ。
ハル「ぼくの宝物なの。
パパのバカ。
パパなんてきらい」
俺「おもちゃは新しいの買えばいいよ。
ハルはちゃんとゆきちゃんにしたこと反省しなさい」
俺の口調も強くなる。
ハル「ママ…
ママならおこらないもん。
ママならわかってくれるもん」
俺「分かったよ。
勝手にしろ。
もうパパ知らないからな。
そんなにママがいいならママのとこいけ。」
俺もカッとなりハルをほっておくことにした。
夜、晩御飯が出来部屋を覗いたら泣き疲れてかハルは眠っていた。
少し言い過ぎたかなと思いながら、
椅子から降ろし静かに布団に寝かせる。
俺「はー」
大きなため息が出る。
お茶を飲みながらボーっとしていた。
最近イライラする。
サリナと会うようになってから、ハルはいつも以上に甘えるようになった。
サリナとの時間がハルにとっては大きな変化だったのかもしれない。
環境の変化と共に少しずつハルが変わりつつある。
そしてハルの心境の変化に、俺自身戸惑うようになりイライラしてるのかな。
嫉妬なんだろうか?
サリナにハルをとられたような感覚だ。
「パパなんてダイキライ」
父親としてこれほどグサリと突き刺さる言葉は他にない。
そう言えば、ハルに初めて手をだした。
言葉で理解してもらえないからと言って手を出すなんて。。。
最低の親だ。
ハルも少しずつ大人に近づいていってるんだ。
理解してもらえないこともある。
譲れない気持ちもあるんだ。
それを理解せずに力で訴えかけるなんてな。
そんなことではハルの気持ちが離れていくだけじゃないのか。
何も変わってない。
俺はあの時のまま。若い頃の自分と何も変わっていない。
ハルを叩いた手、まだジンジンしてるような気がするんだ。
それは心に何か訴えかけるような感覚だった。
急に胸が苦しくなる。
ハルを叩いてこんなに辛いなんて。
きっと叩かれたハルはもっと傷ついたに違いない。
あれほど理解してもらえるまで言葉で伝えよって決めてきたじゃないか。
ハルが起きたらもう一度謝ろう。
ちゃんと話し合わないと。
そう思った。
朝の日差しが差し込み、俺は目を覚ました。
いつの間にか寝てしまったようだ。
テーブルには手をつけていない晩御飯が、昨日のまま置いてあった。
きっとハルお腹を空かせてるだろうな。
そう思いハルの部屋へと行った。
俺「ハル?お腹…」
部屋にハルの姿がない。
玄関を見に行くとハルの靴がない。
ランドセルはあるので学校へは行っていない。
どこへいったんだ?
まさか。。。
まず間違いない。
サリナのところに行ったんだ。
俺はサリナに電話した。
サリナ「こんな朝早くにどうしたの?」
俺「ハルがいなくなった。
昨日喧嘩したんだ。」
サリナ「えっ?
どこにいったか分からないの?
わたしも急いで準備して探すね」
俺「いや。サリナは家にいてくれ。
もしかしたらお前に会いに行ったのかもしれない。
俺は思い当たるとこ探すから」
サリナ「分かった。警察には一応連絡するね。
補導されてるかもしれないし。」
俺「分かった」
急いで支度して、会社と学校に連絡を入れハルを探しに出た。
夕方になってもハルはまだ見つからない。
サリナからは何も連絡がない。
もしかして…
最悪の状況が頭によぎる。
途方に暮れる俺にサリナから着信が入った。
サリナ「ハル見つかったよ。」
やっぱりハルはサリナに会いに行ったらしい。
電車で向かったのはいいが、サリナの住む方とは逆の路線に乗ってしまったんだ。
迷子になって一人寂しかったろう。
結局駅員が保護し警察がサリナに連絡をした。
少し安心する俺。
俺「ありがとう。
迷惑かけたね。
じゃ俺迎えに行くから、
今ハルどこにいるか教えてくれる?」
サリナ「いいの。
わたしに連絡あったから。
きっとハルも俺くんに会いにくいと思うの。
わたしにまかせてくれないかな?」
俺「分かった…
悪い…」
仕方がないとことだ。
今実際にハルと会って何て言えばいいのか分からない。
サリナ「またハルと会ったら俺くんに連絡するから。
安心してね。」
俺「あー…
すまん…」
俺が迎えに行きたかった。
でもハルはサリナに会いに行ったんだ。
連絡を待つしかない。
俺は意気消沈し、重い足取りで家路についた。
ようやくサリナから連絡がきた。
サリナ「俺くん?
ハルは無事迎えにいけたから。」
俺「ハルは…
ハルは…怪我とかしてなかった?」
サリナ「うん。
すごく泣いたみたいだけど、今は大丈夫。
今日はハル、わたしが連れて帰るね」
俺「え…
あー…
ハルと少し話せないかな?」
電話越しにサリナがハルに問いかけている。
サリナ「ごめん。
今日はハルも色々混乱したみたい。
また少し落ち着いてから連絡するね。」
俺「そっか…
分かった…」
一言元気な声を聞きたかった。
一言ハルに謝りたかった。
この時、
俺の中でどうしようもない不安を掻き立てられていたのを覚えている。
3日してサリナから連絡は来ない。
俺からサリナに連絡するも、
サリナ「ハルは今はまだ俺君に会いたくないって。」
俺「一言でいいんだ。
ハルと話したい」
サリナ「俺君?
ハルがどうして怒ったのか知ってる?」
そんなこと。。。
俺がハルのことブったからだ。
そう思ってた。
俺「初めてハルに手を挙げたんだ。
きっとショックだったんだよな…」
サリナ「それもあるかもだけど。
ハルのおもちゃ。
ハルが何よりも一番大事にしてたモノなんだって。」
その言葉でハッとした。
バスのおもちゃ。
俺が初めてハルに買ってあげたおもちゃだ。
俺「ずっと昔に買ったモノだぞ。
そんなこと覚えてるものなのか…」
サリナ「多分…覚えてるんだよ。
だってそれが大切なものだってずっと思ってきたんだよ。」
そう言えばいつも大事にしてた。
新しいおもちゃを買ってもそれだけはいつもハルのそばにあった。
色褪せて傷だらけなのに。
ハルは大事にしてくれてたんだ。
俺は自分の不甲斐なさを知る。
今は普通に働き普通に生活を送れてる。
好きなものだって買えるんだ。
俺はあの日、家を失いハルと2人人生のどん底にいた。
当たり前の環境もその頃は当たり前じゃなかった。
その頃の気持ちを、小さなことがどれだけ幸せで大切なのか忘れてしまっていた。
ハルにとっても俺にとっても、このバスのおもちゃは一つの思い出で、何より大切な宝物なんだ。
それを俺は簡単に買えばいいだなんて。。。
ハルの気持ちを踏みにじったのかもしれない。
言葉にならない気持ちが込み上げ、ただ胸が苦しくなった。
それからすぐ、サリナから会いたいと言われファミレスで会うことになった。
俺自信もサリナに会って話したいと思ってた。
ハルにとって何が大切かを考えた。
俺とサリナ、両方がそばにいることがいいに決まってる。
「もう一度やり直そう」
今すぐじゃなくても。
少しずつでいいんだ。三人で暮らそう。
そうサリナに言おうと決めていた。
俺「ハルは?」
サリナ「今日はママに預けてる。
学校にはちゃんと連絡してあるから。」
俺「ごめんな。
色々迷惑かけて。
ハルはどうしてる?」
サリナ「元気にしてる。
俺君の話ししたら拗ねるの。
でも本当は会いたいんだと思うよ。」
俺「そっか。」
ぎこちない会話。
言わなきゃ駄目だ。
ちゃんと言わなきゃ。
俺「あのさ…
ちょっと話しが…」
サリナ「あのね…
相談があるの。
あっ?」
サリナの表情を伺う。
喜べる相談ではないのは明らかだ。
俺「サリナからどうぞ」
サリナ「うん…
わたしね。
結婚しようかと思うの…」
俺「こ、この、この間の車の彼?」
馬鹿。
動揺する俺。
サリナ「うん…そう。
この間プロポーズされたの…」
俺「……」
そりゃ彼氏がいたんだ。俺が期待する展開になるわけがない。
サリナ「俺君?」
心配そうに俺を見た。
俺「あっ、あっそーだよなw
彼氏とはうまくいってるんだw
良かったw本当w
サリナがいい人って言ってんだし、間違いないよwうんw」
馬鹿みたいに明るくして祝福までしてる俺。
情けない。。。
サリナ「ありがとうw」
ニッコリ笑顔で答えるサリナ。
本当に嬉しそうだ。
サリナ「俺君の話しって?」
とてもじゃないが言い出せる状況じゃない。
もう一度やり直したいなんて。
今さらだよ。
本当今さら。
俺「いや。
俺は…
あっ、ハルのおもちゃ治したんだよw
これハイ。」
紙袋からハルのバスのおもちゃを出した。
ボロボロだけど、なんとか動くくらいは修復できた。
サリナ「あっ…うん。
ハルに渡しておくね。」
サリナはまだ何か言いたそうにしてる。
俺「どうした?」
サリナ「うん…
ハルのことなんだけど…」
言いづらそうにしてる。
俺「まだサプライズでもあるのか?w
何だよ。
何でも俺に言ってくれればいいよw」
皮肉を言いながらもこれ以上嫌なことは聞きたくない。
サリナ「ハルね…
わたしに引き取らせてくれないかな…」
少し悲しげな表情をするサリナ。
俺「え…
いや…」
サリナ「勝手ばかり言って本当にごめんね。
でも…
ハルのそばにいたいの…
わがままだって分かってる…」
サリナは目に涙を浮かべ俺にお願いする。
俺「ハルはなんて?」
サリナ「ハルにはまだ何も言ってないよ…
こんなこと言うなんて無神経だと思うんだけど…
もうハルに彼を会わせたんだ。
彼すごく子供が好きで面倒見もいいの。
ハルもすごく懐いてた。」
追い討ちをかけるように俺の心に突き刺さる。
サリナ「彼がハルと3人で暮らそうって言ってくれてるの。
わたしも彼と住むようになったら専業になろうかなって…
ハルとの時間も増えるし、ハルにもその方がいいと思う…」
俺「うん…」
サリナ「昔はあんなに無茶苦茶してたのにね…
俺君もいいパパになったよ。
俺君にはハルを育ててくれたこと、すごく感謝してる…
だから…」
だから何だ?
昔は自由気ままに勝手してきたんだから返せと言わんばかりだ。
サリナ「だからハルを引き取らせて…」
沈黙が2人の間に続く。
サリナはハンカチで鼻をすすりながら、俺の顔を伺い答えを待っている。
俺「あのさ…
ハルに会わせてくれないかな…」
サリナ「うん…」
ハルとは週末会うことになった。
俺の答えは言うまでもない。ハルを渡す気なんて毛頭ないんだ。
それでも複雑な気持ちではあった。
サリナも母親だから、
子供の成長をそばで見届けたいと思うのは当然のことなんだ。
週末ハルと駅で待ち合わせした。
ハル「パパー」
気づくなり俺に抱きつくハル。
どうやらもう怒ってはいないようだ。
サリナ「じゃ、わたしはこれで。
また連絡くれる?」
俺「分かった」
サリナと別れ、電車に乗り大きな公園へと向かう。
ハルは俺の手を握り、もう片方には俺がサリナに渡したバスのおもちゃを持っていた。
更新乙です!
なかなか重い展開だな…
この間のことなんて、まるで何もなかったかのようにハルは無邪気だった。
俺も嬉しくて大人気なくハシャいでしまってる。
ただ不安な気持ちを誤魔化すようにしているだけなのかもしれない。
凧揚げをした。
ハルは一生懸命走って凧を揚げる。
ハル「パパーw
たかいでしょーw」
俺「うん
上手い上手いw」
朝早起きをしてハルの好きなものばかり入れた弁当を作った。
俺「ハルの好きなウインナーも肉巻きもあるぞ。
パパ頑張って作ったからいっぱい食べてくれる?」
ハル「おいしーよ。おにくもーたまごやきもーウインナーもー。
ぼくのすきなのばかりでうれしー」
俺「ハル。
ママ好きか?」
ハル「うんw
じゅぎーw」
口一杯におにぎりを詰め込み返事するハル。
俺「ジュン君(サリナの彼氏)はどうだ?
ハルに優しくしてくれたか?」
ハル「…」
少し暗い表情をするハル。
俺「どうした?
パパに遠慮しなくてもいいんだよ」
ハル「やさしいよ。
おじさんカメンライダーのショーにつれていってくれるの」
俺「そっかw」
俺は一生懸命に笑顔を作る。
ハル「パパもいく?」
俺「うんw
つれていってくれるの?」
ハル「うん!
ママにおねがいするねw」
ハルの笑顔が無償に愛らしくてギュッと抱きしめてしまった。
俺「ママと一緒に住みたいか?」
ハル「うんwパパも?」
俺「パパは一緒に住めないよ。」
ハル「いやーーー」
急に怒って大声を出すハル。
俺「ハル。
パパとママはもう一緒に住めないんだよ。
だからハルはママと一緒にいてあげてくれないか?」
ハル「パパもいっしょがいいー。
ギギギギ」
歯を食いしばり泣きながら怒るハル。
暴れるハルを力強く抱き締めた。
今日ハルと会うまで、絶対にハルを渡さないと決めていた。
けど昨日サリナの彼氏のジュンが俺に会いにきたんだ。
ジュン「ハル君を引き取らせて下さい。
僕は十分な収入もあります。
だからハル君にはもっと環境のいい学校に通わせたいと思ってるんです。
お願いです。
必ず幸せにしますから」
俺「サリナに頼まれたのか?
サリナのためだけなら無理だよ」
ジュン「いや、
勝手に来ました。
サリナの笑顔をずっと見ていたいし、悲しい顔は見たくないんです。
サリナのためって言うのは事実です。
でもハル君に会って、この子の父親になりたいって思ったんです。」
帰り際サリナには内緒にしてくれと頼まれた。
よくできた男だと純粋に思った。
サリナが選んだ男なんだ。
嫉妬する自分が恥ずかしくなるくらいに、ジュンに好感をもてた。
そしてサリナとの別れ際の顔を見て、今日ハルとしたたわいもない会話にサリナへの愛情を強く感じた。
そしてハルをサリナに引き取らせる方がいいのかもしれないと強く思った。
今の俺にとってハルは全てだった。
それでもハルの幸せを願うなら、ハルはサリナといるべきなのかもしれない。
ハル「パパぼくとずっといっしょてやきそくしたでしょー…
グエーン(泣)」
俺「ハル。パパの話しをよく聞いてくれるか?」
ハル「うぞづぎーうぞづぎー」
泣いて暴れるハル。
俺「ハルは男の子だろ?
だからパパに変わってママを守ってあげてほしいんだ」
ハルを抑えつけるように腕に力が入る。
俺「パパとは住めなくなっても、パパはいつもハルに会いにいくよ。
ハルが悲しい時、辛い時はすぐにハルのところに行くよ。」
俺の中でハルとの思い出が蘇り、それを吐き出すかのように涙が溢れ出す。
ハル「パパぼくのこときらいなになったの?」
俺はもっと強い力でハルを抱きしめた。
俺「大好きだよ。
世界で一番だ…」
ハル「ぼくもパパだいすきだよ
きらいっていってごめんなさい」
俺「パパと約束してくれるか。
ママをちゃんと助けるって。」
ハル「やきそく。
パパもぼくにあいにきてね…えぐっ」
俺「約束するよ」
一生の別れじゃないんだ。
ハルにどちらか選べなんて言える訳がない。
全員が幸せになる方法なんてないんだ。
俺が犠牲になれば済む話だ。
これでいい。
ハルにとって幸せを考えれば。
こんな半端者の俺が、ハルを本当に幸せに出来るわけがない。
日も暮れ、
ハルはいつの間にか俺の背中で眠っていた。
サリナに会い眠るハルを預ける。
サリナ「俺君。本当にありがとう…
ハルはわたしにまかせて。」
俺「うん、頼む。
荷物は後で送るよ。
また手続きとかあったら連絡して。」
サリナ「うん。」
俺はサリナの顔もハルの顔も見ずに振り返った。
俺「幸せになってほしい。
ハルも…
幸せにしてやってくれ…」
俺は背中を向け、涙を見せないようにした。
いくら強がっても、ハルを手放す辛さを我慢出来なかった。
サリナ「本当にありがとう…」
俺「俺こそ…」
その日を境に俺は一人になった。
家に帰ってもハルはいない。
無償に淋しくなる。
今まで子育てに一生懸命だった。
それは俺の人生の一部であり生きがいでもあったんだ。
今は何もなくなった。
俺にはただ孤独と虚無感だけが残った。
それから数ヶ月経ち、ハルも4年生になった。
ハルとはあれ以来会っていない。
ハルが新しい環境に慣れるためと、サリナや彼氏に気をつかってからだ。
て言うのは言い訳。
本当は今会えば、別れが辛くなりハルを手放したくなくなると思ったからだ。
ハルのいない一人だけの部屋。
一人の生活。
虚しい。
仕事も殆ど手がつかない。
こんな気持ちなら、いっそハルに会えば全て解決するのに。
俺は頑なになっているだけなのだろうか。
今頃ハルは笑顔で毎日を過ごしてる。
そう思うことだけが今の俺の救いだ。
日に日にこんな気持ちは薄れて行くはずだと思ってた。
でも日に日に寂しさは増していった。
そんなある日一本の電話がかかってきた。
「松井さん?
お久しぶりです」
俺「久しぶりです。佐々木先生」
去年佐々木先生の誘いで、ハルと一緒にイチゴ狩りに行った。それ以来だ。
俺「どうしました?」
佐々木先生「去年のイチゴ狩りの時の写真出来ました。
て遅すぎですよねw
カメラのことずっと忘れてて、現像したからお渡ししようと思ってw
今時間ありますか?」
近くの喫茶店で佐々木先生と待ち合わせすることになった。
佐々木「これとこれ!
ハルちゃん可愛くとれてますよw
あっこれは私のお気に入りw
ハルちゃんとお父さんすっごく笑顔w」
テーブルにはイチゴ狩りの時、佐々木先生が撮ってくれた写真が並んでいる。
ハルの楽しそうな笑顔。
少しホッコリした。
俺「わざわざありがとうございます」
佐々木先生「いいえw
ハルちゃん最近どうしてるかなって思ってたしw」
俺「あの…
ハルなんですが…」
俺は佐々木先生にハルの現状と今日までの経緯を説明した。
佐々木先生「そうなんですね…
だから松井さん元気なかったんだ…」
俺「いや…
すんません。
せっかくわざわざ足を運んでもらったのに」
佐々木先生「いいえ…
でも…
ハルちゃんがいなくなってもお父さんには変わりないんですからw」
優しく俺に微笑みかける。
俺「はい」
佐々木先生「せっかくなんだから、
これからは自分の時間を大切にしなきゃですよw」
俺「はぁ」
気のない返事で返す俺。
そんなこと分かってるんだ。
それが出来ればどれだけ気が楽か。
佐々木先生「ね?良かったら今度映画見にいきません?
私どうしても見たい映画があるんですw
もちろん私おごりますよw」
俺「はい、いいですね」
佐々木先生「じゃー決まりw」
何でこうなったかは分からないけど、寂しい独身男の相手をしてくれるんだ。
断る理由なんてないだろう。
それから佐々木先生とは頻繁に会うようになった。
ご飯に行ったり、俺がスケボーが好きだったので公園によく付き合ってもらったり。
佐々木先生「一歩ずつ何か始めていけばいいんですw
新しい幸せはきっと見つかりますよ。
私も時間があるときはいつでも付き合いますからw」
そうだ。
一歩ずつでいいんだ。
時間はいくらでもある。
何か新しい目標を見つけなきゃ。
ハルのいない生活にまだ慣れないけど、少しずつ自分の幸せを見つけないとダメだ。
そんな日々を過ごす中、ハルから一通の手紙がきたんだ。
(パパへ
おげんきですか?
ぼくはげんきです。
ママもげんきです。
このあいだ学校のおともだちと、ゲームであそびました。
ぼくはいちばんになったので、とってもうれしかった。
パパはうれしかったことありますか?
はやくパパにあいたいです。
パパにあうまでなかないようにがんばっています。
はやくあいにきてね。
まついはるより)
ハルが一生懸命書いた手紙。
下手くそな字だけど、
普通の手紙なんだけど。
心に響く手紙だったのを覚えている。
俺はすごくハルに会いたくなった。
今まで我慢していた気持ちが爆発するかのように。
佐々木先生「え?
ずっとハルちゃんと会ってなかったんですか?」
佐々木先生はたまに俺がハルと会っているもんだと思っていたらしい。
居酒屋で俺は佐々木先生に相談していた。
俺「こんなこと、
佐々木先生に相談することじゃないんすけどね」
佐々木先生「だったら今すぐ会いにいきましょ?
私近くまで付いていきますよ」
酒が入ってテンションが上がる佐々木先生。
俺「いや今からはさすがにまずいっす。」
佐々木先生「ウジウジウジウジ…
男でしょ?
てかハルちゃん可哀想です」
俺「可哀想?」
佐々木先生「だって、手紙に書いてまで会いたいって…
子供は純粋なんですよ。
特にハルちゃんは!
今日が無理なら明日。明日必ず会いに行って下さい。」
仮眠してる間に話が急展開…
佐々木先生良い人すぎる
少し呂律が回らなくなってる佐々木先生。
俺「でも、
会ったら…
俺泣いちゃうかもしれないっす。」
佐々木先生「いいじゃないですか!
大人が泣いちゃだめなんですか?
ハルちゃんに会っていっぱい泣いて下さい。
でちゃんとハルちゃんに謝って下さいね。
会いに行かなくてごめんって。」
俺「そうすね」
佐々木先生「父親放棄は最低ですよ」
まったくその通りだ。
サリナが家を出て行って、ハルに母親がいなくなった。
それと今俺は同じ事をしている。
次の日俺はハルに会うことにした。
俺はただ単純に誰かに背中をおして欲しかったんだと思う。
佐々木先生には本当に何から何までお世話になってる。
サリナに連絡をし、夕方家に行くことになった。
ハルに会うまでの時間は大分ある。
落ち着かず何故か台所に立つ俺。
昨夜は一睡も出来なかった。
やべっバニラエッセンスねーや。
なんて思いながらハルに喜んでもらおうとお菓子作りを始めた。
朝早く近くのデパートにプレゼントを買いに行った。今は仮面ライダーがお気に入りらしい。
仮面ライダーのおもちゃを手にしながら、これハル喜ぶかなー。
なんて期待に胸膨らませる俺。
ドキドキ、ワクワク。
こんな気持ちはいつぶりだろうか。
ハルの笑顔が頭に浮かび、ついついニヤケてしまう。
そろそろ時間だ。
ケーキとプレゼントをもってハルの住むマンションへと向かった。
見るからに金持ちの住むマンション。
ここにハルが住んでいるんだ。
部屋番号を押し中に通された。
エレベーターの17Fのボタンを押し、ゆっくり上がっていく。
俺の気持ちも高ぶる。
そしてすごく緊張する。
ハル「パパー」
玄関を開けるや否やハルが飛び出してきた。
俺「ハル!
元気してたか?」
ハル「うんw
パパおそいよ
ぼくずっとまってたの」
ハルはいつもと変わらぬ満面の笑みで俺を迎えてくれた。
今にも泣き出しそうだが我慢した。
サリナ「俺君上がって。
ハル朝からずっと楽しみにしてたんだよw
俺君に会うの。
まだかまだかってうるさかったんだからw」
サリナに言われ部屋にあがらせてもらった。
ハルに手を引っ張られリビングへと入る。
長い廊下に広いリビング。
何不自由ない暮らしとはこのことだ。
こんなマンション、テレビの中だけだと思ってた。
そう言えばジュンが一流企業で働いてるって言ってたな。
俺「あっこれケーキ。」
サリナ「えっ?ありがとーw
わっ!俺君が作ってくれたの?」
俺「うん、
味の保証はできないけど」
サリナ「良かったねーハルw
後で食べようね」
俺「それにしてもすごく立派な住まいだなw
幸せそうで良かったよ」
サリナ「うんw
ありがとw」
俺「彼氏は?」
サリナ「今日は朝からゴルフだし、帰りは遅いの。
大丈夫w彼には俺君が来ること伝えてるからw」
ハル「パパーこっちこっちw
ぼくのおへやみてみて」
ハルは嬉しそうに俺の手を引っ張る。
ハルの部屋。
理想の子供部屋だ。
新しい勉強机にベッド。
そしておもちゃが綺麗に置かれている。
俺「あっ?」
ハルに買ったプレゼント。渡すのが恥ずかしくなった。
大きいサイズの仮面ライダーフィギュアに、ベルトのおもちゃが置かれてある。
ジュンに買ってもらったんだろう。
それに比べ俺が買ったのは10センチ程の安物フィギュア。
プレゼントされても嬉しくないだろうな。
俺はそっと後ろのポケットに隠した。
フィクションだろうがノンフィクションだろうが色んなことを考えさせられる。
サリナ「お茶入れたから飲んでw」
リビングに戻りソファーに腰を下ろす。
ハルも俺の隣に座りずっと俺の顔を見る。
余りにもマジマジと見るので、何だか照れてしまう。
俺「ハルもサリナも元気そうで良かった。
それに幸せそうで安心したw」
サリナ「うん。
何でハルにずっと会いにこなかったの?」
俺「俺馬鹿だから会ったらだめだって勝手に思ってた。
本当にごめん」
ハル「パパごめんしないでいいよ。
ぼくおりこうにしてたよ。
きょうパパにあえたからすっごくうれしい」
無邪気な笑顔に癒される。
俺「ハルごめんな…」
今にも泣き出しそうだが、カッコ悪いから我慢。
サリナ「これからはちゃんとハルと会ってあげてね。
ハルはパパ大好きなんだからw」
俺「うん…」
ようやく何か吹っ切れたような気がする。
ハルに会えるだけで幸せなんだ。
無理に何か幸せを見つける必要なんてないんだよな。
ガチャッ
玄関から誰かが入ってきたようだ。
サリナ「あっジュン君だ。」
そう言いながら玄関へと向かうサリナ。
サリナ「おかえりー。
早かったね。」
ジュン「部長が体調悪くなったんで、酒の席はなくなったんだよ」
リビングの向こうから二人の会話が聞こえた。
ハルは俺に密着し、DSに集中していた。
ジュン「何まだいてんの?」
サリナ「うん。
今さっき来たばかりだよ。」
ジュン「うぜーな。
さっさと帰らせろよ。
俺疲れてるんだよ」
サリナ「でも、
来たばかりだし。
ハルもせっかく喜んでるから」
ジュン「チッ。
仕方ねーな。
あんまり遅くまで居座らせんなよ」
舌打ちしながらダルそうに話すジュン。
サリナ「うん」
小声だが会話はまる聞こえだよ。
俺は腰を上げる。
ハル「パパどうしたの?」
俺「ハル。今日はもうパパ帰るな。」
ハル「やだー。
いまきたばかりだよ。
だめだめだめだめー」
ハルが俺の服を引っ張った。
ジュンのこと聞かれたときに、
ハルは黙ったままだったもんな…
するとサリナとジュンがリビングに入ってきた。
ジュン「あっ、俺さんお久しぶりです。
お元気そうですねw良かったらこれから一杯どうですか?」
ジュンが作り笑いで俺を見る。
俺「いや、
俺はこれで。
明日仕事も早いんで。」
ハル「パパかえらないで。
おねがい。かえらないで。」
必死に俺を引き止めるハル。
ジュン「コラコラハル。
ワガママ言っちゃ駄目だろ?
俺さんは忙しいんだよ。
困らすな」
父親面するジュンに嫌悪感を抱きながら、
俺「ハルごめんな。
パパまた必ずハルに会いにくるから。」
笑顔でハルを諭した。
拗ねながらハルは諦めてソファーに座り込んだ。
俺「じゃ俺帰るわ。」
気まずそうな顔をするサリナに、少し申し訳ない気持ちになりながらも玄関に向かった。
ジュン「あれっ俺さん何か落としましたよ」
偶然廊下を歩いている時に、ハルのプレゼントにと思っていたフィギュアがポケットから落ちた。
ジュンがそれを拾う。
ジュン「仮面ライダー?
なんかの景品?」
俺「あっそうそうw
たまたま当たったんでハルにどうかと思ってw」
ハル「ぼくに?
ありがとーパパー」
ハルが嬉しそうにフィギュアを手にとった。
ジュン「当たった景品だぞ。
そんなのいっぱいあるだろ…」
捨てろと言う前にサリナが割って入ってきた。
サリナ「さぁさぁ。ジュン君疲れてるでしょ。
先にシャワーしたら?」
サリナが申し訳ない顔をし俺を見た。
場違いな俺こそ申し訳なさすぎるよ。
リビングからジュンが、「きったねーケーキ。
こんなの早くゴミ箱に捨てろ」
と聞こえた時は、無償に自分がダサいやつなんだと自覚した。
惨めな気持ちになるが、そんなことはどうでもよかった。
だってハルが、
ハル「ぼくずっとたいせつにするね」
って言ってくれたんだよ。
本当に嬉しかった。
佐々木先生に報告する約束だった。
帰り駅で待ち合わせしファミレスに入る。
佐々木先生「すっごいムカつく。
何なんですか?
その人。
無神経にも程があります。」
佐々木先生が怒って俺を見る。
俺「疲れてたみたいだし、虫の居所も悪かったんすよ。きっと。
それに俺は別に彼と自分を比較しようなんて思ってないんす。
たしかに俺はダサいかもしれないけど、彼は彼。俺は俺なんだし。」
佐々木先生「松井さんはカッコ悪くなんてないです。
ハルちゃんが園児の頃は松井さんは、お母さん達や先生達からも人気ありました。」
拗ねる佐々木先生。
俺を慰めようとして
くれてるんだろうけど、本当に俺は気にしてなかったんだ。
久しぶりにハルに会えた。
それだけで十分気持ちが満たされていたんだ。
また来週ハルに会いにいこう。
そう思うだけで俺の日常が変わって見えた。
子供の存在の大きさに気づかされる。
そして仕事もプライベートも充実するよう、自分なりのペースで過ごした。
着信。
深夜0時。
サリナからだ。
こんな時間にどうしたんだろう。
眠りにつきかけていたから少し眠いが、何かあったのかも?と電話に出た。
俺「もしもし」
「…」
俺「どうした?
こんな時間に。」
ハル「パパ…
パパ…」
弱々しい声でハルが答えた。
俺「ハルか?
どうした?
何かあったか?」
一瞬で目が覚めた。
嫌な予感がする。
ハル「パパ…
たすけて…シクシク
たすけて…シクシク」
ガシャーンッ
電話越しに何かが壊れる音がした。
普通じゃない状況に焦る俺。
俺「ハル?
どうした?
何かあったか?」
ハル「パパ…
パパ…シクシク」
ハルは明らかに混乱していた。
俺の問いに答えず、ただパパと連呼している。
俺は急いで服を着て家を飛び出した。
タクシーに乗り込みサリナのマンションへと急ぐ。
電話をずっと繋げていたけど途中切れた。
いまいち状況がつかめないが、
不安が募る。
ハルは大丈夫か?
サリナは?
ただただ早く着いてくれと願う。
ようやくサリナの住むマンションに着くと、
俺は何ども呼び出しを押した。
ジュン「はい」
俺「俺だ。
サリナとハルは?」
ジュン「何時だと思ってるんです?
非常識ですよ。
二人はもう寝てます。
帰って下さい。」
俺「ふざけんな。
ハルから電話があったんだ。
とりあえず会わせてくれ。」
途中で電源を切られた。
たまたまマンションから出てくる人がいた。
その隙にマンションに入り急いで17Fへと向かう。
玄関の呼び出しを何度も押した。
ドアをこれでもかってくらい叩いた。
俺「サリナ?
ハル?」
何度も名前を叫ぶ。
近所迷惑もいいとこだが、俺の心境はそれどころじゃない。
ガチャッ
ジュン「うるさいな。
いい加減にしろ。
警察呼ぶぞ。」
ジュンが玄関を開け、俺を睨みつけた。
俺はジュンを払いのけ中に入った。
ジュン「おい。
勝手に入るな。
不法侵入だぞ。」
ジュンが俺の肩を力強く掴む。
その手を振り払い中へと急ぐ。
俺「サリナ?」
サリナは台所でしゃがみこんでいた。
俺「どうした?
大丈夫か?」
サリナ「俺くん…
どうして…?」
下を向くサリナの肩を持つ。
ビクッと体を反応させ、
小刻みに震えるサリナ。
顔を上げたサリナの顔は、少し腫れ鼻血がでていた。
結婚してから変わったのかな
俺「ハルがサリナの電話で電話してきた。
何があった?
ハルは?
ハルはどこだ」
サリナ「…」
顔を背けるサリナ。
俺はサリナを置いて子供部屋に入った。
ハル「シクシク…シクシク」
真っ暗な中、部屋の隅で膝を抱えて丸くなっているハルを見つけた。
俺「ハル?
ハル?」
俺はハルに歩み寄った。
ハル「パパ…
パパ…
うえーん」
鼻水と涙で顔をぐしゃぐしゃにして俺に抱きついてきた。
顔や腕にひっかき傷が。
少し血が出ている。パニックになって自分で引っ掻いたんだ。
そして少し震えている。
何があったのかすぐに理解した。
リビングの荒れようとハルとサリナの姿を見て。
ジュンが暴れたんだろう。
ハルの怯え方は尋常じゃなかった。
俺「大丈夫か?
もう安心していいぞ。
パパが来たから」
頭に血が昇るのが分かった。
ハル「パパ…えぐっ
ぼくね…えぐっ
ママまもるのがんばったよ…えぐっ」
ハルは俺との約束を守ったんだ。
やりきれない気持ちと怒りがこみ上げてくる。
俺はハルを抱きかかえサリナの元に戻った。
俺「サリナ。
大丈夫か?」
サリナは震えながら、ゆっくり頷く。
優しく俺からハルを受け取ると泣き出した。
サリナ「ハルごめんね…
恐かったね…
恐い想いさせてごめんね…」
ジュン「おい、おまえ。
勝手に入ってきやがって。
ふざけんなよ。」
ジュンが片手にゴルフクラブを握り、俺に近づき胸ぐらを掴んできた。
酒臭い。
大分酒が入ってるようだ。
俺はジュンの腕を掴み服から手を外した。
ジュン「手に触るな。汚れるだろーが。
この貧乏人」
そう言って俺に殴りかかってきた。
上からゴルフクラブが落ちてくる。
俺はそれを頭で受けて踏ん張った。
反射的に俺の手が出出てしまった。
そのまま拳を顔面に強く打ち付けた。
後退りし後ろに尻餅をつくジュン。
鈍い感触。歯が折れたのかダラダラと口と鼻から血を出す。
ジュン「いってー。
てめーふざけんな。
訴えるぞ。」
俺「俺の息子に何しやがった。」
怒りが頂点になり、俺はジュンに馬乗りになった。
俺の頭からは血が垂れてきてる。
ジュン「その阿婆擦れが悪いんだ。」
俺「黙れ」
俺はジュンを殴ろうとした。
でも熱が冷めてしまったように握り締めていた拳を下げた。
意外に冷静だったんだと思う。
ハルにこんな姿見せちゃいけないと思った。
それにもう人を傷つけないって決めてたんだ。
暴力で何も解決しないことは、十分に分かっていたから。
俺はスッと立ち上がってサリナとハルのそばに行った。
俺「行こう。」
サリナは泣きながら黙って頷く。
荷物をまとめてハルとサリナを俺の家に連れ帰った。
帰り際、ジュンが色々言っていたけど殆ど聞いていない。
家に着くとハルは疲れてぐっすり眠っていた。
俺「落ち着くまで俺の家にいればいいよ。」
俺はサリナに救急箱を渡す。
サリナ「ごめんね…
心配かけて…
あのね…」
俺「二人とも無事でよかった。
ゆっくり休んで。
落ち着いたら話してくれればいいから。」
サリナ「ごめん。
俺君に迷惑かけて…」
俺「何言ってんの?
全然迷惑なんかじゃないから。」
サリナ「ハル男の子なんだね…
ジュン君お酒が入ると暴力的になるの…ハルがね…
わたしを庇ってくれたんだ…」
俺「うん…
そっか…
ちょっと出かけるから。
ゆっくり休めよ」
サリナ「うん…
本当にありがと…」
そう言って俺は家を出た。
外は少し明るみ始めてる。
段々やり場のない気持ちが込み上げてくる。
涙が溢れ出す。
サリナやハルがこんな想いしたのは、 俺の責任だ。
俺が全て悪い。
俺がもっとしっかりしていれば、サリナもハルも傷つかなくて済んだんだ。
俺が二人を手放さなければ。。。
後悔しても今更遅い。
分かってる。
それでも自分が嫌いで仕方い。
腹立たしい。
ジュンがじゃない。
俺自身にだ。
2人が俺の家に来て、二週間が過ぎた。
ハルはあの日は何もなかったかのように元気だ。
俺とサリナ、三人でいるのが嬉しかったのかもしれない。
サリナもそれっきりあの話しを口にしないが、いつものように元気に振る舞ってる。
俺もその話題には一切触れないようにしていた。
ジュンは何度か俺のいない合間に家に来ては、サリナに寄りを戻したいと懇願してたらしい。
わずかな時間だけど、また3人同じ屋根の下で時間を過ごした。
3人で買い物に行ったり、ご飯を作ったり。
散歩をする時はまるで家族のような感覚になれた。
俺はそれがなにより嬉しかった。
このまま三人でずっといれればいいなんて、簡単に考えてしまう。
でもサリナはそうじゃないって言うのは分かってる。
だから俺は、それももう終わりなんだと毎晩自分に言い聞かせるようにしていた。
そしてその時はすぐにやってきた。
ハルが寝静まった時間に、
サリナ「俺くん。
ちょっといいかな?」
俺「うん。
どうした?」
サリナ「今後のことなんだけど…」
やっぱりずっと3人でなんてありえないんだ。
ずっと考えてた。
俺はサリナのしたいようにすればいいと思ってる。
そのためのサポートはするつもりだ。
サリナ「わたしね俺君にはすごく感謝してるの。
それに勝手ばっかりしてきたの本当に謝りたい。
ごめんなさい」
サリナは正座しながら深く頭を下げた。
俺「何畏まってんだよ。
俺がハルやサリナのために何かするのは当たり前だろ」
サリナ「わたし出て行くね。」
その目は真剣そのものだった。
俺「う、うん。
ジュンと寄り戻すのか?」
サリナ「違うよ。
もう戻らない。
まだ好きだけど…」
俺「どうしたい?
何でも言ってくれていいよ」
サリナ「ハルともう一度二人でやり直したいの…」
俺「…」
サリナ「ハルにとって俺君は大事なパパだって分かってるよ。
でもね、
ハルともう一度頑張って生きて行こうって思ってるの…」
俺「…だめなのか………」
3人で生きていくじゃだめなのか?って言いたかった。
でも言葉がうまく出ない。
続き
サリナ「えっ?」
俺「いや、何もない。
そっかw
うん。分かった」
俺は何納得してんだ。
俺「あっ、そうだ」
俺はタンスの引き出しから通帳を出して、サリナに差し出した。
サリナ「これは?」
俺「ずっと貯めてたんだ。
ハルのために家ん買おうと思ってたんだけどなw
でも、
どうやら俺には必要ないみたいだからw
ハルのために使ってやってほしい」
サリナは通帳に手を伸ばすと、そのまま俺に返した。
サリナ「受けとれないよ…」
俺「いいから。
お金がなきゃ生活も出来ないだろ?」
サリナ「優しくしないでよ…」
泣き出すサリナ。
サリナ「そんなに優しくしないで…
俺君に甘えちゃう…」
俺「いや、甘えていんだよ。
他人じゃないだろ?」
サリナ「いやなの…
俺君の優しさに甘えるわたしがいや…
だから出ていくの…」
それ以上俺は何も言えなかった。
サリナが決めたことなんだ。
俺は陰ながら、サリナとハルを応援出来ればいい。
そう思ってた。
押すとこだろうに。
数日後、
サリナとハルが住むマンションが決まった。
サリナは介護職に復帰し、いよいよ引っ越しとなった。
距離は一駅程だったので、いつでも会いに行けると言うことで少し安心してる。
ハルは泣いてぐずってたけど、好きな時に会えると言うことで我慢してもらった。
我慢ばかり可哀想なんだけどな。
ようやく引っ越しも終わり、サリナとハルとはお別れだ。
サリナ「俺君本当にありがとう」
俺「うん。
全然いいよ。
また何かあればいつでも言って」
サリナ「うん」
ハル「パパー。
まいにちおでんわするねw」
ハルには携帯を持たせた。
俺にいつでも電話出来るようにだ。
きっと心配で俺ばっかり電話するんだろうけど。
俺「じゃあまたな」
ハル「パパーまたあしたねー」
俺「明日は無理だよw
お休みになったらなw」
ハル「はいw」
俺「ハルのこと頼んだよ」
サリナ「うん…
俺くん…?」
サリナが少し切ない表情を見せる。
俺「ん?」
サリナ「ううん。
何でもないw
あのね…
幸せなんて本当にあるのかな…?」
また切ない表情をするサリナ。
俺「ん?うん…」
サリナ「頑張ってれば…
神様は幸せにしてくれるかな…?」
すごく心に響くものを感じた。
俺は何も答えることが出来ず二人と別れた。
サリナのその時の表情と言葉を今も忘れることはない。
ハルとサリナが出て行き数日が経ち、俺は相変わらずの生活を送っている。
何か物足りないモノを感じつつ。
佐々木先生「最近全然連絡くれないですね。
どうしてるんですか?」
佐々木先生からの電話だ。
久しぶりに話しがしたいと言われ、居酒屋で会うことになった。
佐々木先生「俺さんって本当に放置プレイが好きですね」
名前で俺のことを呼ぶ佐々木先生。
居酒屋に入って一時間。すでに出来上がってるようだ。
俺「放置ってw
佐々木先生はまだ20代なんだし、
もっと若い男相手にしなよ。
勿体無い。」
俺はジョッキのビールを飲み干す。
今日は久しぶりの酒で俺も気分がいい。
佐々木先生「もうすぐ29です。
俺さんとも歳変わらないでしょ。
子供扱いしないで下さい」
俺「佐々木先生はいい人いないんすか?
可愛いしモテるでしょ?」
佐々木先生「ぜっんっぜっんいません。
むしろ出会ってもしょうもない男ばっかりw」
俺「佐々木先生飲みすぎだよ。
そろそろ出ましょうか?」
佐々木先生「いやです。
今日はもっと飲みたいんです。
付き合ってくださいねw」
俺「明日仕事でしょ?
そろそろ帰りましょう」
佐々木先生「じゃあ愛(佐々木先生の名前)って呼んで下さい。
呼んでくれたら大人しく帰りますw」
俺「……」
佐々木先生「はいだめーw
帰れませんw」
大分酔ってる。
明日は仕事も早いしもう切り上げたい所だ。
佐々木「あのー…
何で元奥さんと寄り戻さなかったんです?」
俺「寄り戻すってw
あっちはまだ前の男が好きなんですよ。
寄り戻すとか、そう言う次元じゃないですよ。」
佐々木先生「俺さんは元奥さんのこと好きじゃないんですか?」
お酒のせいで呂律が回っていない。
俺「俺は…」
そう言えば考えたことなかったな。
サリナのことが好きかどうか。
好きか嫌いかって聞かれたら好きなんだろうけど。
愛とか恋とかそんなんじゃない。
そう思ってた。
俺「愛とかはないですから。
多分家族や友人みたいな、親近感はあるんだとは思う。」
本当にそうなのだろうか。
俺自身そんなことを深く考えたことがない。
うまく表現出来ないんだ。
佐々木先生「本当に俺さんは鈍感ですよねw
さっき聞いた話しなら、きっと元奥さんも俺さんに気がありますよw」
俺「サリナが?」
ふと考えてはみたが、ありえない。
佐々木先生「女の勘ですwイヒッw」
俺「勘ってw
佐々木先生飲みすぎ。
そろそろ出ましょう。
俺家まで送ってくんで」
佐々木先生「仕方ないなーもーwイヒッw」
ふらふらの佐々木先生。
家が近いと言うことなので仕方なくおぶって送ることにした。
俺「しっかり佐々木先生。」
いつの間にか俺の背中で寝ている。
まあ住所は聞いてるし、家に着くまで寝かせておくか。
俺「先生。
着きましたよ。
起きて下さい。」
背中の佐々木先生を揺すった。
佐々木先生「もうちょっとだけ。
このままお願いします」
俺「起きてたんすか?
いつから?」
佐々木先生「途中からです。
少しうち寄って行きませんか?」
そう言って部屋に上がらせてもらった。
久しぶりの女性の部屋。
何だか緊張する。
佐々木先生「はい。ビールw」
冷蔵庫から缶ビールを取り出し俺に渡して、ちょこんと俺の隣に座った。
俺は微妙に距離を離す。
佐々木先生「どうして離れるんですか?」
俺「いや、あの…」
あたふたする俺。
佐々木先生「俺さんって本当に鈍感ですね」
俺「近い」
佐々木先生が顔を近づけてきた。
まじまじと俺の顔を見つめる。
俺「あの、先生酔いすぎ」
佐々木先生「もう酔ってません。
いい加減私の気持ちに気づいてくれてもいいじゃないですか!」
佐々木先生が俺に覆い被さる。
俺「いや、あの…」
変な汗が出てくる。
佐々木先生「好きなんです。。。
女性からこんなこと言わせないで下さいよ。。。」
いつからだ?
気付かなかった。
だってハルの先生だった人だぞ。
佐々木先生の唇が俺の唇に触れた。
柔らかい。。。
アルコールと女の甘い匂い。
心拍数が上がる。
俺は我慢できず佐々木先生を押し倒した。
興奮が高まり理性が吹き飛んだ。
佐々木先生の胸を服の上から触る。
柔らかい。
どれぐらいぶりだろうか?
異性とここまで密着するのは。
ハルを一人で育て始めてからだから、ずっとなかった。
俺も男なんだと今更ながらに思い出す。
佐々木先生「んっ…」
佐々木先生が声を漏らす。
俺はスカートに手を入れ生脚を弄った。
このまま。
このまま身を委ねよう。
佐々木先生とならいい。
佐々木先生となら幸せになれるかもしれないな。。。
サリナ…
頭の中でサリナの顔が浮かぶ。
そうあの時の切ない表情だ。
俺はふと我に返る。
すぐに手を止め佐々木先生から離れた。
佐々木先生「どうしたんですか?」
俺「すいません。
俺、、、
俺出来ません。
本当すいません。」
立ち上がり帰りますと言って、佐々木先生宅を急いで飛び出した。
外はパラパラと雨が降り出していた。
俺はまだ心臓がバクバク言ってる。
何やってんだ俺は。。。
最低だ。
佐々木先生に失礼なことしてしまった。
それにサリナの顔が頭から離れない。
急に胸が締め付けられる。
俺は走って家に帰った。
ずぶ濡れになり、そのまま空の浴槽に入る。
その空間が好きだった。
まだ胸が締め付けられて苦しかった。
そしてとめどなく涙が溢れた。
俺「サリナ…」
俺はサリナが好きなんだ。
気付かないうちに、またサリナに惹かれていたんだ。
ようやくそれに気づいた自分がそこにいた。
本当はずっと好きだったのかもしれない。
それをただ否定して気付かないふりをしていただけなのかもしれない。
サリナの笑顔。
サリナの悲しい顔。
あの切ない顔も。
サリナで頭がいっぱいになった。
サリナのことを考えると胸が締め付けられる。
今ならこの気持ちは本物だと分かる。
これが愛なんだと理解した。
ハルに対してとはまた別の感情。
悲しくて嬉しくて愛おしい。
いろんな感情が入り混じる。
もう終わるんだけどもうすぐ出掛けるんで、申し訳ないけど今日の夜でもいいですか?
せっかく終わると言っていたのに申し訳ない。
後朝まで付き合ってくれてる人本当にありがとう。
また頼むよー
こんな時間までお疲れっすー
ちゃんと待ってるから最後まで頼むぞ
レスのスルーは許してください。
全然おk!
こんなに人の話に引き込まれるのは初めてだよ
周りの人の為に一生懸命な主は偉い
遅くなりました。
今から続き書いていきます。
リアルタイムだ
続き
そしてハルの笑顔が頭に浮かぶ。
ハルにはいつも我慢ばかりさせてた。
辛い想いも。
寂しい想いも。
とても可哀想なことをしてきた。
聞き分けが良い分尚更。
子供は親を選べない。正にその通りだ。
子供がそんな気持ちになっていいわけがない。
親なら、精一杯の愛情を子供に注いであげなきゃいけない。
一番近くで成長を手伝ってあげなきゃだめなんだ。
ハルには、
俺とサリナ。
両方必要なんだ。
親の都合で子供が犠牲になるなんて、絶対にあってはいけない。
後悔と反省の念が何度もおしよせた。
ハルの笑顔。
サリナの笑顔。
俺が守ってやりたい。
心からそう思った。
俺は浴槽からでると、すぐに家を出た。
サリナに会いたい。
今すぐ。
その一心で、俺はサリナの家へと向かった。
逸る気持ちを抑えることが出来ない。
雨に濡れながら頭を冷やす。
着いた頃にはもう夜が明けていた。
サリナの部屋の前に立ち、呼び出しを押した。
妙に静かで、自分の心臓の音だけがバクバクと聞こえる。
サリナ「はーい。
俺くん?」
サリナが驚いた表情で俺を見た。
俺「サリナ…」
サリナを見つめた。
俺の気持ちは固まってる。
強い決意でサリナに会いにきたんだ。
サリナ「どうしたの?
こんな朝早くに。
それにびしょびしょ。」
言わなきゃ。
ちゃんと言わなきゃ。
あの日公園で再会した日。
ハルを引き取りたいと言われた日。
ジュンの家から連れ出してサリナとハルが出ていった日。
何度も。
何度もチャンスはあったんだ。
ずっと。
ずっと言えなかった。
だからちゃんと伝えよう。
遅くてもいいんだ。
自分の気持ちを伝えよう。
俺「サリナ…
好きだ。
だから…
俺のそばにいてほしい…」
サリナ「ど、どうしたの?急に。」
動揺してるのか少し瞳が潤んでる。
俺「ずっと思ってた。
ハルのために3人で暮らすべきだって。。
でも、
違うんだよ。
今はサリナとハルのために3人で暮らしたい。」
サリナは黙って頷いた。
俺「この間…
本当に幸せになれるのかな?って聞いただろ?
神様が幸せにしてくれるかな?って」
サリナの瞳には大粒の涙が溜まっていた。
俺「あの時の答え。
今ならちゃんと言える。
俺が幸せにする。
サリナもハルも。
だから…
だから…
俺のそばにいてくれ…
本当にもう後悔したくない…」
サリナの瞳から、涙がつーっと流れた。
俺はありのままの気持ちをサリナに伝えた。
答えがどうであろうと。
サリナは泣きながら口を抑え、頷きながら俺の言葉を聞いていた。
俺「サリナとハルが笑顔になれるように、精一杯努力する。」
俺も感情が高ぶりすぎて涙が出てくる。
サリナ「甘えていいのかな…
本当に…」
俺「ずっと沢山傷つけてきた。
本当にごめん。
でもサリナとハルのためなら変われる。だからやり直そ…」
サリナ「……」
サリナは黙って、俺の胸に頭をうずめてきた。
俺は肩に手を添える。
今まで自分の気持ちを言葉にするのが苦手だったんだ。
たがらこそ、俺の真剣さがサリナに伝わったのかもしれない。
サリナ「ありがとう…」
俺こそありがとうだ。。。
サリナ自身、まだジュンへの気持ちは断ち切れてなかった。
それでも、もう一度家族になりたいと想う気持ちは俺と同じだったんだ。
その夜、サリナがハルを連れて家にやってきた。
朝ハルは寝ていて、
サリナもまだハルに何も話していないと言っていた。
ハルは少し不安な表情だ。
急に俺の家に連れてこられたんだ。
無理もない。
ハル「パパなにかあったの?」
俺「ハルパパの膝に座ってくれるかな?」
ハルが俺の膝にちょこんと座る。
ちょっと前まであんなに小さかったのにな。本当に大きくなった。
俺「ハル?
パパとママと一緒に住みたい?
ハルの気持ちパパに教えてくれるか?」
ハル「はい。。。
でもぼくわがままいわないよ」
俺「今はワガママ言っていいんだよ。」
ハル「あの…いっしょにすみたい…」
ハルの表情が少し曇る。
サリナ「ハル。
パパとママと3人一緒に暮らそw」
サリナがハルに笑いかける。
ハルは俺とサリナの顔を行ったり来たり見る。
ハル「ほんとう…?」
ハルが澄んだ瞳で俺を見つめた。
俺「うん」
俺は笑顔で返事した。
ハル「パパと…
ママと…ぼく…
いっしょ?」
サリナ「そうだよw
ずっと一緒w」
サリナがハルの手を取った。
ハル「いっしょ…ウアーーン。
いっしょ…ヴエーン」
ハルが大声で泣き叫んだ。
すごく満たされた気持ちになる。
サリナも俺も自然と笑顔が零れる。
随分遠回りをした。
ようやく3人、家族の絆が芽生えた瞬間だった。
3人で暮らし始め、俺はサリナとハルのために一生懸命働いた。
休みの日は、ずっと3人でできなかったことをやろうって決めたんだ。
失った時間を取り戻すかのように、色んなとこに思い出作りに行った。
釣りに行ったり、旅行に行ったり。
祭や花火大会。サリナの希望でディズニーランドにも行った。
ハルは少し落ち着きなかったけど、途中からはしゃいで本当に可愛かったな。
俺は指輪を買ってそれをハルに見せた。
俺「パパな。ママにプロポーズしようと思うんだw
ハルも応援してくれる?」
ハル「はいw」
記念公園に遊びに行った。
3人一緒だとはいえ、俺とサリナはまだまだぎこちない感じだった。
サリナ「天気いいねw
すごく気持ちいいなw」
まわりには沢山家族連れがいて賑やかだ。
サリナ「こう言うの夢だったんだw」
サリナの横顔を見つめる。
サリナ「どうしたの?
恥ずかしいからそんなに見ないでw」
俺「あっ、わりい…」
こっちが照れてしまい言い出しにくい。
ハルが見かねて俺の右手を握り、サリナの左手を握った。
そして2人の手を重ねる。
ハル「おててにぎって」
俺はサリナの手を握った。
サリナも握り返してきた。
ハル「ママジュースかってもいいの?」
ハルはサリナからお金をもらうと、少し離れた自販に走っていった。
ハルなりに気をきかしてくれてるんだろう。
俺「サリナ?
もう一度結婚してくれないかな?」
俺はポケットから指輪を出した。
サリナ「本当?
…でも、もう少し時間がほしいかな。
必ず返事するから。
その時になったらこの指輪つけるねw」
その答えだけで十分だった。
初めて家族の温もりを知った。
家族一緒に笑って過ごすことの幸せを知った。
ずっと3人でこの幸せを分かち合えればいいな。
そう願った。
その願いもむなしく、
とうとうその日はやってきた。
俺が31歳の誕生日を迎えた次の週。
それは突然訪れる。
ハル「ママー。
あっちゃんちにあそびにいってくるねw」
夏が名残惜しい涼やかな朝。
秋の独特の香りが何だか寂しさを誘う。
サリナ「うん。
じゃあママが送ってあげるからね。
支度するから少し待って」
ハル「だいじょうぶ。
じてんしゃでいきたいのw」
この前買ってあげた自転車。
ハルはどこに行くのにも乗りたがる。
俺「あっちゃん家ならすぐそこだし大丈夫だよな?ハル。
ハルももうお兄ちゃんだもんなw」
ハル「はいw」
サリナ「本当に?
じゃあハル。絶対道路に飛び出しちゃ駄目よ。
ちゃんと夕方までには帰るのよ」
ハル「はいw」
ハルちゃん、アカン……
サリナ「俺君も仕事の時間でしょ。
遅れるよ」
俺「はいw」
誕生日にハルが俺にプレゼントしてくれた絵。
毎朝これを見るのが日課になってる。
俺とサリナとハルが手を繋いでる絵。
良く描けてるんだ。
俺は親バカだよ。
自慢の息子だ。
俺はハルと一緒に家を出た。
俺「ハル絶対に信号は止まること。
知らない人にも着いてっちゃ駄目だぞ」
俺はハルに念をおす。
ハル「はいw」
ハルがピンと垂直に手を上げた。
俺「えらいえらいw」
俺はハルの頭を撫でた。
ハル「パパ。
きょうかえったらリレーのれんしゅうしようねw」
が今年の地域の運動会の親子リレーで、俺と走るのをハルはすごく楽しみにしてるんだ。
俺「分かったよ。
約束な」
ハル「うんやきそくな。
パパーバイバーイ」
誰に似たんだろうか?最近少し生意気になった。
それでも可愛いから罪だ。
俺はハルと家の前で別れた。
ハルは笑顔で俺に手を振って自転車を漕ぎ始めた。
これが最後に見たハルの笑顔だった。
仕事中ずっと胸騒ぎしてたんだ。
着信。
サリナからだ。
休憩にまたかけるか。そう思いマナーに切り替えた。
すぐにまた着信。
いつの間にかサリナからの着信が10件。
しかも一分おきにだ。
俺はすぐかけ直す。
サリナ「ハルが…
ハルが…」
泣いて震えるサリナの声。
俺は頭が真っ白になった。
俺はその場に携帯を落とした。
心臓が今にも止まりそうな感覚。
急いで病院に向かう。
まわりの声も音も何も聞こえない。
ただ自分の心臓の音だけが激しく鼓動する。
病院に着くと、
サリナと両親が先に来ていた。
サリナが俺に気づくなり、泣きながらしがみついてきた。
トラックにひかれて即しだった。
顔には擦り傷があったけど、穏やかな表情だったのを覚えている。
俺はただ眠ってるだけなんだよな。
そう思って、何度もハルを揺さぶった。
俺「うそだよな?
ハル。
起きろ。
なぁ…起きてくれ…
なぁ…帰ったらリレーの練習するって…
約束しただろ…」
ハルはそのまま目を覚ますことはなかった。
あの時からずっと気をつけてきたのにな。
だからずっとなかったんだよ。道路に飛び出すことなんて。
ハルは脇道に自転車を止めて、
道路に投棄してあった黒いゴミ袋を拾いに行ったそうだ。
それが犬か猫だかと勘違いしたのかもしれない。
ただのゴミだと分かってて拾いに行ったのかもしれない。
それはもう誰にも分からないことだ。
サリナは自分が送らなかったから悪いんだと、何度も俺に謝ってた。
安心しきっていた俺が一番いけなかったんだ。
俺は泣いた。
病院の廊下に座り込みずっと泣き叫んでたのを覚えてる。
一人で痛かっただろうな。
一人で苦しかっただろうな。
一人で寂しかっただろうな。
ハルごめんな。
本当にごめんな。
たまらんよなぁ・・・・・
それからの俺は仕事も辞めて家に引きこもった。
サリナもずっと辛そうだったけど、
サリナを思いやることも出来ないくらい、俺の心はからっぽで何もする気がおこらなかった。
俺はサリナに実家に帰るように言った。
最低だな。
でも独りになりたかったんだ。
サリナは週に一回は家にやってきた。
ただ掃除して洗濯をして俺のご飯を準備して帰っていくだけ。
釣宣言してくれれよ
俺は家の壁に頭を打ちつけて血だらけになったり。
カミソリで手首を切ったり。
何度もしにたいと思った。
生きてても意味がない。
ハルは俺の全てだった。
それがない今、何のために生きてるのか分からなかった。
病院には何度か運ばれたけど、
しぬことは叶わなかった。
ハルが亡くなって1年と半年が経とうとしていた。
相変わらずサリナは俺の家に通っている。
サリナ「ねぇ、今日は何か食べたいものある?」
俺「別に…」
サリナ「また朝からお酒呑んでるの?」
俺「ほっといてくれ…」
サリナ「ねぇ…
俺君いつまでそうしてるの?」
俺「ほっといてくれって言ってるだろ。
何でおまえは普通でいられるんだよ?
ハルは…」
こんなことサリナに言うなんてどうかしてる。
俺は言葉を止めた。
今夜が最後って日にリアルタイムで遭遇しちゃった
涙止まらない
サリナ「ハルはもういないんだよ…
わたしだって辛いんだよ…
でもこんなことしてて…
ハルが帰ってくるの…?
わたし俺君のこんな姿見てるの辛いの…
」
サリナが俺の背中に抱きつく。
俺「ほっといてくれ。
もうほっといてくれ…」
そんなこと分かってる。
それでもまだ、ハルがいないことを受け入れられなかった。
時間が解決してくれる。なんて慰めいったい誰が言ったんだろうな。
俺はあの日のままずっと時間が止まってる。
きっともう立ち直ることなんて出来ない。そう思った。
それっきりサリナは俺の家に来なくなった。
愛想つかされて当然だ。
家の柱には、ハルの成長を記した線がある。
今はどれくらい成長したかな?
ボードにはハルが笑顔で映る写真。
ハルの大事にしていた、バスや仮面ライダーのおもちゃ。
それに俺に描いてくれた絵。
ハルのランドセルに教材。
あの日のまま。
ハルがいつ戻ってきてもいいように、そのままにしていた。
ハルとの思い出が沢山詰まったこの部屋だけが俺の唯一の居場所なんだ。
ふと公園に行きたくなり、久しぶりに家を出た。
ハルと始めて過ごしたあの公園だ。
目を瞑るとあの日の思い出が蘇ってくる。
ハル「ぱっぱ」
初めてパパって言ってくれた。
ハルの声が聞こえるような気がした。
楽しそうに走り回るハルの姿が、うっすらと残像のように浮かび上がる。
ハルはきっと俺を恨んでるだろうな。
何で俺じゃなくハルなんだよ。
なんで。
これからもっと楽しいことや嬉しいことがあったんだ。
ハルは誰よりも優しくて誰よりも思いやりがあったんだ。
なのに何でハルが。。。
これからの成長を楽しみにしてた。
それをどうして奪うんだ。。。
俺はあの日と同じ、公園の滑り台の下でうずくまって泣いた。
疲れた。
もう疲れた。
俺は行く宛もなくただただ街をさ迷い歩いた。
ゲームセンターの前を通りかかった時に、足を止めた。
派手な格好をした高校生くらいのヤンキー2人が、中学生を殴ったりして脅してる。
まわりの人間は見て見ぬふりをしているようだった。
俺「おいお前ら何やってんの。
そんなダサいことしてんな」
俺はそれを見かねて口を挟んだ。
ヤA「はぁテメー何?」
ヤB「しゃしゃり出てくんなオッサンw」
ヤンキーが中学生に蹴りを入れた。
お腹を抑えて座り込む中学生。
俺「いい加減にしろクソガキ」
俺はヤンキーを突き飛ばした。
ヤB「おい、やんのかオッサン」
ヤA「ぶっ殺すぞ」
ヤンキーの一人がナイフを出して俺を威嚇する。
俺「恐くねーよ。
かかってこいクソガキ」
ヤA「ヒローのつもりかおっさんw」
ヤンキーが俺に近づいた。
その瞬間、腹部に強い痛みが走る。
俺はその痛みの部分を見た。
服が真っ赤に染まり始めた。
どうやら刺されたみたいだ。
大量に血が出てるのが分かる。
恐怖心なんてものは微塵もなかった。
むしろやっと楽になれるんだ。
これでハルのところに行ける。
そう思った。
俺はその場に座り込む。
強い痛みの後に吐き気がやってきた。
目眩もする。
だんだんと視界が暗くなっていくのが分かった。
気を失ったんだ。
次に目を覚ました時、俺は病院のベッドで横になっていた。
俺の左手を誰かが握っているようだ。
俺「サ…サリナ…」
サリナは俺が目を覚ましたのに気づくなり、泣きながら話しかけてきた。
サリナ「心配したよ…
バカ…
むちゃしないでよ…」
そうだ。
刺されたんだ。
俺「なんだ…
しねなかったのか…」
前進の力が抜けていく。
サリナ「何してんのよ…
本当にバカ…」
俺「……」
サリナ「俺君…
わたしを一人にしないでよ…
ねぇ…
勝手に置いてかないで…
俺君までいなくなったらわたし本当に無理だよ…
お願い…
お願いします…」
サリナが泣きながら俺の手を両手で握った。
サリナがプロポーズした時に渡した、指輪をしているのに気づく。
俺「指輪…
何で…?」
サリナ「何でって…
俺君がもう一度結婚しよって言ってくれたでしょ…
わたし…
ずっとつけて待ってるんだよ…」
俺は自分のバカさ加減にようやく気づく。
俺「ごめん…
本当にごめん…」
涙が溢れ出た。
俺「サリナ…
ハル…俺のこと許してくれるかな…
ハルは幸せだったかな…」
サリナ「あたりまえでしょ…
ハルは優しい子だって、一番俺君が知ってるじゃない…」
簡単にしねなかった。
ハルがまだこっちに来るなって言ってくれてるのかもしれない。
俺に残されたもの。
それはサリナを大切にすることなんだ。
俺が入院したと聞いて、沢山の人達がお見舞いに駆けつけてくれた。
建設会社の社長に佐々木先生、ヒロシおじさんの家族まで。
俺は沢山の人に支えられて生きてるんだと気づいた。
そして沢山の人達のおかげで、俺はまた自分を取り戻すことが出来た。
ハルの出逢いが俺を成長させてくれた。
ただ純粋に泣いたり笑ったり、怒ったりって、それが出来ることがどれだけ幸せかを学んだ。
これから先、
何度も挫けたり辛い想いをすることがあるだろうけど。
ハルの笑顔を思い出して、自分に言い聞かせるんだ。
天国にいるハルに笑われないように。恥ずかしい生き方は絶対しないって。
沢山ハルから学び経験させてもらった。
それを無駄にする生き方をしないように生きていきたい。
今も目を閉じると、あのハルの懐かしい温もりを感じる。
それは俺の中で、ハルがちゃんと存在してる証拠なんだ。
このままサリナエンドなのか佐々木先生エンドなのか
くそかわいいやん……
ドラクエやないんやからww
息子さん失った辛さは計り知れない…
刺されると、やっぱり痛さは凄いんだね
そろそろ私は落ちようと思う
近況を少し。
今年6月サリナと再婚した。
勿論式も挙げた。
一軒家も購入したし、庭にはブランコを着けるつもりだ。
サリナは短大に通ってる。
保育士になるために。
俺はと言うと、
相変わらずかな。
前にも書いたけど、休みの日は障害者や親のいない子のために、ボランティア活動に参加して支援したり。
施設なんかの増築とか修復とか無償でしたりして、色々忙しくやってる。
>>1には幸せになってほしい
俺自身もそうだけど、選択を間違えることがある。
本当に自分の道を選択するって言うのは難しいと思ったよ。
それでもいいんだ。
何度も何度も間違って、いつか正解に辿り着けばいい。
そう思ってる。
人は変われるんだ。
俺も変われたんだから。
親、兄弟、子供に友人。
色々な人とたくさんの出逢いのおかげなんだって今は思う。
何より息子に出逢えたこと。
一生の宝物。
今は本当に産まれてきてくれてありがとうって言いたい。
ジュンしつこそうだったけど。
これからはまわりを幸せに出来るように、日々一歩一歩前進していきたいって思ってる。
誰かのために役にたてる人間になれたらいいなって、いつも強く願ってる。
身近な人だけじゃなくて、
これから出逢う沢山の人達を笑顔に出来たらなって思う。
ハルを通じて一緒に生きた9年間。
本当に色々あった。
ここで書いた沢山の辛いこと以上に、沢山楽しいこともあった。
それでも俺にとっての忘れられない大切な思い出は、ハルと乗り越えてきた辛い思い出なんだって思ってる。
そうだったっけ
勘違いしてたわ
長くなったけど、これで最後のレス。
ずっと見てくれてた人本当に感謝です。
これ一応嫁も読んでくれてて、温かいレスしてくれてる人も沢山いててすごく励みになりました。
最後まで付き合ってくれた方々本当にありがとう。
長い間、ありがとう!
悲しい結末だけれど、主が最後前向きになってくれて良かった。
釣りじゃないんだな
最後まで書いてくれてありがとう
ハルちゃんには癒やしをもらえたよ
奥さん大事にな
1夫婦のこれからに多大なる幸あれ!!!
おつかれー
遅くまで乙でした。
なんか色々考えさせられました。
ありがとう。
そして再婚おめでとう。
ほんと小さいことに悩まず私も頑張らないとって思えた本当にありがとう。
お幸せに
引用元:http://2ch.sc/
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なんで事故なんて遇っちゃうんだよ・・・
駄作の一言
馴れ初めの話みてホッコリしようかと思ったら…
涙出た
メッチャ泣いた…
ハルがかわいくて、一生懸命生きてて
クズオヤジがメッチャいい父親になってすごく成長して。
ハルは天使だよ。キューピット。
クズがクズで終わらない為に、二人に遣わしてくれたんだ。ハルを想い続ける限り、ハルは*んではいない。二人の間で生き続けてる。
ハルを想い続けて幸せになっていて欲しい